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電気スタンドみたいなスキャナーCZUR Auraがやってきた。

最近「CZUR Aura」という、本当に電気スタンドみたいなスマートなデザインと紙面の湾曲修正などの性能で話題になったクラウドファンディング製品があって、つい支援をクリックしてしまった。軽く紆余曲折があってようやく自宅に届き、オフィスの自室に設置してみた。まず「紆余曲折」から始めてその後で使ってみたメモを書いておくけど、前者は言ってみれば愚痴なので、読みたくないときは「開梱、CZUR Aura」に飛んでもらいたい。

CZUR Auraが届くまで

CZUR AuraはCZUR社のスタンドスキャナーの最新版で、現在は海外のクラウドファンディングサイトIndiegogoのキャンペーンページや国内のMakuakeのキャンペーンページから支援できる。クラウドファンディングなので、支援して「順調にいけば」お礼としてCZUR Aura等が贈られるという形だ。物が届くとかちゃんと動くとか、ましていつまでに届くとかいった保証は基本的になくて、「購入」とはちょっと感覚が違う。

僕はIndiegogoで支援をして、順調にいけば6月中にバッテリー内蔵のAuraが届く見込みだった。未受領者からの質問でコメント欄が埋まる6月末頃、「shipping problem to JP」というメールが来た。トラブル来たな、とおもいなが開くと「送付先情報に問題があるんだ。日本なら日本語の方が配達会社に好まれるから、日本語で宛先をくれ」。

日本語の宛先を返信して数日、7月頭にポストに不在通知が入っていた。それを見て宅配ボックスを開ける。うちのマンションの宅配ボックスで一番大きい、ゴルブバッグとか入っちゃうボックス。なるほど、CZURと書かれた段ボールが入っている。開梱すると、間違いなくCZUR Aura。思ったより大きく、質感は上々。

ここで思ったよりもスムーズに終わった、と思うのは早計だった。

バッテリーを内蔵……してないよね?

電源コードをつなぎ、スイッチを押す。ライトが点灯する。少しして電源コードを抜く。消灯する。……消灯?内蔵バッテリーは?説明書を見ると、給電やライト/スキャナーモードを示すインジゲーターの上、小さな4つの穴がバッテリーの充電率や充電中を示すインジゲーターとなっている。そこは点灯も点滅もしていない。

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先日のメールには「届いたら教えてくれ」的なことも書いてあったので、「届いたんだけど、こんな状態で」ということを拙い英文みたいななにかで、写真を添えて送ってみる。秒で返信が来る。

I shall be out of office and on my leave until July 7th, so I may not reply to your email in time.

あ、休暇ですか。仕方がないので、キャンペーンページのコメント欄にも投稿してみる。

Hi Makio, you need to check the ID on the bottom of the scanner. If the ID contains 14X then it is a battery version. For other technical questions, please email support@czur.com. Thanks.

どうも僕の勘違いのはずだと思われてそうだけど、間違ったものを送ってきてるんじゃないとしたら、マニュアル通りに動かないものを送ってきてることになるので、どちらにしてもテクニカルクエスチョン以前の問題のような気もする。そしてIDを確認すると14Xではなく14Rとなっていて、不良品ではなく間違い品だと判明する。

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さらにつらい英語でのやり取りを続け、同社のロジスティックパートナーの米国倉庫に送料はCZUR側持ちで返送し、交換ということで話がまとまる。無料返送の手続きをメールで知らせてもらうことになる(ここまではキャンペーンページのコメント欄にやり取りが残っている)。

返送、そしてバッテリー内蔵のAuraが届く

米国宛着払いってどんな感じだろうとドキドキしながら手配を待つ。どうもそういうものはなかったみたいで「日本のこの住所に着払いで送ってくれ」というメールが追ってきたので、そちらに送る。

数日後にもう一度、CZURから大きな包みが届く。一度開梱してIDを確かめると、たしかに「14X」になっている。やれやれ、どうやら今度こそ、リターンを手にできたようだ。

開梱、CZUR Aura

かくして、ようやく開梱の儀。実を言えば非バッテリー版と外観は変わらないし、このバッテリー版も確認のため一度開けたのだけど、気分も新たに梱包しなおしたものを設置場所に持ちこんであらためて開梱した。

CZUR Auraは専用デザインの黒箱に入っている(写真左から2枚目)のだけど、送付時はさらにCZURのロゴが入ったジャストサイズの段ボール箱に入って、天地それぞれの4角には角を保護するプラスチック材もはめてあった。これを開けると、まずサブライトの入った箱とマニュアル等の入った封筒が出てきて、その下に本体、さらにその下にACアダプタやUSBケーブル、フットペダル等を収めた箱が入っている。

