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データのデータ自体も引き寄せる磁場

Tim O'Reillyが2005年に挙げたWeb 2.0の原則の一つに「データは次世代のインテル・インサイド」というものがある。ここでいう「インテル・インサイド」とは心臓部、つまり「ITのパワーの源泉」ぐらいに理解すればいいのだと思う。これを思い出したのは、日経の記事のこんな書き出しを見たからだ。

米経済が「ニュー・モノポリー」(新たな寡占)に直面している。アップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックのIT企業「ビッグ5」。独り占めするデータが磁場となり、投資マネーと人材を引き寄せる。(データ独占 人・カネ呼ぶ 米IT5社、時価総額1年で4割増:日本経済新聞

「独り占めするデータが磁場となり、投資マネーと人材を引き寄せる」というのが示唆的だ。投資マネーと人材だけでなく、独り占めするデータが磁場となって、様々な新しく生まれるトランザクションデータ、ログデータ、コンテンツデータも彼らのもとに引き寄せている気がする。

例えば、Facebookの持つプロフィールデータとグラフ(つながり)データ。みんながなぜコンテンツデータをFacebookに投じるのかといえば、きっとそこにこのデータと、それに基づく配信経路とコミュニケーションベースがあるからなんだろう。例えば、iPhoneのデータ。GmailとGoogle検索とGoogleマップのデータ。Amazonのオンラインストア(利用者と商品と売買)のデータ。

Tim O'Reillyが「コアデータ」と呼ぶデータは、投資マネーや人材のみならず、きっとこうしたデータ自体をも引き寄せる磁場を持っている。かくして富める者はますます富む。

コアデータをめぐる争いはすでに始まっている。こうしたデータの例としては、位置情報、アイデンティティ(個人識別)情報、公共行事の日程、製品の識別番号、名前空間などがある。作成に多額の資金が必要となるデータを所有している企業は、そのデータの唯一の供給元として、インテル・インサイド型のビジネスを行うことができるだろう。 ―― Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル(後編) - CNET Japan

Tim O'Reillyのこの洞察が正しかったのか否か、忘れたころにふと答えを耳にしたという気がする。あるいは忘れてた間に、もう結果まで出てしまったという気が。とはいえ、Internet of Things、IoTの時代がきて、データの発生源も種類も突然に、飛躍的に拡大された。新しいデータ群の中には、新しいコアデータがあるかもしれない。それは誰が見つけ出すのだろうな。

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ヘッダ画像はKamiPhucの「Big_Data_Prob」。ライセンスはCC BY 2.0

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