今日のあるある「メールの時「いえこちらこそ」の連続で、切り上げ時に迷う」

いかんせんメールとは最後どちらかが「がん無視」という形で終わる仕組みである。

もしリアルの場の別れなら両者で目を合わせて、「じゃね。」「ご機嫌よう。」と同じタイミングで笑顔を作って別れられるが、メールの場合はなんとなく、片方がとっくに背中を向いているところへ声をかけるような、どちらかが若干の情けなさを残してしまうことをまぬかれない。

ビジネスの場合、こっちが下の立場なら、やはりこっちが情けなく終わりたいものである。旅館の女将みたいなイメージだ。あっちが帰途に就くところへ「またのお越しをー。」と見えなくなるまで手を振って終わりたい。でもなんかたまに変にいい客で、「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」みたいにしつこく返信が来る時があるから困ってしまう。そういう時はしょうがないので私は「無視役」に回るが、なんかちょっと、無礼なことをしたような気持ち悪さが残る。

カッコいい男は、怒ってるっぽい。

これは、私が17、8の時に発見した法則である。

「カッコいい」とは、女らにキャーキャー言われる「二枚目」の意味である。

「怒ってる」ではなく「怒ってるっぽい」がコツだ。本当にだれかれかまわず怒鳴り散らしているようなやつはただのいやな野郎だが、「怒ってるっぽい」ところでとどめることが女子攻略に不可欠なポイントだと高校生の私は閃いたのである。

だって中学の頃のヤンキーもモテていたが、彼らは怒ってるっぽい(ヤンキーだから当たり前だ)。さらにキムタクや松田優作も、よく見ると、どこかイライラしているように見えなくもない瞬間があることに、君も気づかないだろうか?「あれ、なんか怒ってるのかな……?」「私なんかしたかなあ」と社会的動物である人間の不安・恐怖を喚起し、なんとなくほうっておけない気持ちにさせる。そしてこわごわ近づいていくと、ニッコリ笑ったり、しょうもない冗談を言ったりすれば好感度が一挙に上がるわけである。

この法則にしたがえば、結局メールをやり取りする時も「無視側」になることが重要であると結論できる。

むしろどちらかが無視で終わらざるをえないメールは、怒ってるっぽい感じを首尾よく演出できる格好のツールとさえ言えるかもしれない。ビジネスであろうが、プライベートであろうが、無視側で終わればいいのである。でも私の生まれながらの性格というか、親の教育の成果というか、他人にいらぬ心配をかけることにどうしても気づまりがあってなかなか難しい。キムタクや松田優作への道は、短いようで長い。

ならば一層のこと、無視役になろうとしないやつには、さらに返信してやろうか。私が「いや、なにをおっしゃいますやら。こちらこそ今後ともお願いします」。相手も負けない。「いやいや!とんでもございません!こちらこそですよ。どうぞよろしくお願いします。」と返してくる。

「無視役」押し付け合いテニスである。

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