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ローポリチックな箱庭表現の検討とSketchfab

(約 6,400文字の記事です。)

一言で言うと、箱庭CGがもしかしたら一番やりたかったことなのかも、という一言の結論を得るまでキーボードを叩きながら考えただけの日記です。

終了。

*Sketchfab

3DCGをやっている人はかなりの人が知っている3DCG専門のSNSサイト、Sketchfab。ここには自作の3DCGメッシュをアップロードできる。閲覧者はブラウザから360度自由に立体を眺めることができる。

私は以前から知っていてアカウントもあったが、あまり使っていなかった。というのも、当時はまだ360度、人に見せるメッシュを作れる自信がなかったし、できたとしてもそれを公開する技術もなかった。特にテクスチャなどの知識がなかったから、立体としての完成型を作れなかった、と言うのもある。

今回、表現技法や表現方法を見直しているうちに、Sketchfabに辿り着いた。で色々感じたところがあったのでその日記。

*TOP絵はこちらの方の作品です。

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*箱庭表現はアリかも知れない

Sketchfabを眺めていて面白いなと思ったのは、箱庭表現だ。今まではTwinmotionを使って広大な空間を全部作ることを考えていた。広大な森、広大な空、望遠から広角まで耐えられる風景作り。それはとても大変だった。

それに対して箱庭の場合は、きちんと近景に境界線を引く。土台の大きさを決めてしまう。背景も紙芝居のように、ちょっと奥側に湾曲した大きな絵を配置する手法が多い。リアルなミニチュアの撮影のように。

こういう手法もアリだなと思った。

*ローポリチックな表現でシンプルに表現する

例えば、針葉樹ならこれでもいいと思っている。

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箱庭表現には必ずしもハイポリは必要ない。もちろんノーマルマップを作るために一時的にハイポリにしてスカルプトしてから、最終的にデータの軽量化のためにローポリ+ノーマルマップ+テクスチャマップになることはあるだろうが。ローポリに戻すのはSketchfabやゲーム用途などのハードウェア的な制限を緩和するための措置だと思う。重いよりは軽い方がいいのが3DCGだから。ただZbrushメインで造形するとZRemesherの特性上、ある程度のポリゴン数以上にはなってしまう。ミドルポリゴン程度?ローポリよりは高い。

*Twinmotionは解像度が高すぎる

Twinmotionはリアルだ。リアルすぎるのだ。

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樹木、草木、大地、砂、石、リアルだ。ドラッグで適当に地面を作ってもこうなる。建築用途だからそうでないとシミュレーションの意味がないというのは分かる。

だが、自分で作品作りの環境として考えると、かなり解像度が高い。リアルすぎるのだ。最初は、お手軽なのにリアルで最高だ、と思った。だが、キャラと差が激しすぎる。また自作の小物との差が激しい。樹木、大地、石が超絶リアルなのに、建物が箱庭表現だと、やはり浮く。仮にTwinmotionでテクスチャを指定できても、実は、UV展開がTwinmotion任せなので、見せたくないところにシームができることもある。結果的に、今のところTwinmotionではマテリアルの模様を使っていない。ほぼフルマットのプラスチック状態だ。なので将来的にテクスチャを使った凝った表現をするためにはTwinmotionでの限界を感じた。

また、Twinmotionから外に出せないというのも不安材料だ。つまり完パケをTwinmotion上で仕上げなければならないという制限。これはちょっと不安。というのも、せっかく立体仕上げなのに外に出せないというのは、かなりの制限だからだ。レンダラーの変更だったり、マテリアルの追求だったりを考えると、どうしても限界が近い。今はいいけれど、将来的な技術のステップは頭打ちが早い。

もちろん色んなことをドラッグ一発でかなりの品質まで仕上げられるから、Twinmotionは便利だ。時間効率はいいだろう。

だが、3DCGという表現を追求していく上では、結構すぐに上限に達する気がする。便利故のソフト上の制限に達しやすい。

また風景の解像度がリアル並に高いことも、手作り感を演出するのに逆効果だ。リアルすぎる。もっとこう、丸っこくて手作り感のある表現にしたいのだ。紙粘土と絵の具で作る様な世界観。シンプルでいいのだ。発光系エフェクトはCLIP STUDIO PAINT仕上げの技がある。

*Twinmotionの高すぎる解像度が創作意欲のブレーキ?

これかも知れないと思ったのだ。空の雲もリアルだし、遠くもかすむ。でも、本当は、コッペパンみたいな雲が転々と浮いているだけでいいんだ。かすんでなくていい。夕日の表現はお手軽作業で作れたからよかったけれど。確かに環境光制御ツールとしてはTwinmotionは優秀だ。季節も天候も時間帯も太陽の具合もドラッグでパラメータ制御だから楽だ。それをBlenderでやろうとするととても大変なのはすぐに分かる。

だが、このままTwinmotion依存で作品作りを進めていいのかという迷いがある。Twinmotionもいずれは無料ではなくなるだろうし、何よりも取り出せないというのが行き詰まり感がある。

*Blenderによる絵作り?

