No27_表題図JPEG03

月影太陽光発電所 No27 ホットスポット(1)

 今回は、JIS改訂にともなった、初級1初級3初級4の続編です。太陽電池モジュールは、影や落ち葉などで太陽光が局部的に遮られたり,モジュールを構成する太陽電池セルの一部にセル・クラックのような特性劣化が発生した場合に,セル温度が上昇する『ホットスポット』現象が知られています。太陽電池モジュールの動作電流は10A近くが流れますので、セル・クラックのような場合での発熱は予想されることですが、太陽光が局部的に遮られただけでもホットスポットが発生する現象は説明が容易ではありません。
ましてや、このような現象に対処するために、太陽電池モジュール内部にはバイパスダイオードが接続されている筈では?の問いに答えられる技術者は太陽光発電の電子系エンジニアしかいないかも知れません。困ったことに、太陽光発電関係のネット検索から得られる技術解説には、点検業者やコンサルタントの記述・セミナーもありますが、誤解を招く記載も見かけます。
 このような状況ですが、日射遮蔽でのホットスポットに関する記述のある認証試験規格『JISC8990:型式認証に対する要求事項_10.9項ホットスポット耐久性試験』が、新規に『JISC61215-2:2020_4.9項』に変更されました。
日本産業標準調査会のJIS検索から拝読しましたが、IEC規格の翻訳版!ですので、月影には「ちょっと手強い人文系文書」に想えました。
*注)皮肉ではありません。。認証のための試験用規格なので、解説書で
   はありません。エンジニア侍には、このような古典的現象に通じてい
   るのを前提とした規格かも知れません。
   
 しかし、太陽電池モジュールのホットスポット現象は設計〜保守のエンジニアにとって必要な知識ですので、LTspice応用の練習も兼ねて、日射遮蔽でのホットスポット現象シミュレーションの補足説明をさせていただきます。
 なお、今回の説明も例によって、月影が考えたシミュレーション解ですので、間違っている可能性があります。お読みになった方は、JISC61215-2:2020の4.9項を確認し、ご自身で調査・確認されることをオススメします。

・ホットスポット現象での太陽電池セル等価回路設計
 太陽電池モジュールの下記等価回路モデルはモジュール単位の日影出力低下シミュレーション(基礎4に説明)は可能ですが、太陽電池セルへの部分影によるホットスポット現象や内部断線等の故障モード分析では、この等価回路に手を加えなければいけません。

モジュールモデルの疑問

 その理由は、一般的な等価回路モデルは太陽電池セルの逆方向特性が反映されていない事にあります。上図は太陽電池モジュールの等価回路図ですが、セルストリングのダイオード列を示すD1には逆方向特性が明示されていません。これは、太陽電池モジュール定格出力性能はセル列の順方向特性ですが、逆方向性能はバイパスダイオード:D2〜D4の特性だからです。
セルの逆方向特性値はセル単体ならば測定できますが、モジュールに組立後は、セルの逆方向特性を測定できない構成なので、セル列D1の逆方向特性は公開がされない特性値です。
その理由は、下図に示すように、モジュール状態ではバイパスダイオードが端子ボックスに内蔵されており、性能測定ではセル列の逆方向特性が現れないからです。モジュールの逆方向特性は、バイパス・ダイオードの順方向特性が現れ、太陽電池セル列の逆方向特性は測定できません。

No27_I-Vカーブ

 このため、太陽電池セル部の等価回路が逆方向特性を備えていなくても、太陽電池アレイの出力シミュレーションは、バイパスダイオード特性さえ備えたモジュール等価回路で対応ができます。もちろん、モジュール単位での日影による出力低下シミュレーションも可能です。
 しかし、モジュール1枚を単位としたシミュレーションは可能ですが、太陽電池セル:1枚への影や、モジュール内部のセル間導線断線の影響をシミュレーション解析する場合の等価回路はどうすれば良いでしょうか?
 下図は、太陽電池モジュールの代表的なセル配列図(60枚直列セルと50枚直列セル)ですが、このセルを等価回路で構成できれば、セル単位の影問題やインターコネクト導線部の断線も分析できそうです。
無償回路CAE:LTspiceはマルチスレッド対応ですし、他の無償版CAEのような素子数制限もかけられていません。モジュールをセル配列構成で表現しても計算時間やメモリーは必要ですが、現在のPC能力ならシミュレーション可能な範囲です。

