TsukasaHirano🇧🇷

「ブラジル市場のビジネス解像度を上げる」。南米ブラジル通算20年目。東京でIT企業に4…

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「ブラジル市場のビジネス解像度を上げる」。南米ブラジル通算20年目。東京でIT企業に4年間勤務後、首都ブラジリアのコンサル企業でのインターンを経て転職・移住。サンパウロで起業。海外進出駐在代行 / 農業 / モビリティ/ WAOJE twitter:@tsukasahirano

最近の記事

BRICSのBを知る:電子決済システムPixとは

Pixはブラジルで利用可能な新しい電子決済システムで、ブラジル中央銀行により2020年に導入されました。 Pixは、銀行口座間でリアルタイムで資金を送受信できるシステムです。これだけ聞くと銀行振込の仕組みと変わらないように聞こえますが、日常の様々な場面で使える、非常に利便性の高い決済手段となっています。 日本でも、複数のメディアによりその特徴が紹介されています。 この記事では、Pixを実際に日常生活や業務で使っている身として、なるべく分かりやすく、具体例を交えながらその

    • BRICS時代の選択:敢えて、流動的な社会を選ぶ

      こんにちは。@tsukasahiranoです。 前回まではブラジルに移り住んだ経緯について記しましたが、実際に住んでみて、そして日本社会を外から眺める中で考えたことのうち、ヒントとなり得る考え方について記してみたいと思います。 現代の日本社会の硬直化と行動のしづらさ近年、スマートフォンのような先進的なコミュニケーション手段が浸透してきたことにより、情報の流れや社会の変化のスピードは格段に上がってきています。 インターネット登場以前の社会も知っているだけに、そのペースは明

      • BRICS時代の選択: 会社を辞めて途上国に渡る判断で重視したこと

        こんにちは。@tsukasahiranoです。 勤めていた会社を辞めてブラジルに行こう ── そのように決めること自体はすんなりできたものの、果たしてその選択が望ましいものなのか、いくつかの点でやはり考えました。 今回は渡航の決断の前に、一体どういう点について何を考えたのかを記してみます。 先進国?不安定な発展途上国?2004年当時、ブラジルは世界から注目され始めていました。 BRICsという、これから発展の期待される4ヶ国(ブラジル、ロシア、インド、中国。後に南アフ

        • BRICS時代の選択: 26歳での人生最大の決断

          こんにちは。@tsukasahiranoです。 今回は新卒で就職した会社での4年間の社会人生活の中で、ブラジル行きを決めるに至るまでの心境の変化について記してみます。 会社勤めで悶々とする日々大学の卒業旅行で、幼少期の頃以来久しぶりにブラジルを訪れた私は、内定を得ていた会社に入社します。 配属された部署は、東京の本社にある、日本の官公庁を顧客とするシステムの営業部門でした。会社側の配慮があったのか、この部署は大学の卒論で研究した分野(交通経済学)とも近く、モチベーション

        BRICSのBを知る:電子決済システムPixとは

          BRICS時代の選択: サラリーマン駐在員子息としてのブラジルの再訪

          こんにちは。@tsukasahiranoです。 私の最も古い記憶は、ブラジルにあります。3歳から7歳の時に、父の転勤でサンパウロに住んでいたためです。 「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものです。もしもこの経験がなければ、移住先にブラジルという国を選ぶことはなかったでしょう。 ある国にいざ住もうとしてみるときに、実際にその国を訪ねて自分の目で見たか、というのは、判断する上で重要です。やはり人に聞いた話や想像だけでは、そこに旅行に行くか行かないかならまだしも、移住までの判

          BRICS時代の選択: サラリーマン駐在員子息としてのブラジルの再訪

          BRICS時代の選択: 私のブラジルへの海外移住

          こんにちは!ブラジル生活18年目の@tsukasahiranoです。 日本生まれですが、ブラジルでのインターンに続く転職、そして起業というキャリアを歩んできました。 最近は、日本経済の低迷や円安の影響など様々な要因から、海外移住という言葉がよく聞かれるようになりました。またこのところ縁もあって、ブラジルに限らず、海外に拠点を置く日本人起業家に数多くの知人ができ、海外移住した日本人のリアルを知る機会に恵まれました。 そんな中で気付いたのは、そうした海外移住の華々しい点が

          BRICS時代の選択: 私のブラジルへの海外移住

          ブラジルのCOVID-19報道に接するためのモノサシ(5/14)

          ブラジルはCOVID-19の死亡者数が5月11日に11,500人を超え、深刻さが増している。現地報道では、医療現場の状況や、感染者や亡くなった人を抱える家族のインタビューなど、痛ましい様子が次から次へと伝えられている。 その一方で、日本でのブラジル関連の報道を見た人からは「大統領が経済活動の維持に固執していることで、感染者・死者の増加が止まらず大変な様子のようだ」という一言で総括されることがある。 当地で暮らす者の目線では、これは半部くらい合っているようでもう半分にはどこ

          ブラジルのCOVID-19報道に接するためのモノサシ(5/14)

          自らの弱点を理解しているブラジル(5/11)

