見出し画像

月影太陽光発電所 発電15日目 中級2

 素浪人エンジニア月影です。うーん雨が少ないな~、水不足が心配。。。
鯉君たちの水は、江戸時代の農業用水が入っていることもあるので、心配。
庵は、井戸付(月影は電動ポンプ交換して、大切に使う。。)なので、苔庭は大丈夫ですが、さすがに池は無理(お隣は、循環型濾過機付。。爺様すごい!!お歳だけど、メカ強そう。)バイク乗りでも、雨が、ちと恋しい。
 さて、今回は太陽光発電システムの出力診断手法の課題と手法をLTspiceによるシミュレーション計測応用で説明してみます。

・太陽光発電システムの出力性能測定 (太陽電池アレイの屋外診断)
 中級1にて、キャピタルリターン設計での、発電電力量推定の必要性を
JISC8907を用いて説明しました。しかし、対となるべき設置後の発電量性能診断は測定確度面から、屋外診断手法は十分ではありません。
 これは、発電電力量推定方法からも理解できますが、診断には変動する日射量計測、損失係数に含まれる太陽電池モジュール温度測定や、パワーコンディショナの実動作時変換効率等を、屋外診断時に高確度で織り込む必要があるからです。発電電力量推定では、NEDOや気象庁殿による平均年データを用いれますが、屋外診断では現地測定を短時間で実施する必要があるのです。
 市場には、衛星による監視診断や、近隣システムとの比較診断はありますが、日射量や温度確度が十分でなく、故障診断程度になってしまいます。
 しかし、パワーコンディショナは高確度電子測定器でもあるので、パワコンの発電状態情報を用い、発生電力量と太陽電池モジュール温度測定確度を向上させることで、参考値レベルの予備診断はできる可能性があります。
LTspiceを用いたシミュレーション計測で、屋外診断手法の可能性を考えてみます。
 なお、太陽光発電システムの出力劣化は、太陽電池モジュールの経年劣化として説明します。パワコンも、IC基準電圧源やセンサー素子の劣化により、変換効率やトラッキング効率の性能低下を生じますが、製造メーカーの故障診断技術が必要ですので、説明が困難なことによります。

・太陽電池アレイの屋外出力性能診断方法
 太陽電池モジュールの定格(標準試験条件:STC)は、AM1.5、日射強度:1000W/m2、温度25℃のPmax点(最大電力点)なので、太陽電池アレイの出力性能診断には、確度のよい斜面日射強度測定と、太陽電池アレイ出力を曇天時でも高精度測定が可能な、MPPT制御性能が優れたパワコンが必須条件になります。これは、太陽電池モジュールの温度係数が大きく、太陽電池モジュール温度係数および太陽電池モジュール温度の計測値がないと、モジュール定格の25℃時値に対する性能比較診断ができないからです。
 このことから太陽電池アレイの屋外出力診断には、太陽電池アレイの平均温度計測もしくは、JISC8907のように気温値測定を行い、補正係数に日射量を乗算する方法が必要な為、モジュール裏面での熱電対計測やモジュール背面への気温計設置なども必要だった訳です。
 一方、パワコンはMPPT効率:99.8%や、太陽電池モジュールの温度係数が性能アピールされはじめ、日本では三菱電機社が双方の性能アピールをされてます。今回は、同社モデルを例に、LTspiceを用い、屋外性能診断手法のシミュレーション計測を考えてみます。

・太陽電池アレイ:Pmax-Vpm垂下特性とMPPT効率の重要性
 下記は、配付テスト・サンプルを応用した、PV-MA2530Nモジュール:9直列のP-V曲線図です。(LTspiceを習熟いただく為に
今回は、配布サンプル・ファイルを添付しません。。前回サンプルの応用練習として、お楽しみいただけたらと想います。)
 図は、日射強度:100W/m2~1000W/m2での100W刻みP-V出力特性図です。特徴は、Pmax点の変化に対し、電圧値(Vpm)が変化してしまう点です。つまり、日射が変動すると、パワコンは電力吸い込み電圧を追従させないといけないのです。これが、動的なMPPT効率として試験方法が定義され、定格点の変換効率とともに重要な性能指標になる理由です。
 屋外性能診断においても、快晴日は少ないので、日射変動のおおきい曇天日でも、太陽電池アレイ出力に追従可能な高効率MPPTパワコンが必要な理由もここにあります。
(車で例えると、定格点変換効率が高速道路燃費で、MPPT効率が市街地燃費悪化率に相当、と例えてみれば理解し易いと想います。)

