マーマレードの香りがして、僕は急いでベッドを出た。
流感にやられたじいさんの部屋を通ってダイニングに駆け込むと、母が朝食をならべている。
僕は居てもたってもいられずに声をあげた。
「母さん、今日はピクニックなんだ。バスに大勢乗っていくんだよ」
「坊や、それよりもまずは挨拶でしょ」

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