やはりゆくゆくはBlenderによるレンダリング出力に移行したいが、今すぐは無理だ。どうやってもTwinmotion上で天候制御した方が早い。質感についてもしばらくはこだわる予定がないのでベタ塗り一色ならTwinmotionでも問題ない。

*UE4アセットによるオブジェクトの流用

これも検討してみたが、やはりゲーム用なのでリアル路線だ。そしてアセットごとのパラメータが多く、はっきり言って使いこなせる気がしない。

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こういう表現力なんだな。リアルすぎる。そしてどうやって配置するのかすら謎。光源制御とかできる気がしない。

もっとシンプルに使いたいんだな。ねんど細工のデジタル版でいい。

*世界観全体をシンプルにするなら全部統一する

これが今のところの結論だ。全部を自力で作る必要はなく、無料アセットを使ったり加工したりしてもいい。とにかく世界観を統一しないとちぐはぐ感が出る。

とはいえいきなりTwinmotionを中止にすることもできない。なので、木々、草、石、川、大地、雲、空、太陽など、徐々にTwinmotionから手作りオブジェクトに割合を変えていく。なので当面はTwinmotion依存の撮影環境だが、その依存度を徐々に減らす。最終的にはフルで自前のメッシュで箱庭を作り、Blenderのレンダリング環境で絵作りしたい。コッペパンの雲や、ジャガイモ乱切りのような石ころでいい。食べ物ばっかりだな(笑)

*やりたかったことはジオラマ作りだったのかも

だから、本当は、リアルな樹木も草木も必要なかった。ローポリの樹木と、三角がつんつんの草が転々とあればよかった。茶色の大地でいい。石ころは気分で置くかも知れない。テクスチャはしばらくは考えない。ベタ一色か、ポリペイントでこする程度の柔らかい表現でいい。質感を追求するなら全体的にやらなければならない。そうしないと統一感がなくなる。今は質感よりも表現することそのものを達成したいのでそれは後回し。どう表現するかの模索の方が先だ。

*手作り感と、柔らかな優しい表現、世界観を作りたい

私が本当に作りたいのは、これだろうな。手作り感。軟らかい表現。平和な感じ。ミニチュア感。リアルさではない表現。ワンシーン。箱庭で十分いい。ほわっとした空気感。それでいいんだ。今のTwinmotionのリアル感は対極にある。だからそこに引きずられて細部に目が行ってしまう。アラが目立つように感じる。ヘボい、ショボい、と感じる。だからやる気がなくなる。だから高品質のポートフォリオを作った方がいいのかな、なんて迷うわけだ。

ねんど細工を地で行く柔らかい表現が必要なんだ。細部ではなく、世界観、空気感、コンパクトにまとまったほっこりした空間の表現。どうもTwinmotionを使うとこれと逆の表現になるのだ。Sketchfabの箱庭の作品群を眺めて、そう思った。リアルな背景が、広大な空が広がっていなくてもいい。1枚の円盤上に表現されていてもいい。背景が湾曲した紙芝居で用意されていてもいい。裏から見れば舞台裏が見えていい。それもまた面白い。ミニチュア感が出ている。

*脱Twinmotionかもしれない

一方でTwinmotionはどこまでも広大でリアルだから、際限がない。けれど、ワンシーンとして見せたいエリアは決まっている。そこを箱庭にして柔らかい表現にしてもいいのでは?と思ったのである。そうなると、できるだけ早くTwinmotion依存の表現から手作りオブジェクト表現へのシフトが必要だ。

光源と空と時間帯の制御の点からしばらくはTwinmotion依存だが、それら以外は積極的に手作りオブジェクトに差し替えていく。最終的にBlenderで天候制御ができるようになったとき、脱Twinmotionが完了してBlenderに完全移行すると思う。それまでにはBlenderの勉強も進める必要があるため、作品作りと、Blender学習とを平行して進めることになるだろう。小説は進まないな、こりゃ(笑)

*若干モチベーションの回復

草木や石ころから自由に作っていいというスタート感。これが気楽でいい。ただ、今まではどうやって作ろうかを考えていたが、Sketchfabを眺めていて、だいたいの先人のアプローチ方法が見えてきたので、その中から気に入った方法で手作り草・石を作っていこうと思う。もちろん無料で使えるアセットについてはありがたく活用したい。ただし営利OKとCCのクレジット表示には気を付けて利用するかどうか検討したい。一番いいのはフルスクラッチのMyオリジナルだが、それも非効率ではある。表示すべき物を表示すれば営利目的で使っていい物もあるのだから、ありがたく使うのがいいかもしれない。

