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プラスチック成形品に高付加価値を与えるツジカワの 「 ホットスタンプ 版」と「 治具 」とは?

今回はプラスチック成形品へのホットスタンプ加工に使用される ホットスタンプ版について取り上げます!

そもそもホットスタンプ加工とは?については下記の記事ご参照ください!

多くの方がなかなか見ることがないと思われる
プラスチック成形品へのホットスタンプ版」という謎製品。
(あえて言いましょう謎製品と・・・)

しかしホットスタンプ加工に版は欠かせない存在です。
版について知ることは「ホットスタンプ加工に向いていること・向いていないこと」 を知り、プラスチック加飾への選択肢を増やすことにつながります。

「プラスチックへの加飾?興味ね~!」という方も身近にあるあれやこれやを 「こんなふうに加工されているのかな?」と思って日常を過ごしてみると 世界が広がりますよ!
知らんけど!!!

話をホットスタンプ版に戻します。
たかが版されど版。複雑な形状に不良なくホットスタンプ加工(箔押し加工)を施すには印刷機の精度や性能・作業者のウデはもちろんのことながら、
精度の高い版や治具が不可欠なのです。

今さらっと「治具」というワードを出しましたが 読み方は「なおぐ」でもなく「ちぐ」でもなく「じぐ」と読みます。 「じぐ」については後ほど触れます!

ツジカワには複雑な曲面・3D形状への加飾を可能にする精度の高い ホットスタンプ版・治具を製作してきた数々の実績があり、 今や国内ではホットスタンプ版のトップメーカーであると自負しております。 そんなツジカワの主力製品の一つであり、 プラスチック成形品の加飾を支える縁の下の力持ち! ホットスタンプ版と治具についてご紹介いたします!



ホットスタンプ版とは?大きく分けて彫刻版とラバー版

プラスチック成形品向けホットスタンプ版の材質は大きく分けて

▶彫刻版
▶ラバー版

の2種があります。それぞれの特長について見ていきましょう

彫刻版とは?


真鍮や鉄を切削して製作されます。
プラスチック成形品だけでなく、紙・革・ナイロン・PPなどへのホットスタンプ加工やデボス加工・刻印にも使用されます。
ラバー版と違い、元型(もとがた※後述)が不要で版面に直接彫刻するため、絵柄の再現性が高いのが特長です。

▶版面がフラットな平彫刻版(ひらちょうこくはん)
▶版面にRがついているR彫刻版(あーるちょうこくはん)
の2種類の形状があります。

左:鉄製彫刻版 右:真ちゅう製彫刻版


R彫刻版

「R彫刻版」の「R」は「Round」の略で「湾曲している」という意味で使用しています。

彫刻版の特長まとめ

・(真ちゅう・鉄などで作製されるため)硬度が高い
・絵柄の再現性が高い
・絵柄を押し込んだような表現ができる
・熱伝導率が良い

ラバー版とは?


プラスチック成形品向けのホットスタンプ版として最も一般的に使用されています。
デザイン部が凹となる「元型(もとがた)」を使用してラバーを成形し、 アルミなどの金属でできた「ラバー台(らばーだい)」に熱圧着した凸版です。

※説明のため簡易的な図にしていますが、
元型から直接ラバーを成形しない場合もあります。

版面がフラットな「平ラバー版(ひららばーはん)」と
版面に Rがついている「Rラバー版(あーるらばーはん)

の2種類の形状があります。

平ラバー版
Rラバー版

射出成形(液状の樹脂を金型に注入して固める成形手法)のプラスチック成形品には、 「ヒケ」と呼ばれる凹みや歪みが生じることがあります。

手に取っただけではわからないほどの凹みですが、これがホットスタンプ加工時には大きく影響することがあり、 加飾不良の原因となります。

ラバー版は金属版に比べてクッション性が高く、こういった凹みや歪みを吸収して、成形品に密着するため 加飾不良が起きにくいのです。

また、金属で箔押しした場合に比べて、箔押し部が凹まないことも特長です。

版の印刷面が摩耗・劣化した場合は耐熱ゴム部を貼り替えることで再度ご使用いただけます。
この場合ラバー台・元型の費用はかかりません。

ラバー版の特長まとめ

・成形品への密着性が高く加飾不良が起きにくい
・(強い圧をかけなくても良いので)印刷面が凹まない
・成形品を傷つけない
・摩耗したらゴムを貼り替えて再度使用できる


プラスチック成形品とホットスタンプ版の関係

ホットスタンプ版は印刷物=成形品の形状によって種類が変わります。
そもそも成形品とは?という話なんですが、ここでは主に「プラスチックを形作ったもの」という意味合いで使用しています。
「製品」で良くない?と思われそうですが、被印刷物(ワーク)としてプラスチック製品を表現するときは「成形品」と呼ぶことが多いです

成形品の印刷面にRがかかっている(湾曲している)場合は R彫刻版・ Rラバー版 など、印刷面に沿うようにRをつけた版を使用します。

成形品の形状に沿った版を作製するためには成形品の3Dデータが必要です。
しかし、データが無い場合は3Dスキャナなどの機器を使用して、成形品を3Dデータ化し、そこから版や治具を作ることも可能です
こういった製品を分析・逆算して設計図を組む「 リバースエンジニアリング 」技術もツジカワの得意とするところです。

実際に成形品(プラスチック製透明カプセル)からデータをとりホットスタンプ版・治具を作製した例

こちらの治具・版を用いたホットスタンプ加工の様子は下記動画からご覧いただけます!
使用機械はナビタスマシナリー株式会社のアップダウン式ホットスタンプ機



治具について


治具にセットされた成形品(左)とRラバー版(右)

治具とは、加工や組み立ての際に部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具の総称です。
加工物を固定して位置決めをし、加工を案内する補助工具として使われます。
治具を使用することで、 安定した状態で加工することができ、品質の安定や生産性の向上に繋げることができます。

基本的に製造品や取り付ける機械・作業者の要望に合わせてオーダーメイドで設計・作製するため形状・役割が多種多様で定義がしにくい製品とも言えます。
私はざっくり「作業上のなんか困ってんねん。を解決するもの」みたいに理解しています(ざっくりすぎるやろ)。

ホットスタンプ加工の際に成形品を受け止める役割の治具は特に「受治具(ウケジグ)」と読んでいます。

ホットスタンプ加工時は数百kg~数十トンの圧力が成形品にかかります。 そんな圧力をしっかり受け止め、成形品を固定し、位置合わせを効率的に行うために使用されています。 受治具は多くの場合ホットスタンプ版とセットで納品します。

ツジカワはホットスタンプ版など加飾関連だけではなく、機械部品や刃型など彫刻技術を用いて様々な分野の製品を作っています。
そのため、多種多様な設備を保有しており、技術者の専門分野も多岐にわたります。
設計、3Dモデリングデータ作製から、切削・研磨などあらゆる加工までをワンストップで行えるのがツジカワの強みです
また材質においても、ベークなどの樹脂からアルミ・鋼などの金属まで、幅広く扱うことができます。

ツジカワの治具の特長

・成形品データがない場合でも3Dスキャナなどで製品の形状をデータ化しモデリングデータから版・治具の作製が可能。
・ホットスタンプ版とセットで作製するため、位置合わせが正確かつ精度の高いものを作製できる。
・保有設備が多彩かつ幅広い知識と経験をもつ技術者がいるため、自由度の高い設計が可能であらゆる加工をワンストップで提供できる。

以上、プラスチック成形品向けホットスタンプ版についてのご紹介でした!

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