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いとうしのは存在しない

「ガチバトル」の重要なメンバーである「いとうしの」が存在していない可能性が出てきた。
(なお、ガチバトルの構成員はふたりだけなので全員が重要なメンバーである。)

いや、彼女はたしかに現実に存在する人物なのだけれど、その存在をネット上で確認できるのはツイッターのアカウントのみで、それをつい先日消したらしい。

このようにLINEのやりとりは普通にしているので、べつに消息が分からなくなったとか、仲違いをしたというわけではない。

いとうしの自身がネットを通して自己表現をしたり承認欲求を満たそうとしたりするタイプではないし、「なんとなく忙しくてTwitterをログアウトしたらアカウント消えたかも?」くらいのテンションでこのことを話していたので、きっとそのくらいの温度の出来事なんだと思う。

ただ、「存在しません」という言葉から喚起されるイメージには、なんだかしびれるものがある。

「『存在していない』とされるいとうしのという存在」には、ロマンがあるような、ないような。「いるのにいない」かもしれなかったり、「いないのにいる」かもしれない、虹色の可能性をはらんだいとうしの。
もしかしたら、「いとうしの」も、ふたりで「ガチバトル」を名乗っていることも、すべて私の妄想や虚言なのかもしれない。
まあ、そんなことはもちろんないのだけれど。

ちなみに、実在しているいとうしのがどんなの人物なのかを一言で説明するのは難しいが、とても魅力的な女の子であることには間違いがない。
かしこく、見目麗しく、淡いピンク色の輪郭を持ったアマリリスのように上品な明るさがあり、ド近眼で、身長は軽く二メートルを超している。ガリガリメガネの乱暴者で大酒飲み。前科四犯、三浪五留、一流企業、今もっとも売れているタピオカ屋、クラゲのような軟体の持ち主でカバより何もしない。足から傘が生えていて、気象を操るでんでん太鼓を右手に持っているはずなのに上半身はいつもずぶ濡れ。そんな人間、存在するはずがない。

あれ?

いとうしのって……?


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