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テニスの思い出。

趣味はテニスと映画とサウナなんですが、その中のテニスの話。

テニスは中・高・大と10年やって参りました。「中学軟式→高校硬式」という、地方学生なら共感できるであろう流れを経て現在に至るわけです。

中学までは市内の大会で見事な1回戦ボーイ。奇跡が起きても3回戦で万々歳だったりしたんですが、高校に入ると状況は一変します。団体戦では県ベスト4、個人でもシングルス県内10位と大炸裂。大学に入っても勢いそのままに、あの「全芸杯」ではシングルス3連覇、ダブルス・団体でも2連覇。それはそれは偉業であり、全芸における「ロジャー・フェデラー」、プレイスタイルで言えば「グスタボ・クエルテン」状態だったんです。

「全芸ってなんだ?」「グスタボ・クエルテンって誰なんだ?」なんてことはさておき(全芸は芸術系の大学統一戦でクエルテンは名選手)、とにかく僕のテニス人生は高校を境にスパークしていきました。一体なぜだったのか。硬式の方がうまく馴染んだから?教えてくれる先生がよかったから?多少はそうだったのかもしれないけど、たぶん違います。要はコレ。コレ一点です。

「メンタル」

不屈も不屈。屈強なメンタル。たぶんコレです。

自分が高校に上がった頃は第一期「テニスの王子様」ブームにより、テニス人口がグンと増えた時期でした。そのおかげで、高校から始めるメンズが他部から大量に流れ込んで参りました。「軟式上がり」と「他部スタート」では多少の差があるものでして、その多少の、僅かな差を大事に大事に握りしめた私は、次のメンタリティを発動させたのです。

「ココガ私ノ庭。負ケテナルモノカ」

要するに、若干の経験値を武器に精神的に優位なポジションをとってプレーに臨むというマインドですね。…ここだけピックアップするとだいぶ性悪な感じなんですが、それが言いたいわけではなくて。この、小さなきっかけを利用して練習や試合に取り組み、コツコツ積み上げた勝ち星が少しずつ自信に変わり、「あれ、意外とテニス上手いんじゃないか?」と思い始め、かつて軟式テニス時代にボコボコにされていた他校の生徒にも勝てるようになり、それがまた自信に繋がって、気づいたら県内でもそこそこ優秀な選手になっていたわけです。ここで、自信を持つことの大切さを学ぶことになります。

テニスは長いものだと何時間もかかるスポーツです。ですので、実力が互角、もしくは差があったとしても、上手にメンタルコントロールできれば試合を優位に進めることができます。どれだけ順調に試合を進めていても、2、3回連続で「あれ?」みたいなミスが続けば、自分のプレーに不安が生じ、ブレが出始めます。一流選手でもラケットを投げてしまうほどナーバスになるのです。そんなメンタルをうまくコントロールできれば、技術面で差がある相手にだって勝つことができるスポーツです。チビで特別身体能力が高いわけでもなかった自分がそこまで勝てたのは、やっぱり「メンタル」だったように思います。

「メンタル、トッテモ大事。トッテモ大事、メンタル。。」

そんな言葉を日々唱えながら練習に明け暮れていた高校時代。とある練習試合のこと。対戦相手はその学校のエース。団体戦の最後でギャラリーもわんさかいる中、エースでイケメンな彼の彼女らしき女子テニス部員も、応援の中に混ざっておりました。

「私ノ庭ヘ、ヨウコソ、、」

チビで黒光りするほど日焼けした私は、爆弾岩のような容姿を引っ提げて庭園に招きました。アタッカータイプのイケメンのショットをことごとく拾い、スタミナと精神力を削り、ミスを誘ったり、ちょうど取れないところへ球を流したりして、それはそれはボコボコに近い試合を展開。「あなたが彼女とデートしている間にも私ハテニスニ打チ込ミ、肌ハ焼ケ、コノヨウニ強クナッタノデスヨ、、」途中から卑屈マシーンのような心持ちで叩きのめすと、試合後、声援を送っていた彼女が言いました。

「ダイちゃん、怪我は大丈夫?」

…ケガ?

ダイちゃんは、彼女だけが知る、チームメイトにも内緒にしていた怪我をしていました。なんで黙ってたんだよ的な言葉に対し、ダイちゃんは言いました。

「ちょっとダンスでやっちゃってさ」

……ダンス?

おまえ無茶すんなよ的な言葉に対し、ダイちゃんはまた言いました。

「だって、負けたくないじゃんか」

……ナンデスッテ??

「いやぁ、完敗だったよ!またやろうね!」

……チョット待テ、君ハ何?テニス部ノエースデ、彼女モイテ、ダンスモヤッテテ、怪我シテルケド、負ケタクナクテ怪我隠シテ試合ニ出テ、ソレデ、、、???

カルチャーショックでした。ダイちゃんにとってテニスは生活のほんの一部で、他にもダンスがあって、彼女もいて、いろんなトピックがある中で、その一つがテニスなだけであって、逆にそれの一本槍で高校時代という青い春を過ごしていた自分にとっては余りにもキャパオーバーな出来事でした。鍛えに鍛えたメンタルだって通用しないやつ。3セットマッチだったら負けていたと思います。試合後に見せたテーピング、かきあげる仕草と共に思い出すあのサラサラヘアー、「またやろうね!」の声、、、思い出すだけで鈍く痛む思い出。試合に勝っても勝負では負けも負け、圧敗していたような、そんなダイちゃんの思い出。

最近は芸人仲間やテニスを通じて出会えた皆様と楽しんでおります。

そして先日、肉離れしました。ほどほどにしたいと思います。

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