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いま、インタビューの聞き手は。

(Rallysメルマガ2月配信分)

インタビュー取材をしているときに、自身の話を短くするときがあります。
「僕の話で言うなら、大学5年のときの半年ほど、部屋から出られなくなって」

例えば、そんな思い出話を軽くした後、「どうでしたか、あの挫折のとき」と聞いてみると、
「いや、私もやっぱり、つらかったです。一つずつ、できることから」
実感のこもった言葉をぽつりぽつりと話してくれたりします。

かつて、たくさん下調べすることがインタビュー準備だと思っていました。
でも、それは興味の理由を探る材料に過ぎませんでした。
選手の素顔を見つけたくて、いろんな角度の質問を投げかけていました。
でも今は、素顔は本人がSNSでいつでも明るく発信してくれています。

伝えることそのものは、メディアの特権でも何でもない時代です。

大切なことは、インタビューというごく限られた時間に、話し手と聞き手が一緒に冒険する仲間になれるか、ということなのだと思います。

迷うときは一緒に迷うし、意外な発見は一緒に喜ぶ。

相手が言いたくないことを聞くときは、自分の言いたくないことを先に言ってみる。超原始的なコミュニケーションです。

でも、いまインタビューの聞き手に、とりわけ私のような無名の聞き手にとって必要なものは、そんな、旅仲間としての誠実さである気がしているのです。

ラリーズ編集長 槌谷昭人


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