上級3_モジュール結線図6×10と5×10

では、太陽電池セルの等価回路モデルをどのように作成すれば良いでしょうか? 太陽電池モジュールは数10枚のセルが直列接続された構成なので、モジュール定格の情報から太陽電池モジュール等価回路を作成し、さらにモジュール等価回路とセル等価回路間の枚数比関係から、セルの発電性能回路部は作成ができそうです。

No27セル等価回路によるモジュール図


 太陽電池モジュール等価回路は、数10枚の直列セルからなるストリング回路を一括した等価回路です。このことから、下図左のモジュール等価回路と右図:セル等価回路の関係は下表の比例則関係が成立します。上級4に説明しましたが、太陽電池モジュール等価回路はカタログ定格値より作成できるので、この等価回路定数から太陽電池セル等価回路をセル枚数の比例則にて作成できます。

No27_モジュールとセル等価回路

No27_定数比例則説明表


 しかし、冒頭にのべた理由で、比例則で作成したセル等価回路は逆方向特性を算出することができません。太陽電池モジュール間の解析ではモジュール等価回路ブロックに並列にバイパスダイオードが配置されていることから、モジュール間に逆方向電圧が印加されてもバイパスダイオード特性による正常なシミュレーションが出来ます。しかし、セル単位の解析では、バイパスダイオードはセル10数枚単位毎に1個接続されているだけなので、セル間に逆方向電圧が印加される解析では、セルの逆方向特性をセル等価回路が持つ必要があります。
 つまり、モジュール内部の故障や、セル部への部分的な日影解析では、太陽電池セルに逆方向電圧が印加されるため、逆方向特性を備えた太陽電池セル等価回路が必要なのです。
 ただ残念なことに、太陽電池セルの逆方向特性値は、セル・カタログには記載されないのが慣行のようです。下記は、Jinko Solar社のセル・カタログ例ですが、半導体カタログの仕様書的体裁はとられておらず、モジュール仕様と同じ定格項目に留まっています。

No27_MonoPERC特性表


・太陽電池セル:逆方向特性の作成
 上述のように、モジュール毎のセル仕様は公開されていませんが、現行セルの逆方向特性を、20V(漏れ電流:0.2A時)を上限規格として想定した場合は、下記の上段図のような特性カーブになります。また、下段図はセル等価回路に逆方向特性回路を付加したLTspice出力例ですが、これはセル逆方向耐圧/漏れ電流点:-20V/0.2Aに設定した単純な等価回路による出力例です。

No27_セルIV図

No.27_セル逆方向I-V特性

 逆方向特性を備えたセル等価回路の作成にあたっては、セル製造プロセスの違いから生じる逆方向特性カーブや規格設定を考慮し、逆方向特性が簡単に調整できる構成を考えます。また、発電部の等価回路はモジュールの比例則から作成しますし、日影セルの逆方向特性変化による影響を検討するためには、セル等価回路の発電出力性能に逆方向特性が影響しない構成が理想です。
 このようなセル等価回路は電子系エンジニアには簡単ですし、LTspiceの習熟用に素子作成訓練も兼ねた面白い課題にもなります。下記の仕様で、太陽電池セル等価回路の作成をしてみてはどうでしょうか。
 (月影流:LTspice武芸 逆方向の太刀 課題)
 1).太陽電池セル等価回路は一般等価回路モデルに、逆方向耐圧/漏
    れ電流を与える逆方向特性回路を追加する構成とし、発電性能に影響
   が非常に小さい回路にします。逆方向特性回路は解析での比較対応に
  便利なように、逆方向耐圧と漏れ電流値を変化させても、発電性能には
  影響を与えない構成にします。
 2).太陽電池セル等価回路の発電部品定数は、太陽電池モジュール等価回
   路定数からセル枚数比例則にて作成できること。
   3).上記の考えで作成したセル等価回路をセル枚数分並べたモジュール回路
  を再構成し、モジュール定格に合致すること。

