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【俳句幼稚園】「ふるさと」で三句

はじまりました、新しい俳句幼稚園の企画「わたしのふるさと自慢」。
今回はどなたでもご参加いただけるよう。

さて、そう言ったものの、私は子供の頃から現在に至るまで転勤族で、いわゆる「ふるさと」と呼べるところは無いのである。なので、思い入れの強い場所で詠んでみた。

シアーズタワー(現:ウィリスタワー)とミシガン湖。

鳰の巣やシアーズタワー浮かぶ湖

(におのすやしあーずたわーうかぶうみ)
季語:鳰の巣(浮巣) 場所:シカゴ

私の今の生活の原点は、高校二年生の夏休みに行ったアメリカイリノイ州での一か月間のホームステイだと思う。
実際にステイしたのはシカゴ郊外の田舎町だったが、ある週末、シカゴに連れて行ってもらった。その象徴的な場所、シアーズタワー。当時はアメリカで一番高いタワーだった。
現在はウィリスタワーと名前を変えているこのタワーの展望台からミシガン湖を眺めた時、世界って広いなあと感じた。
初めての海外旅行だったわけではないけれど、この時、本当に世界の広さを感じたのだ。十六歳の思い出。


バルセロナのピカソ美術館

大瑠璃や青の時代のバルセロナ

(おおるりやあおのじだいのばるせろな)
季語:大瑠璃 場所:バルセロナ
※7/13「地名で一句」で既出。

パブロ・ピカソは私の一番好きな画家で、バルセロナのピカソ美術館は私が世界で一番好きな美術館である。
大学でスペイン語を専攻していた私は、毎年ひと月ほどスペインを中心にヨーロッパを暮らすように旅していた。ある時は友人と、ある時はひとりで。
その中でもバルセロナは大好きな土地で、毎回バルセロナに本拠地をとった。キッチンつきの馴染みの宿に泊まり、基本は自炊。滞在中何度もピカソ美術館へ通った。ピカソの「青の時代」はバルセロナとパリで生まれたのだ。


ワイマナロビーチ

ワイマナロの風はとこしへ黒鶫

(わいまなろのかぜはとこしへくろつぐみ)
季語:黒鶫 場所:ワイマナロ(ホノルル)

これまでで一番長く暮らした海外はホノルル。
ワイマナロは大好きな場所だ。ワイキキのように観光客で一杯になることもなく、ほどよい人出のビーチと、私が乗馬でお世話になっていた牧場もある。車でもないとなかなか行きにくい場所だけれど、近くに在るマカプウ展望台もおすすめ。小さなかわいらしい灯台がある。
ハワイに暮らしていると、風が強いのがよく分かる。日本に居た時よりもずっと風を感じて過ごしていた気がした。
ちなみに、「橘鶫」の”鶫”は黒鶫。”鶫”とつく鳥の中で一番色合いが好きだから。(鶫は秋の季語、黒鶫・虎鶫は夏の季語ですよー)


以上、句としての出来はそんなに良くはないけれど、自分の原点を探るような旅、とても楽しかった。
私の物語によくスペイン語とハワイ語が出てくるのは、こういう理由。
ちなみに日本の中で一番思い入れのある場所は鎌倉である。三句までなので割愛。
今回も素晴らしい企画を立ててくれたラベさんに感謝。
みなさまの「ふるさと」もお待ちしています。

鳥たちのために使わせていただきます。