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雑音とは 《ロック編》

前回の投稿では現代音楽を源流としたノイズミュージックについて紹介しました。
今回はROCK'N'ROLLとしてのノイズについて触れていきます。

その発生起源には諸説あると思いますが、やはり特筆すべきはThrobbing Gristle(TG)の存在です。
クーム・トランスミッションズという名で自傷行為を用いた性的パフォーマンスを行なっていたジェネシスPオリッジとその彼女のコジー・ファニィ・トゥッティーに加えてデザイナーのピーター・クリストファーソン、電子音楽家のクリス・カーターの4人によって1976年にロンドンで結成されました。
それはセックス・ピストルズが「アナーキー・イン・ザ・UK」をリリースした年。
TGはまたアート畑出身のバンドですがアカデミックな音楽理論はなく、まさに『アート界のパンク』だったと言えます。
彼らは「MUSIC FROM DEATH FACTORY,INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE」というスローガンの掲げ、エレクトロニクスを用いた凶暴な音楽性を自ら“インダストリアルミュージック”と称し世界に知らしめました。

そんな彼らの音楽に影響を受けた当時の若者はイギリス国内外にたくさんいましたが、そのインダストリアルミュージックをさらに過激化させてノイズミュージックにまで昇華させたのは意外にも日本人でした。

70年代関西に存在したマニアックな音楽喫茶『どらっぐすとうあ』の常連客はTGの電子音の他にハードロックやプログレ(ドイツのクラウトロックを含む)、さらにデレク・ベイリーや阿部薫のようなフリージャズなどを好んでいました。
『どらっぐすとうあ』出身のバンドの多くは短命でしたがその中には生涯現役(多分)を貫く“非常階段”がいます。
本当の意味でもノイズミュージックは彼らが結成された1979年が初めだったと考えています。
彼らには一切の思想がなくただ純粋に「五月蝿い」ことの美徳や快感、音楽の可能性を私達に提示してくれます。
実際にリーダーであるJOJO広重さんは「ジミヘンがギターを叩き割る時の音が好きで、それを延々を鳴らしたかった」とまるで少年のような発言をしています。
メンバーは流動的ですがJOJO広重(ギター)、JUNKO(ボイス)、T.美川(エレクトロニクス)が主軸で各々に尋常ではない音圧のノイズを発生させます。
彼らの活動は90年代になると海外でも評価されJAPANOISEという名称で世界各国でフォロワーを生んでいます。

TGから派生したノイズミュージックは今尚カルト的人気を誇り、その根を伸ばし続けています。

今日はここまで。

※この投稿は随時編集してより濃い内容にしていきます。

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