川から老婆が流れてきて、村ができて以来の騒ぎになった。
風車とおにぎりと、それから若い男の記憶を携えていた。
意識ははっきりとしているが、川にいる間の記憶だけがぽっかりと抜け落ちている。
男の名前をつぶやくのを見て、上流ではまだ少女であったのではないかと、そんな馬鹿な空想をした。

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