蛇足になりますが、旧JISC8990:型式認証に対する要求事項_10.9項ホットスポット耐久性試験 図7では、セルの逆方向耐圧が低く、他セルの発生電圧に対し、漏れ電流的な動作をする電圧制限型(タイプA)、と非常に大きな電流が流れる電流制限型(タイプB)が示されています。下図のように、セル・プロセス:タイプB(電流制限型)は逆方向耐圧も低く、逆方向漏れ電流が数A以上であることを示しています。
この事は、過去に販売された太陽電池モジュールは逆漏れ電流が非常に大きいセル・プロセス:Bであったことを表現したものと想います。
 なお、JISC61215-2:2020 では、この説明図はありません。また、セルタイプ区分も違った内容になっていますので、セルプロセスの進化により逆方向電流が低下したことが推定されます。
(参考)
・旧JISC8990:2009 10.9項  図7引用図 と現JISの差異
  旧JIS規格は、日本産業標準調査会から、現在は検索できません。
 新たに、ホットスポット耐久試験規格としてJISC61215-2:2020 4.9項が
 制定されていますが、セル説明に違いがありますので注意が必要です。
   電圧制限型セル:シャント抵抗値が大きいセル
   電流制限型セル:シャント抵抗値が小さいセル
 と表現されており、「逆耐圧電圧(S-1)セルのFmpやIsc値」の説明は
 なく、シャント抵抗値による区分数値は説明がされていません。
 

No27_jisc8990図7セル逆方向特性図

・日射遮蔽でのホットスポット発熱とセル逆方向特性
 さて、影の時にセルに逆電圧がかかり発熱しそうなイメージはありますが、そもそもホットスポット現象は認証試験ではどのような意味を持つのでしょうか?
新JISC61215-2:2020「モジュールの設計適格性確認・認証ー試験方法 」4.9項ホットスポット耐久試験項目では、太陽電池セルのホットスポット時温度を最悪条件で測定していることからも、耐熱安全性を確認しています。
 ホットスポット現象は太陽電池モジュールの信頼性・安全性上の弱点であり、モジュール材料やセル・ストリング構成の大きな制約になっています。
ホットスポット発熱は、正常モジュールであっても、影・木の葉等による日射量低減部があれば、セルの逆方向特性により発熱電力を発生する現象であり、保守点検でも監理が必要な事項です。このことから、太陽電池モジュール設計~アレイの設置設計~保守点検での影問題判定や赤外線カメラによる故障診断、を業務としている方には理解が必要な基礎知識です。 
 しかし、JISC61215-2:2020_4.9項 ホットスポット耐久試験は安全性視点での発熱温度の測定・評価文書であり、発熱の原理・計算資料としては書かれていません。ただ、太陽電池セルは単純な構成ですので、前述のように逆方向特性を備えたセル等価回路を作成さえすれば、セル毎に日射量を可変にし、影や木の葉によるホットスポット発熱電力をシミュレーションすることで、発熱の正確な理解はできそうです。

 ではホットスポット現象を、セル等価回路をもちいた発熱電力シミュレーションにて、「JISC61215-2:2020_4.9項 ホットスポット耐久試験」解説も兼ねて、順番に説明していきたいと想います。
 すこし長くなりますので、1.現象説明、2.LTspice計算手法、の順に、下記説明をしていきます。
  1.現象説明は、JISC61215-2:2020_4.9項 ホットスポット耐久試験
    の内容から抜粋した月影意訳版的に説明します。(本noteです。)
  2.ホットスポット現象のシミュレーション手法
     新規格:JISC61215-2:2020_4.9項 ホットスポット耐久試験の
     内容を、シャープ製太陽電池モジュール:NU-240AHの
     セル等価回路モデルを使用して説明を予定してます。
    ・LTspice用のホットスポット解析用回路をダウンロードいただく
       ことで、シミュレーション動作にて確認ができます。
     (LTspiceによるCAE学習例題として、操作練習に使えます。)

まずは、1.現象説明として、JISC61215-2:2020_4.9項 ホットスポット耐久試験の概要を、月影意訳版にてお楽しみください。

1.ホットスポット現象の概要
   JISC61215-2:2020_4.9項 
   太陽電池モジュール:ホットスポット耐久試験 による概要説明  

 ・耐久試験の目的
   ホットスポット現象は、不良セル/ミスマッチセル/影等の遮光/
  ガラス面の汚染により発生
します。
  ホットスポット発熱による、はんだの溶融、封止材劣化等の著しい
  外観異常と絶縁性能を合否判定基準に採用しますが、発熱部温度と
  出力劣化は判定基準にしていません。この認証試験は、1時間〜最長5
  時間の温度上昇試験による、外観異常と絶縁性能の安全性評価
です。
  耐久試験の名称にはなっていますが、影によるホットスポット現象での
  最悪条件:「モジュール出力の短絡」at 50℃ での、短時間耐熱性の
  の試験です。太陽電池アレイでは、パワコンのMPPT制御により動作
  点が変化し、JIS試験条件の短絡電流より若干低い電流点で動作します。
   しかし、ホットスポット現象によるセル部やバイパスダイオードへの
  熱衝撃的な繰り返し試験はなく、連続耐熱性試験でもないことから、最
  低限まもるべき安全規格として定めたものと想います。
 ・ホットスポット現象の解説
   