 ・太陽電池アレイの出力性能診断方法
 前述のように、太陽電池アレイの屋外出力性能診断には、設置場所の計測値として、斜面日射強度測定、太陽電池アレイ出力電力値および太陽電池アレイ平均温度の計測値も必要です。予備診断(参考値レベル)としても、日射強度測定は誤差の根源ですので、どうしても除去することは出来ないのですが、MPPT効率99.8%のパワコンを使うことで、太陽電池アレイ出力電力値と太陽電池アレイ平均温度の両データ取得は可能と想われます。
 高効率MPPTパワコンが、曇天時の太陽電池出力電力値に必要なことは、上記から理解できますが、高効率MPPTパワコンであれば太陽電池アレイ温度も計算で得ることが出来るのです。
 以下は、上記のLTspice結果から作成した、25℃時のPmax-Vpm点特性曲線ですが、エクセルで変換近似式を得ることができます。
パワコンからは、高確度のPmax値を得れますので、このシミュレーション近似式により、太陽電池アレイの定格Vpmstc値(つまり25℃時の定格電圧)が計算できます。
 さらに、パワコンよりPmax点の太陽電池アレイ入力電圧:Vmpptを得ることで、下式から太陽電池アレイ平均温度:T(℃)をリアルタイム計測できることになります。
 ・太陽電池アレイ平均温度T(℃)=(Vmppt/Vpmstc-1)/β + 25
   Vmppt:パワコンが制御する太陽電池アレイからの入力電圧制御値
   Vpmstc:アレイ温度25℃での太陽電池アレイVpm電圧
      (LTspice等価回路で下図のように、近似式で得る。)
   β:Vpmの温度係数(モジュール温度係数は、Pmax、Voc,
    Iscの各温度係数値です。Ipm温度係数は小さいと予想され、
    Vpm温度係数=Pmax温度係数ーIsc温度係数を代用)

MPPT効率が非常に良いと、曇天下であっても、上記が成り立つことや、風速の影響を受けずに、アレイ全体の平均温度を取得できますので、気温測定の代替えになる可能性があります。
このことから、パワコンを高確度電子計測器高精度計測としてとらえることで、日射強度測定により、太陽電池アレイの屋外出力性能診断の可能性が推測できます。
(特許には、Pmax劣化の補正計算方法も書かれていたような。。。
パワコン選定において、MPPT効率の価値を違った視点で考える必要があると、月影は想う。。。)

・シミュレーション計測手法...
 上記の屋外診断手法からも、シミュレーション計測的な応用が、実用的だと月影は想います。(メガソーラ運用の方は、実測なのかな~)
 クラウドで、いろんなデジタル計測環境を作って欲しいと想ってしまうのは、アナログ世代の反動欲求なのかな....昔、むかーし、ジョブスが、NeXTにDSP搭載したのも、シミュレーション用だったよね。。
 
さて、本日も発電終了です。次回は、計測器のシミュレーション計測検証を計画中です。中級編ですので、絶縁抵抗計よりは複雑な奴が良いよね。。
(実物を買えないので、シミュレーションしか出来ないって。。)

・今日のひとこと
   月影は年金生活者なので、Pana社や三菱電機社など国産びいきです。
 でも、バイクは...もちろんカブ主です!...




素浪人シルバーエンジニア 月影四郎と申します。幕府学問所を卒業後、仕官したお城づとめも終了し、素浪人として歩き始めました。  皆さまに楽しんでいただけたらとふと思いたち、徒然なるままにnoteデビューした次第でございます。