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中央を持たない資本主義

昨年、坂村健 氏の基調公演を聴いて、「哲学が大事だ」的な事を言ってたのが印象的だった。

昨年後半に、ユヴァル・ノア・ハラリ著「ホモ・デウス」を読んだ。
・人間は神になろうとしている。
・生命は皆アルゴリズムだ。
みたいな事が書いてあった。

先日、書店で落合陽一の本を探している人がいて、へえ面白いんかな?なんて本かはわからないけど、一冊ぐらい読んでみようと思い「これからの世界をつくる仲間たちへ」を読んでみた。
こちらは、「意識だけたかい系」になるなという話が、印象的だった。

NHK BS1スペシャルで、「サピエンス全史/ホモ・デウス」と「欲望の資本主義2019」を観た。
サピエンス全史は読んでないのだけれど、小麦奴隷みたいな話がでてくるようだ。ふむふむ。

私は、しばらく前より、炭水化物をやや少なめにしていて、外食とかで、「ご飯半分でお願いします」とか言ってしまう、めんどくさい奴なのだが、ダイエット的な理由に加え、そういう理由もあったりする。

農耕民族より、狩猟民族の方が幸せだったのではないかという問いは、どの程度の信憑性があるかは不明だが、ネタとしては大変興味深い。

とまあ、話が散らかったが、現在の資本主義と、これからの資本主義について考えてみたい。

資本主義

自由経済は、人々を競争に駆り立て、文明を発達させた。
それとともに、人口爆発、貧富の差を拡大させたり、環境破壊、戦争、紛争、テロなどの一因にもなっている。
そして、一部の大企業が、国家以上の影響力を持つ可能性も示唆されている。

じゃあ、どうすれば良いのかとなると、政府が介入する。いやいや経済は自由であるべきだ。国が介入するなんてけしからんという意見もある。

そこで一つ気がつく、自由って争いを助長するんだなと。
ということは、自由と平和というのは、両立できない場合もあるという事なんだろう。

税金というのは、自由経済により生じる格差を是正する役割を持っている。
そういう点で、自由経済で競争を行い、格差は後から是正すれば、多少なり公平感が保てる。

誰がGAFAを規制するか

特定の企業が力を増すのを防ぐ事を考えると「国」「企業」「個人」それぞれ考えられるが、国があまり関与すると、権力者が都合のように動かしてしまわないかという危険性がある。
一方、国民がGAFAを使わないようにするというのは難しい。
有用性のあるサービスや商品を使った方が、得だし、便利だからである。
では、国民がGAFAを運営するとしたらどうだろうか。
可能性はあると思うが、今の所思いつくシステムやアルゴリズムで、それをうまくコントロールできるかどうか、わからない。

世界的な共通ルールを設けて、富の集中を防ぐか、富や知の再分配を行うという方向性はあれど、各国の思惑や、企業の思惑によりそう簡単に調整できるものでもないだろう。

AIによる富の再分配、AI管理

自由経済に任せると、このまま巨大な企業はより巨大になり、国を超えて力を持つ事に事になる。
従来だったら、国が課税すれば押さえつける事ができたかもしれない、しかし現代の企業は、見かけ上の大きさを小さくしたり、国を超えて存在するので、単に国の枠組みだけでその力を管理しようとしても難しい。

そこでふと思う、公平性のあるシステム(AI)に、国、企業、個人を管理させたらどうだろう? 
極端に言えば、AI至上主義となるが、もっと抵抗感の少ない言い換えを行うなら、ビッグデータ分析に基づく、富の再分配、そして公平性の調整を個人が選択できれば選択の自由もあるように見えるだろう。

中央を持たないプラットフォーム

仮想通貨のように、中央を持たないシステムの運用は、どこまで可能だろうか。それは未知の領域にある。例えばfacebookのようなSNSを特定企業ではなく、みんなで管理することは可能だろうか。Mastodonのように、いくつかの個人がサーバーを立ち上げることで、成立するようなSNSは登場しているが、個人運用には限界があり、規模の拡大にシステムがついていけないのが実際だと思う。Apple製品を、中央を持たないプラットフォームで作るとしたらどうだろう。Apple製品じゃなくて、自分に好きなものを自由に調整して作るようなものだったらできるだろうが、一貫性のあるデザインやUIを哲学を持って組み立てるのに集合知は向かない。

Google検索はどうだろうか。これは結構面白そうだが、Mastodonと同じ壁がたちはかるだろう。コンテンツ監視を行うAIが無料配布されれば、実用的なものができる可能性はあると思っている。

Amazonはどうだろう?ネットにショッピングモールを立ち上げて横に繋げる。これも同じパターンの壁が立ちはだかっている。品質の担保をAIがやってくれれば、可能かもしれないが、いまのところ、AmazonはAmazonに任せておけば良いと個人的には思ってる。

競争の有用性

地球上のあらゆる生命は、それぞれのアルゴリズムを少しずつ改変しながら、生存競争を繰り広げている。本当は自分の複製が欲しいのだろうが、単純な複製は環境の変化に弱いので、自然淘汰の確率が高い。
多様性というのは多くの種が保険として持っている機能なんだろう。

そして今、存在するアルゴリズム(生命)は、全部最強なのかというとそういうことではない。変化する環境の中たまたま生き延びたり、協力や戦いの結果、現在の容姿で生きているのである。

自由な資本主義は、争いを生み、文明を発展させてきた。
テロや紛争を減らす為にも、富の偏りの是正が必要だが、それを誰がおこうなうか、どんなシステムで行うかは、難しい課題である。

哲学

新しい知性(AI)が登場することで、中央を持たない市場も運用可能になっていくと考える。
しかし、どんな知性にどんなルールでそれを利用するかは、個人、企業、国家に哲学が必要だ。

もし単に便利だけを追い求めるなら、 企業そして、発達した人工知能は、便利さと引き換えに、人々を隷属させる事だろう。




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