ホットスポット発熱は、遮光セルまたは不良セルストリングが他セル
 部の発生電流より低下している場合、モジュールの出力電流が不良セル部
 に強制的に逆バイアスがかかり、電力消費(発熱)し、過熱までにつなが
 る事象
です。日射量が多く、発電量が大きい時に、劣化部位が部分集中し
 ていると、逆バイアスセルが過熱し、下記の事象の可能性があります。
    ・はんだの溶融
    ・封止材、フロントシート/バックシートの劣化
    ・カバーガラスの割れ
    バイパスダイオードは各セルに並列配置することで影等によるホットス
 ポット発熱は防げます。しかし、市販モジュールは10数枚〜20数枚セル直
 列のセルストリング毎に1個のバイパスダイオード配置なので、影による
 セル間日射量差があるとホットスポット現象を生じます。
  また、太陽電池セルの逆方向特性は、説明したように電圧制限型と電流
 制限型に大別され、ホットスポット現象の現れ方が異なるとしてますが、
 具体的な識別数値による説明が欠けています。
  ・電流制限型セル:逆方向電流が大きいセル
   -セル全体(または大部分)を遮光時に最悪遮光条件になります。
   -電流制限型セルはバラツキが大きく、セルに部分的な逆電流大部
    があると、ホットスポット加熱が極高温になる可能性があります。
   -加熱が局所的であるため、最も逆方向漏れ電流が大きいセルは、
    ホットスポット不良が短時間で発生
します。
    認証試験では、モジュール内での最も逆方向電流が大きいセルを
    特定する方法と、そのセルに最悪の遮光状況を決定する方法が指定
    されています。
   ・電圧制限型セル:逆方向電流が小さいセル
 
   現在の単結晶セルはこのセルタイプだと想われます。 
  -セルが部分的に遮光される時が最悪遮光条件
  -接合破壊や高温状態は、ゆっくり発生する。最悪のホットスポット
   加熱条件を作るには、遮光を調整+所定位置にとどめて、ホット
   スポット発熱が最大になる点で測定する必要があります。
              下記は、セル1枚への日射遮光を0〜100%まで10%ずつ変化
   させた時のI-V特性です。出力短絡時の発熱電力量は、影10%の時
   が最大になり、シャープ製NU240AHモジュールは81W発熱になります。
   なお、太陽電池アレイでの動作時は出力短絡状態では動作しないので
   この発熱電力にはなりません。太陽電池アレイ時の発熱は、MPPT動
   作点の発熱電力を計算する必要があります。 

No27_JIS説明文での影によるI-V変化

・セル間接続の分類 市販モジュールはケースSですが、セル接続種類に
 よって個別のホットスポット試験手順が説明されています。
  ケースS:全セルを単一ストリング内に直列接続(図1)

No27_JIS図1

 ケースPS:並直列接続 、ケースSP:直並列接続 も記載されてます
が、今回は説明を割愛します。(JISより確認ください。)
・試験手順
    試験手順は下記セル種類により、2種類に分かれています。
    MQT 09.1:ウェハベース用(一般的な結晶シリコン・ウェハ
    MQT 09.2:薄膜用(CdTe,CIS系,a-Si,a-Si/uc-Si)
  一般的な結晶シリコン用手順は下記になります。
 一般的な結晶シリコン用手順
   モジュール認証試験なので、モジュール中の最大発熱セルの選択方法
  と、最大発熱パターン(遮光量を変化させ、最大発熱する遮光レベルを
  探る)の方法が指定されています。
  ・設置条件
   対象セルの選択と最大発熱する遮光レベルを決定後に、下記の条件で
   温度上昇試験を実施します。セル温度は赤外線カメラ等で温度記録し
   ます。
    モジュール温度:50±10℃ 、日射量:1000±100W/m2)
    試験時間:1時間(セルが温度上昇を続けていれば最長5時間)
  ・測定セルの選定方法
    現行モジュールはバイパスダイオードを端子ボックス内に樹脂充填
   されていて、ダイオード取り外しやセル電流測定もできないので、非
   接触法を説明します。
    非接触手法は、モジュール内の各セルを順次100%遮光して、
  モジュール出力のI-V曲線を比較し、対象セルを選択する方法です。
   下図は、試験モジュールの各セルを順次遮光したときのI-V曲線
  を示していいます。『逆漏れ電流のもっとも大きいセル』と『逆漏れ電
  流のもっとも小さいセル』をI-V曲線から選択します。

