写真単体4

【吉田正高コレクション整理記録】4/1~戦線拡大

読んでくださっているみなさん、ご来訪ありがとうございます。

記録者の私・塚口綾子は、2018/3/31未明に他界した吉田正高の義姉です。
1997年にゲーム業界に就職し、いまもゲーム開発に従事しています。
結婚して姓は変わっていますが、仕事は旧姓のまま続けています。

正高さんとは同世代、かつ「コンテンツ」という共通項があります。
ただ、彼は「研究者(非営利)」、私は「開発者(営利)」と、立ち位置は逆でした。
会話をしていて、かみあわなかったことも往々にしてありました。

それでも、私には「コンテンツを溜めこみたい」という気持ちがわかります。たぶん、一番わかります。

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4/1はまだ続いています。おそらく13時はすぎたころです。

メイン部屋、やってもやっても終わる気がしません。
疲れました。
気分転換が必要です。

そこで、奥にある四畳半(らしい)本棚部屋に戦線を拡大しました。
本は重いので、納屋にあった小さめの段ボール箱を中心に詰めます。
そうそう、この時はみんなが出かけていてのんびりした気分だったので、試しに記録をつけてみました。

■作った箱
●和田慎二・美内すずえ(デビュー当初のものが多い)
●高階良子・柿崎普美・曽根まさこ・くらもちふさこ・「キャンディキャンディ」・その他少女マンガ
●団鬼六、弓月光「みんなあげちゃう」・あさりよしとお「宇宙家族カールロビンソン」

途中で気づきます。
「この記録作業ですら、スマホ出して画面ひらいて……ってやるので、けっこう時間とる」
「ていうか、この記録も同じか……」
(この時は、日記のように写真を撮っては思ったことを記録していたのです。4/1が長いのは、そのおかげでもあります)

どうしたものかと悩みながらも、箱詰めを続けていたところに、出かけていた4人(ささこ、むぐ、はつ、スズコ(実母))が帰ってきました。

おみやげのたこ焼きが、私の遅めの昼ご飯です。
4人は食べてきたので、私だけがもくもくと食べます。

たこ焼きはイメージ(写真AC)。文字ばかりで画面が淋しいので。
おいしかったです。たこ焼きはいい食べ物。

食べ終わり、淹れてもらったお茶を飲んで、作業に復帰します。
段ボール箱を作って、本を詰めて、中身の概要を箱に書く。
なるべく近い内容にしたいので、1箱分に満たない場合は横によけておく。要するに軽い仕分けも行います。

なんとか出ていた物を箱詰め完了しました。
この時点で夕方くらいだったんじゃないかと思います。

全体的に「古いコレクション」が多いように思います。ここは書籍の聖地にしたかったようです。
ただし本は、明らかにキャパオーバーです。
この部屋の本棚はもう満杯で、これ以上入りません。

……部屋はこれ以上大きくならない。
生活空間を切り詰めて物を置くしかない状況に至っていたように思えます。また新しく倉庫のための家を借りるかなにかして、場所を増やさないといけなかったんだろうな、本当は。

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私は「コンテンツを溜めこみたい」という正高さんの気持ちに近い感情を常に持っています。

彼は研究者で、私は開発者。
立場は違います。
ただ、コンテンツという共通項は、私たちにとって「源泉」です。

私にとって資料とは「それを自分の中に落とし込んで、新しいコンテンツを作るためのもの」です。
だから、「何がいつ役に立つかわからない」という気持ちは常にあり、私の家もそこそこ荷物にあふれています。

正高さんにとっても、コンテンツを「資料としてみた時」は同じようなものだったと思うのです。

いつか役に立つかもしれない。
でも、どれがいつ、なんの役に立つのかはわからない。
だから、なるべく置いておきたい。

ただ、正高さんと私の間には、立場の違いか、性癖の違いか、そういったなにがしかの違いがあります。
私ににとっては「資料」としての価値にウェイトが置かれていることが多いため、紙物は電子化が基本で、過去制作したコンテンツに関する資料はあまり増えませんし、持っていたものも時折手放していきます。
新しいアウトプットのためのインプット領域を増やすとでもいいましょうか……。

こういうところは、どうしても正高さんと意見のわかれるところでした。
そして、私たちは「そういうもの」だったと互いに理解していたと思います。

確かおととしの年末、正高さんが教えている東北芸術工科大学の講座にゲスト講師として招かれた日、彼が私を駅まで送る車の中で、こんなことを言ったように記憶しています。

「僕は作られたものを愛でて研究する側ですから。お義姉さんは作る側ですから」

コンテンツは放っておくと散逸し、消えていく儚いものです。

正高さんの収集癖は、研究熱と愛情がどっぷりミックスされて練り上げられ、凝って肥大化していったものなのでしょう。
収集し、愛でる。ひたすら、貪欲に。

吉田正高コレクション整理記録。オタク教授の他界、そしてその親族や知人たちの奮闘記録。