"ずれたままで行った
 前より遠かった
 はやくもない おそくもない

 髪は伸びすぎた
 切らなくちゃ 切らなくちゃ
 目の前をチラチラ"

 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
 [ブギー]

子供の頃から
身長と天然パーマが
コンプレックスだった。

身長は格好よく言えば
L'Arc～en～CielのHYDEと同じ。

逆を言えばフラカン圭介と同じ。

ちなみに圭介は
[俺が180cmあったら今ごろ
東京ドームでLIVEしてる]と豪語している。

だから学校で整列の時は
いつも1番前で両手を腰に当て
えっへん(￣^￣)する体勢だった。

おれがやりたいのは
2列目以降の汽車ポッポみたいな
前へならえなのだ。

中学になると
[悪い。陽射しが眩しいんだ]
と苦しい言い訳で3列目あたりに
忍び込んでいたが。

小学生の時は
身長の事を弄られると
[小さい方が落雷の時その分
低いから当たる確率が減るんだからな！]
と訳の分からない言い訳をしていた。

中2で彼女が出来た時。
これはヤバいと思った。
彼女の身長は自分と同じくらい。

大人になってチスする時(キスな)
この身長では駄目だと思い
雑誌の広告に出てた怪しい商品を
親に内緒で購入した。

効果抜群と煽っているが
勿論そんな効果は表れず
手すら繋げなかったプラトニックな交際は
4年で終わった。

もう1つの天然パーマの方も
同じく中2から縮毛矯正をかけたりしたが
伸びてくれば効果は無かった。

校則でパーマ禁止なので
[天然パーマ証明書]なるケッタイな書類を
美容室で書いて貰い学校に提出した。

ある秋の日。
伸びた部分を自分で切ってたら
10円ハゲみたいになってしまった。

慌てて床屋に行き
[3mmだけ切って下さい]
と伝え居眠り。

しかし起きると
3mmの坊主になっていて
鏡の前には目付きの悪い
青い顔した野球部が座っていた。

帰宅すると弟に爆笑され
翌朝登校すると更に笑われた。
彼女には口を聞いて貰えなかった。

他の女子たちが[可愛い――(о´∀`о)]と
イガグリ頭をゴシゴシ触るのも
彼女の怒りの火に油を注いだ。

[やめろよ――(/=￣▽￣=＼)]
などとジャレてると彼女が遠くで
[チッ]と舌打ちし教室から出て行った時は
本気で怖かった。

生まれ変わったら
チビでも直毛が良いか？
直毛でもチビが良いか？
この難問には永遠に
答えられない。

そんなバカな事を自問自答しながら
伸びすぎた髪にパーマをかけてきた。

モザイクかけると
振り込め詐欺の受け子みたいだな。