No27_JIS図4


   実際の測定では、パルス光ソーラシミュレータを用いて、セルを順番
  に完全遮光した状態でI-V特性を測定し、漏れ電流の大きいセル:2枚
  と、漏れ電流の最小のセル:1枚選択します。
   また、ホットスポット発熱が最大になる影量は100%遮光時ではないの
  で、選択されたセルを100%遮光状態でセル温度を測定後は、遮光を順番
  に10%ずつ減らし、温度が下がれば、前回の遮光レベルを最悪の遮光と
  して採用します。
   決定された最悪の遮光レベルにてセルを遮光し、モジュール出力を短
  絡し、試験環境として、
    1)モジュール温度:50±10℃、1000±100W/m2)照射
     この最悪の遮光状態を1時間継続し、遮光されたセルの温度が1時
     間後も上昇を続けている場合は最長5時間まで、照射を継続。

   注)参考として、遮光なし(遮光0%)から50%遮光までの対象セルの
    発熱電力カーブは下図に示します。(NU-240AHモジュール例)

No27_遮光率変化での発熱電力説明図


  ・判定基準
   判定基準は、外観目視/絶縁性能/発電機能の確認をします。
  1) 著しい目視欠陥がないこと。 はんだの溶融、筐体の隙間、剥離及び
   スポット焼けは欠陥扱いです。著しい目視欠陥まではいかないが、深
   刻な損傷が認められる場合は、同じモジュール内のセルを追加して試
   験を2回繰り返します。これらの追加2セルのいずれの周辺にも目に見
   える損傷がない場合も、合格となります。
  2)絶縁性能は、初期要求性能を満足していること。
     3)モジュールが発電機能を持っているかの電気的特性は検査するが、
      最大出力性能は合否要件とはしない。
                 JISC61215-2耐久試験概要は以上です。

モジュール認証規格でのホットスポット耐久試験の月影意訳・追記版ですので、興味のある方は日本産業調査会データベースより、原文を閲覧お願いします。現行JIS規格がどのよう作られるようになっているかを、確認する意味はあると想います。。
 次回は、LTspiceによるシミュレーション操作を紹介しますので、LTspiceに
興味がある方はお立ち寄りください。

・ちょっと寄り道
 一般的な電子機器の信頼性試験として、熱膨張係数差による故障寿命ならばヒートショック試験による加速試験を実施し、湿度による腐食等であれば通電状態での湿度サイクル試験等で耐性を確認します。
機器の要求寿命に対し、どのような信頼性試験と加速係数を用いるかは、市場故障品の解析結果のフィードバックで選択していきます。信頼性試験の必要強度は、お客様の設置環境と使用条件により変動することから、想定を越える状況が生ずることもあります。市場不良を解析し、信頼性試験の強度が不足なのか、過剰なのかは、市場不良品解析から読み取ることが重要ですので、開発評価エンジニアが市場不良解析を実施するのが理想的です。
 外様大名によっては,JIS認証規格より数倍厳しい品質基準で製品試験をしていますが、自陣の信頼性基準・考え方は ”お客様への両刃の剣”ですので、公開はしません。しかし、悪貨は良貨を駆逐しますので、安全性を高めただけの高コスト製品は評価されず、競争力を失って排他もされます。
ましてや、安全性問題が社会的問題になると、安全性を高めた製品を販売していた外様大名に対し、お主達は危険性を承知していたのではないか?と糾弾する桃太郎侍(幕府旗本の目付職や陪臣の方々。。。)も現れます。。
 製品の公的規格の在り方や製品の安全性アピールの是非、保険制度保証など色々な切り口もありますが、エンジニア侍は安全性責任・利益責任を論理的に解決するための武芸の修練・太刀筋の読みが欠かせません。。リモートセンシングを利用した、ネット社会を幽霊のように歩き回るポスト全体主義的な構造が現れるのかな~と、NHKの『力なき者たちの力』を酒飲みながら観た爺でした。。。。ウグイスの鳴く桜並木は、もうすぐです~

素浪人シルバーエンジニア 月影四郎と申します。幕府学問所を卒業後、仕官したお城づとめも終了し、素浪人として歩き始めました。  皆さまに楽しんでいただけたらとふと思いたち、徒然なるままにnoteデビューした次第でございます。