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トランスヒューマニズム

今回は死についてと、マッドな話が含まれるので、苦手な人は注意。

アルコー延命財団

詳細は省略するが、冷凍人間を保管してくれる団体である。
いずれ技術が発展したら、解凍するなりして蘇生できる、かもしれないというものである。

たしかに、蘇生ができたら凄い。が、現在のテクノロジーでは、まだまだそこまで全然見えて来ない。
では、これを「死の保留」と考えるとどうだろうか。
もちろん、死体を保存しているので、すでに死んでいる事に違いはないのだが、身体であったり、脳(頭部)が保存されており、物質的に言えば、活きが良い死体だと言える。

例えば、エジプトのミイラ、あれは、できる限りの手の込んだ保存をする事で、魂的なものを、別の世界(もしくは未来)に送り届けられる、タイムカプセル的なものとするなら、冷凍人間というのも、ある意味それに近いのかもしれない。

死とは何か

我々が死ぬ時、2つの死が訪れる。
身体という細胞の塊の死、そして記憶を再生できなくなるという、記憶装置(脳)の死である。
従来は、脳が死んだら(全脳死)、身体を保つ手段がなかったので、分離して考えることにあまり意味がなかったが、医療技術の発達により、脳死状態でも、身体の維持が可能なケースが登場することになる。

自分とは何か

脳以外を丸ごと別の人に変えたら、それは自分だろうか。
記憶があれば、一応過去の自分というものを記憶として、保持しつつも、身体が全く別なら、別の人間として生きる事になるだろう。
ということで、心と身体が全部そろって今の自分であり、その一部が何か置き換わった場合は、その分量や、パーツによるだろうが、それは別の新しい自分ということになるのだろう。

もし記憶がなくなっても、外部の人々は、身体が同じであれば、それを私として扱うかもしれない。しかし、本人からしてみれば、記憶がなければ、抜け殻も同然。逆に記憶だけあれば、別の身体に移っても、一時的にであれば自己として認識することが可能かもしれない。

その一方で、多くの人が毎日多くの記憶を失いながら、生きている。そういう意味で、人は少しずつ自己を失いながら生きていて、それが現在の自分なかもしれない。

身体のエンハンスメント

医療、バイオテクノロジー、機械工学、テクノロジーは、人々が寿命を迎える前に訪れる、事故、病気、老化に対し、いくつかの手助けを行う。
これにより、今後人間の寿命は更に伸び、エンハンスメントによるQOLの向上も期待されている。

ICDによってもたらされる部分的な生の強制

通常、死が訪れれば、心臓は活動を停止し、各臓器も機能を停止する。
しかし、一部のデバイスは、従来の死が訪れても、動作を続けてしまう。
倫理の問題、設計の問題それぞれあるが、身体のエンハンスメントは、時として不自然な生の強制をもたらす場合がある。

自分のコピーを作ることは許容されるか

クローン羊のように、同じ遺伝子を持った人間を誕生させることは可能だ。
しかし、そこからパーツどりしてよいかというと、そこに別の意識が有る限り、遺伝子が同じでも、それは自分自身ではない事になる。双子で考えればわかりやすい。遺伝子が近く外見が似ていても、意識が直接支配している身体を自己と呼ぶ。だから、自分のクローンを作ってもそれは他人であり、勝手に臓器をもらうことは普通にNG である。

では、脳なし人間だったら、パーツどりに使っても良いだろうか。
まあ倫理的には微妙な部分はあるが、とはいえ脳なし人間は、人間として機能しないので、私は可能だと思う。

脳なし人間に、頭脳を追加する

単純化するために、種無しブドウのごとく、脳なし人間と呼んでいるが、あまり詳細を考えても、グロテスクになるので、省略して、話を進める。
脳なし人間は、見た目は人間そのもの、脳以外の臓器は揃っているが脳だけ空洞の人工培養物とする。そこに、脳をそのままいれてもよいのだが、ここではもう一歩SF的にして、無線アダプターを装着する事で、サロゲート的に脳のある本体は別、テレパシーで動く身体ができるとする。

人間より進化するもの

ロボットは人間より進化するだろう。なぜなら、脳も、身体も拡張がしやすいから。では他の生き物はどうだろうか。
少し前に、ヒトの遺伝子をサルの脳に。という話があったが、ヒトの身体拡張に比べると、別の生物の身体拡張は許容される範囲が大きいのが現状である。

そう考えると、この先人間より、ペットや家畜のほうが先に、進化する(させられる)可能性もある。

1000年生きることは許されるか

多くの人が100才超えて生き続けるためには、まず、それぞれ自立して生きれることが必要条件になるだろう。もちろん年金なんてのも、すぐさま破綻してしまうわけで、私財での生活、「自分の世代が、自分の世代の面倒を見る」事は必須となる。

更に、社会は、どんどんバージョンアップし、そのネットワークに参加する人々や知的生命体、機械的知能にも、バージョンアップが要求される。
バージョンアップしない人々はどうなるか。
多様性として、どこまで権利を与えられるかはわからないが、ノーマル人間が、ホモデウスより大きな権限を与えられるとは考えにくい。

ノーマル人間、超人、人工知能、ロボット

シンギュラリティやヒトを含む動物のエンハンスメントにより、ノーマル人間を超える存在がいくつか登場した世界で、我々はノーマル人間のまま従来通り、人権や選挙権をもらえるだろうか。

我々の平等は現状、ノーマル人間に対する平等であって、例え東大に合格できるロボットや、チンパンジーが現れても、人権や、投票権を与える準備はできていない。理由は、彼らと利害を共有できるか不明だからである。

逆に、超人が増えた場合、ノーマル人間は劣勢となる可能性がある。
そうなると、超人と同じレベルの権利をノーマル人間が得られるかどうかは疑問である。

デザイナーベイビー

親が持つ遺伝性疾患を子供に受け継ぐのは正だろうか?親が不足すると思う要素を遺伝子的に増強させることは、どこまで許されるだろうか。
生まれてきた子供は、(現状)自らの遺伝子を選択できないが、遺伝子的に苦悩が多そうな遺伝子よりは、モテそうな遺伝子のほうが良かったと思うかもしれない。

イカアンドロイド(という妄想)

潜水艦内には、潜水艦内には複数のイカが接続されている。それは、映画マトリックスのような光景だ。それぞれのイカの寿命は5年、中期記憶はそれぞれの個体にも記憶されるが、長期の記憶は潜水艦を制御する、人工知能の部分に保存されている。

イカアンドロイド(潜水艦)の寿命は100年、その間には、別のイカアンドロイドとコミュニケーションをはかったり、新たな船体を作る事で、自己の複製を行う。

潜水艦の人工知能だけでも、自走はできるが、複数のイカの脳を連結する事で、能力を高めている。

イカだけではいくつ繋いでも、イカのままだし、AI だけでは、意識が生まれないし、一匹のイカだけでは、能力不足。


あとがき

「ホモ・デウス」「トランスヒューマニズム」「Beyond Human 超人類の時代へ」を読み、改めてこれからのホモ・サピエンスがどうあるべきかを考える。いずれも、人間がアップグレードするという前提あっての話である。
200年後我々はどう進化してるだろうか?。案外、毎日柵の中から、柵の向こうへうんこを投げつけているのかもしれない。

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