見出し画像

ビリギャルを超えた男。

何度も何度もチェンジし夢破れていた長男が、3年越しで夢を叶え、
あこがれの大学に合格しました。転入試験で3回生からの転入です。

小さい頃から文字を読むこと、書くことが苦手で、必然的に勉強を遠ざけてきた彼が関西で名門と言われる大学に合格するまでの道のり。
その努力は本当にすごいものがありました。

同じようにやりたくてもできない、なんでみんなは普通にできることが自分はこんなにできないんだろう、普通ってなんだ?と悩みながら生きてきた彼が自分もやればできる、と思えたことが何より嬉しいです。

「中学生の時の自分に教えてあげたい」と本人も言っていました。
長い長いトンネルの先には必ず出口があり、空が広がり、夢は叶う。


うちの長男は小さい頃から独特でした。
好きなことは1日中でもずっと同じことができるし、嫌いなことは絶対にできませんでした。
小学校に入り、字の読み書きが苦手なことに気づきました。
点と点がつながらない。
だから文字を一筆で書くことが難しいのです。
見ながら同じように書いたつもりでも頭の中でひっくりかえり、鏡文字になったり、書き方が独特だったり、とても大変そうでした。

それからもみんなは普通にできることができない、ということが度々あり、小学生の間は支援学校の先生にも定期的にお世話になりながらその度に対応して、少しの訓練的なことをしたりして、いわゆるグレーゾーンでなんとか学校のみんなについていっていた感じでした。
でもその一方でサッカーが好きで、一人でコツコツ練習できるリフティングは200回以上できるほど上達していました。
サッカーチームの中でも誰にも負けないくらいの努力をしていました。

中学生になり、ますます勉強が大変になり、もう勉強をすることを遠ざけていました。

本人はただただもどかしさがあったと思います。
もっとできるはずなのに、なんで自分はできなんだろう?と。

行きたかった高校にも行けず家から一番近い高校に行くことになり、わたしはなんとか彼に自信をもってもらいたかったので、プログラミングの塾に行くことを提案し、片道2時間半かかるプログラミング教室に隔週で通うことを決めました。

軽い気持ちでした。プログラミングとか習っとけばいいんちゃうかなー、なんかできるんちゃうかなー?くらいの。
でもその塾での出会いがその後、彼を大きく変えていきました。

そこは大学生が先生となり、一緒に自由になんの縛りもなく、好きなことをする、好きなものをつくる、作りたいものを創造していく、創造したものをプログラミングで形にしていくということをしていました。
夏休みや春休みには合宿スタイルで名門大学の校舎の中で何日間かかけて制作し、プログラミングしたものを最終日に発表するということも経験し、勉強を遠ざけていた長男が大学や大学生に憧れを持つようになり、大学でもっとプログラミングを深く学びたいと思うようになっていきました。

そしてその時に出会った大学生に憧れ、こんな人になりたいと強く思ったことがきっかけで、お兄さんの通う大学に行きたいと思うようになり、高校3年生の春に初めて勉強と向き合うことになりました。

もちろん、学校での成績はビリ。
勉強なんていつからしてなかったっけ?と、小学生の知識もないかも、と言いながらのスタート。

まさに狂ったように勉強をしていましたが、とにかくやったことのないことで、やり方がわからない。
勉強のやり方を教えてもらうところからスタートし、1年ではとてもとても追い付かず、1年目現役時にはどこも受からないという事態でした。

このまま勉強を続けて大学をめざすか、もう自由に世界一周か日本一周の旅にでも出てくるか、好きにしたらええやん、と自分で決めなさいと大学資金の入った通帳を渡しました。

落ち込んで1日中部屋から出てこなかったあと、泣きながら頭を下げて「浪人させてください」と彼の決断を聞かせてもらい、覚悟を決めて浪人生に。
私との約束はただ一つ。
「とにかく生きること、生き続けること」。

彼は全ての連絡先を消し、携帯も持たず、アニメオタクだった部屋はきれいに片付けられ、必要最低限のものしか持たないミニマリストになり、1年間本当にほとんど誰とも喋らないようなストイックな期間を過ごしながら、とにかく今までやってこなかった勉強と必死に向き合って予備校に通っていました。

予備校で初めて勉強することが楽しいと思えたそうで、文字が苦手だった長男も本が読めるようになり、理系科目の数学や物理はすごく難しい問題をどんどん解けるようになっていってました。

必死で過ごした1年でもまだ大学の超難問には苦戦し、本当にあと一歩まできたけど惜しくも届かず、滑り止めで受験した大学でお世話になることになりました。
大学生になるという夢が叶い、これで満足しそうなものですが、彼はここからも夢を諦めず、大学生になってからも編入試験のための勉強を続け、大学では常に上位の好成績で2年を過ごし、どうしても行きたかった憧れの大学の転入試験を受け、待ち望んだ合格を手にしたのです。

合格発表の日、待てども連絡がなく、どんよりした気分で1日を過ごし、晩ごはんを食べようと家族で食卓についた時に、ガチャとリビングのドアが開き、滋賀県にいるはずの長男が突然帰ってきて、
「受かった」
震えるかぼそい声で合格を伝えて倒れ込み、もうわたしたちは歓喜の大号泣。
本当にドラマでした。
わが家の悲願。

やっとつかんだ夢です。
長かった、勉強を始めてから4年がかりで掴んだ夢です。

どんなに遠い夢でも、ずっと思い続けて努力し続け、信じ続ければ必ず叶う。

彼のここまでの努力は半端なかったです。
その努力と、信じる心、素直な心、ここまでの経験は明らかに彼を成長させてくれました。
逃げて逃げていた自分としっかり向き合う期間でもありました。

諦めない気持ち、感謝の気持ち、自分を信じる気持ち、
もうありがとうしかないです。

どんなにつらいことがあってどん底に落ちても、這い上がれる力が誰にでもあるし、どんなに遠いと思う夢も、諦めなければ少しずつ近づいてくる。

諦めなければ努力し続けることができるのです。

『雲外蒼天』

曇り空の上には必ず青空が広がっています。
腐ることなく、覆っている雲の上の青空を信じ続けること。
本当に感謝、感動です。

夢を抱く全ての人に、長いトンネルの中にいて今が辛いと感じている人に、心からエールを送ります。みんなの夢が叶いますように。
読んでいただきありがとうございました。

写真は彼の受験の日に琵琶湖で見た朝日です。
あったかいエネルギーに満ち溢れていました。
いつも応援しています。
ありがとう。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?