世界観全部を自力で作るってのは、欲張りというか、ちょっと寿命が足りない気がする(笑)少なくともオブジェクトについては、CCに沿った運用ならば使えるわけで。それも検討したい。

*先人達の箱庭表現テクニックをインプットする

これまでの3DCGイラストは、100%自分の内側から出てきた表現だった。そして表現の泉が枯れた(笑)インプットなしのアウトプットとはそんなもんだと実感した。

これからは、とりあえず箱庭表現という一つのテーマが決まったので、Sketchfabを眺めながら先人達の表現方法をインプットすることにする。そして形を自分の手で作ってアウトプットしながら足りないアセットを作ったり、利用OKなアセットなどを駆使したりして箱庭ワンシーンを作る。これの繰り返しで自分の世界観に必要な物をどんどん作る。モデリングに関してはこのフローでしばらくは楽しめそうだ。

*ゆくゆくはBlenderでレンダリング

で、ツールの使い方についてはある程度モデリングに飽きた頃にBlenderでのレンダリング表現の学習を開始する。その頃にはBlenderも2.82くらいになっていて、スカルプトツールが充実している頃だろうし、デノイザーの精度も上がっているはずなので、Cyclesでも短時間の割には表現力の高いレンダリング結果を得られるようになっているはずだ。

そうなると私の3DCG表現はBlenderのEEVEEやCyclesでの一本化ができているはずだ。ハードサーフェスなナイフなんかをきりっとレンダリングできてると思う。その必要性はおいといて。とはいえ主目的は箱庭表現なので、それができるようになったら自分がSketchfabにアップロードする側になっていたりするのかも知れない。3DCGのポートフォリオはやはり3DCGで見せるのが一番早いからね。

ただし、リアル路線ではなくほっこり路線だと思う。Zbrush特有の滑らか表現を駆使したい。ローポリチックとは行っても、別にカクカクである必要はなくて、細部を取り除いた表現、という意味で3DCG的に言えばローポリ化して細部をなしにした表現、と言う意味だ。実際にはポリゴン数やメッシュなどどうでもいい。モーションしないから。

*Sketchfab閲覧と小物モデリングの日々かな

なので、無意味に小説の線画を3DCG起こしするのは終了です。モチベーションがない。表現としては線画としてワンシーンになっている物をわざわざ3DCGにしても、伝えたいワンシーンは変わらない。だからそこに無意味さを感じてしまったのかも知れない。できることが確認できたのでその必要性がなくなった。もうなぞることに意味がない。

今度は、作りたい世界観を作るために必要な物を用意して配置して眺める必要がありそうだ。線画にしていない部分、世界観を作れるかどうか。んで、小物を作りながら世界観とかキャラとかちょろちょろっと考えていこうと思う。

そのためにはまずは箱庭表現の目を肥やす必要がある。どのぐらいのポリゴン数、どんなポリ割り、どういう風にそれらを表現するのか、どこまで情報として丸めるとかわいいのか、それを知る必要がある。切り株1つ作るにしても、どうせなら可愛いほうがいい。その上にキャラを座らせたい。ただし、これは自分だけの試行錯誤では身に付かない。インプットの必要性。他人の表現からの学習だ。アートではいつの時代も、模倣は独創の母らしい。

シンプルな物なら真似して作るのも短時間でできる。毎日コツコツ作るのに丁度いい。それが溜まれば、もちろん箱庭1つを作れる。それは楽しそうだ。

*作りたかったのは箱庭表現だったんだな、きっと。

やる気が出てきた(笑)ちっちゃくてコンパクトにまとまっているのが好きみたいなんだ。やりたいことをやりたいようにやって、自分が満たされて、周りも少し幸せになれるなら、それが一番いいことだ。ようやく3DCGで、本当に自分が表現したい方向が見えた気がした。

諦めないでよかったよ。


さて何を作ろうか、草、石、あとパン。食品は料理後も素材も作りたい。シンプルで丸っこく。基本、食べ物はモデリングしたいという欲求がある。腹ぺこだから?ただし非リアル路線。テカリとかシズル感とか言い出すと永遠に終わらない。例えて言うなら、ジャムおじさんの作るパン程度を目指す。ま、どこかの誰かが作っている気もするが、世界観に合うほっこりした食材がなければ、モデリングして色を塗って作るだけだ。それも楽しそうだ。丸い表現はZbrushの得意とするところだし。

*過去の線画起こしからの開放、微細表現からの開放、自由だ

結局、自分を縛っていたのは自分の考え方、価値感、手法だったわけで。それを開放したら、何だか楽になった。自由に作ります。それだけ。


さて、何を作ろうか。箱庭は広大だわ……。


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今回の創作活動は約1時間30分(累積 約1,178時間)
(359回目のnote更新)

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読んでくれてありがとう。気長にマイペースに書いてます。この出会いに感謝😊