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本体と同根品をすべて取り出すとこんな感じ。本体は、大きいとはいえ卓上スタンドライトのサイズの範疇と想像してたので、思いのほか大きかった。

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質感は特に粗いところはなく、個人的な意見としては上々だと思う。

CZUR Auraでスキャンしてみる

PCとはUSBケーブルでつなぐだけだし、フットペダルもACアダプターもケーブルをつなぐだけ。見ればわかる程度になっている。あとはパソコン側にスキャナーソフトウェアをインストールする必要がある。

CD-ROMも同梱されているけど、CZUR Auraのサポートページに最新版があるので、これを取得するのがよいと思う。僕がインストールしたのはWIndows用2.1版だったけど、これを書いている時点ですでに2.2版が出ている。僕はNorth Americaからダウンロードしたけど、インストール時にちゃんと日本語を選択できた。いま見るとAsia Pacificからもダウンロードできるようになってるけど、URLを見るとどうもシンガポール(AWSのap-southeast-1リージョン)だから、北米とどちらが高速かはよくわからない。

準備ができたので、洋書はまず得意分野だろうと思って、まず手直にあった一冊をスキャンしてみた。スキャン風景はこんな感じで、やっぱり本体は結構大きい感ある。

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まず補正機能を切った状態での撮影。本を押さえずにそのまま開いた状態なので、左右ページとも中央が盛り上がっている。

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本を動かしたり押さえたりはせずそのまま、湾曲補正を有効にして再スキャン。なんていうか、開いたノートや雑誌を頑張ってコピー機やフラットベッドスキャナに押し付けたみたいに、平らな感じでとれてる。でも明暗が、曲面だったことを感じさせる。

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湾曲補正性能を見る

上にも書いたけど、明暗が曲面を感じさせるので、ページ全体で見るとそんなに湾曲補正に効果あるだろうか、という感じがした。そこで一部を長方形に切り出してみた。

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こうしてみると、湾曲補正がオフ(上)だと文字配置もアーチを描いたようになっているが、湾曲補正後(下)だと文字が横一線にきっちり揃い、長方形の切り取り領域に対してきれいに4行とノンブルが収まっている。かなり補正効果を実感できる。

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この辺りにAIが絡んでくるなら、日本語に対しては精度が落ちるかもしれないと考え、もう一冊試してみた。これも、きれいに伸ばされた感じで補正がされている。

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先ほどの洋書と同様、長方形に一部を切り出してみたが、ここでもしっかり湾曲補正が効いていることがわかる。湾曲補正を有効にすると、スキャン時に赤いレーザーラインが書籍上に投射される。これの曲がり具合で補正していて、コンテンツにはあまり左右されないのだろうと思った。

OCR機能を試す

スキャン後の画像に対して、CZUR Auraのソフトウェア上でOCRをかけることができる。先ほどの和書からのスキャン画像に対して実行してみた。出力ファイルとして、修正が容易なWordドキュメントを選択できる点はちょっといいと思った。

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結果、文字認識のレベルはそう高いとはいいがたい。それでも一応の役には立つし、レイアウトはかなり良く再現している感じだ。こちらこそCZURが売り文句にしているAIの仕事だろうし、だとすれば英語に強く(もしかすると中国語にも強く)多国語にも弱いかもしれないとは予想してた。その意味では、けっしてでたらめではなくて、思ったより頑張ってるかなぁという感想。

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続いてもっと不得意そうな、縦書き和書を試してみる。それも、あえて表組が入っているページを探してきた。前述したように湾曲補正は書籍内容を問わなそうで、ここでも良好だった。

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OCRをかけると、文字認識率は先ほどとあまり変わらず、レイアウトも意外とちゃんと再現している。なにより、縦書きというのをちゃんと理解しているのは、海外製品のOCRというところで疑問視していたところだったので感心した。表組については、さすがに再現されなかった。ただこれもケースバイケースみたいで、何回かやって見るとうまくいくこともあった。

思った以上に楽しめそうなCZUR Aura

実はこうした非破壊スキャナーを使ってみるのはこれが初めてだ。だから、例えばScanSnapシリーズのSV600といった機種もあるけど、それらと比較してどうとは言えない。ただ、そうした非破壊スキャナが賛否両論だったり、またCZUR Auraが日本語圏の製品ではないこともあったりして「話半分でも期待しすぎかな」ぐらいの気持ちで支援に参加した。その低めの期待感に対しては、実物はずっと高いレベルで答えてくれたと思う。

MAKUAKEでのファンディング分も、活動レポートを見ると今月末から届き始めるみたいだ。そちらでの支援者の皆様にも、期待値を上げすぎなければいいなと思いつつ、楽しんで、できれば感想も教えてもらえたらいいなと思っている。本当に、カンペキではないけれどラブリーな製品だと思う。それまでには、僕ももう少し使い込んでおきたい。

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