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「サマータイム導入」はIT業界を潤すか

ITのサマータイム対応は“あなた”の問題」の公開時、サマータイム対応はIT業界から見れば災厄というより特需、という書き方をしていました。その後いただいたコメントで、この書き方ではそれを狙ってロビー運動でもあったのではという疑念を起こさせることに気づき、そうするとIT業界の問題に矮小化されちゃうなと思ったので、修正しました。

ところで対応するとなった場合のIT人材の不足が取りざたされますが、実際のところどうなのでしょう。僕もそれを前提にこの記事を書きました。でも修正箇所に引用した「1000億円規模の経済効果」という数字は、微妙に意味深です。

完成までの道のりは「サグラダファミリア」、投じた人月数は「クフ王のピラミッド」と喩えられたみずほ銀行システムのシステム統合プロジェクトが昨年ようやく完了を迎え、IT業界に人材が戻ってきます。みずほ銀行自身が「東京スカイツリー7本分」と説明する総費用は4000億円超でした。

この規模のIT開発事業が終了し、ここに携わっていた人材がIT業界に戻ってきて、手すきになるタイミングでもあるわけです。実装レベルを請け負った下請けでは、もう戻ってきてるのかもしれませんね。そのタイミングで総額「1000億円規模」のIT需要が発生するというのは、「ちょうどよいおしめり」と言われてしまうとそう見えないでもありません。

そんな理由、つまりIT特需狙いでサマータイム導入を煽ってる人はいない、と信じたいけどなあ。それは単にIT利用企業からIT開発企業にお金を移動させるだけで、オールジャパンで見たらなにも付加価値を産まないと思うのです。そしてその2年間で、2年分、国内技術力の成長が滞ると思うのです。

国内技術力って、結局は国内の技術者一人一人がどれだけ成長したか、その総和だと思うのです。でもサマータイム対応は単なる作業で、成長機会が少ないと思うのです。サマータイム導入に乗ってしまうと、IT業界は2年間潤うように見える裏で停滞して澱み、結局はある種の死亡フラグにならないでしょうか。

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