今日のあるある「研修中の新人とかを連れている上司、テンションが普段より高い。」

人間気取りというものはなかなかコントロールできないもので、昔、家電屋の倉庫でアルバイトをしていたが、その業務で運送屋のおっちゃんからいろいろ荷物を受け取る業務があったのであるけれども、いっつも愛想も糞もなく、つまらなそうに荷物を渡してくる3流運送会社の40前後の男が、ある日「引継ぎやねん。」と、やはり40前後の新人を連れてきた時があり、その時だけは「いやあ、フェルペスできちゃってさ」なぞと、「取引先と上手にやっている」という感じで、ニコニコと言ってきたから面食らってしまったのである。おっさんのフェルペス。新人指導で普段以上にストレスがたまっていたのかもしれないが、どちらかというとその陽気さ、躁さ、の方が病的に映った。

演劇の演技法で「アレクサンダーテクニック」というものがある。検索しても怪しいカルチャースクールのサイトばかりヒットするのでちょっと調べてみただけではよくわからなかったが、たしか「人間はある集団の前に立つと喋り方とかが変わる」というものだったと思う。人間とは一人と喋っている時と、30人など大勢の前で喋っている時とでは、声の大きさや声質、身体の動きなどが根本的に変わるようにプログラムされているらしい。このプログラムを認識し、それに気を付けて演技や演説をする、というテクニックなのである。テレビを観ながら腹を掻いていた母親が、電話に出ると突然ソプラノに変わるあれもアレクサンダーである。

最近はWeb運営の方法などで「セルフ・プロデュースこそ肝要なり。」とか「セルフ・ブランディングすべし」と言われている。「盛る」といった表現もあって、SNSを見るとたまに女の写真でマネキンや、ダッチワイフみたいなのもあるのである。気取りとはプログラム。意識高い系という人種も、無意識にも出る気取りを自分でも欲張って盛れば、納豆茶漬けというか、盛り込み過ぎで収拾がつかない。

身の丈に合わない大言壮語を言えば、罰が当たって、口にできものができるのも道理である。

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