          先日、ブラジルのCOVID-19による死亡者数が1万人を超えたことが日本語メディアでも大きく取り上げられた。「1万」という数字は書けば簡単だが、その1人1人に悲しみに包まれている家族がいることを想像すると、心が痛む。 ただ、当地で生活する者の感覚をもって誤解を恐れずに言えば、ブラジルに新型コロナウイルスが上陸した時点で、大変な事態になることは十分に想像できていた。 ブラジル社会がこのような感染症に対して脆弱であることは、普段の生活の中で感じている問題点を指摘していくだけで

          自らの弱点を理解しているブラジル(5/11)

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/10)

          ブラジルのCOVID-19感染者数は、5月10日時点で16万2千人超。また、死亡者は1万1千人を超えた。 例によって、EUの2倍の国土を誇るブラジル一国として見ようとすると捉えどころがなくなるため、サンパウロ州のデータを見てみる。 サンパウロ州は、感染確認数が4万5千人。州の人口が4,500万人のため、千人に1人に感染が確認された計算になる。死亡者数は3,709人で、ブラジル全体の死亡者数の3割強がサンパウロ州で占められている。 なお、日本人も多く住むサンパウロ市の感染

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/10)

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/9)

          ブラジルのCOVID-19感染者数は15万5千人、死亡者はとうとう1万人を超えてしまった。 いずれも州別では、サンパウロ州が感染者数4万4千人、死亡者3,600人と最も多くなっている。また人口10万人あたりで見ると、いずれも赤道直下のアマパー州とアマゾナス州がそれぞれ感染者数が294人・287人で、死亡者数は医療崩壊を起しているマナウス市を抱えたアマゾナス州が10万人あたり23人と、それに続くセアラー州のほぼ倍の割合となっており、深刻さが際立っている。 赤道に近い州での感

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/9)

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/8)

          ブラジル保健省の発表では、COVID-19による死者数は5月8日時点で累計9,897人となった。各州から連邦政府への報告にはタイムラグがあり、州毎の発表数字を集計した速報では、すでに1万人を超えたことが報じられている。 死者数発表の見方COVID-19による死者数が毎日発表されているのを見ていると、ついつい昨日から今日にかけてそれだけの数の方が亡くなった様子を想像してしまう。しかしそれは正確ではない。 この数字はあくまで、死因がCOVID-19であったことが過去24時間以

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/8)

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/7)

          ブラジル国内のCOVID-19の感染拡大は勢いを衰えることなく、新たに9,900人の感染が確認され、累計の感染者数は135,000人に。また死者は610人増の9,146人となった。その一方で、これまでに55,350人が治癒している。 格差社会を襲う新型コロナウイルスブラジルは社会格差の激しい国で、例えば人工呼吸器を備えた集中治療病床の備わり方でも地域格差が見られる。 感染拡大が特に深刻なアマゾン川流域のアマゾナス州では、人口10万人あたり7床なのに対し、首都ブラジリアのあ

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/7)

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/6)

          欧米での感染拡大がピークを打ったことから、次は新興国が危ないと言われるようになった。 実際にブラジルでは感染が大きく拡大。5月6日には累計死者が8,500人を超え、ベルギーを抜いて世界で6番目に多い国となっている。感染者数は12万5千人に達した。 また、ボルソナーロ大統領の「配慮がない」とされる発言の数々も国外で大きく取り上げられ、それがためにブラジルの実際の状況がどうなっているのかの問合せも多く受けるようになっている。 そこで、ここでは日々刻々と状況が変わる中で、ブラ

          Withコロナのブラジル・サンパウロから(5/6)

          人生の回り道をすることの価値は、どうすれば見い出されるのか?

          ブラジル国内の企業や団体でインターンをする日本人の若者のお手伝いをしています。 1年間、ブラジルの企業や団体に受け入れてもらい、ブラジル社会の中で生きてもらうというプログラムです。主役はもちろんインターン生。そして制度の趣旨に理解いただき引き受けていただける現地企業や団体の協力で成り立っています。 私自身、このプログラムを通じてブラジルにやってきたOBです。今は黒子として、ブラジル側で制度の運営をボランティアで手伝っています。留学、あるいは駐在員として来るよりも、現地社会

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          外国人が働きたい国ランキングで日本がワースト2位、をどう見るか

          英国の金融大手HSBCが毎年行なっている海外駐在員の生活調査レポートが、SNS上で話題です。 これは全ての国や地域を対象としたわけではなく、あくまで一定の回答サンプル数に達した33の国・地域をランキングにしたものですが、ここで日本が総合順位で32位とブービー賞となったことが話題となっています。 ちなみにブービー賞ということは下位にもう1カ国あるわけですが、日本と仲良く最下位でワンツーフィニッシュしたのは、なんと私の住むブラジルでした。 このように個人的に非常に興味をそそ

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          国際政治の道具と化しているアマゾン熱帯雨林の火災問題(5・終)

          アマゾン森林火災問題が世界中の注目を集めてから、1週間が過ぎました。 国外からのプレッシャーの高まりがブラジル国内でも大きな論争を呼び、その議論は未だに収まる気配がありません。 その間に、ブラジル政府は森林火災が収束に向かっていることをアピール。軍の消火活動への参加に加え、火災が起きていた地域に降雨があったためとも説明されますが、ブラジル国立宇宙研究所(INPE)が発表するアマゾン地域の火災検知データの信憑性について大統領が盛大に批判を行ったことから((3)参照)、このデ

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