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【観劇記録】宝塚星組「1789ーバスティーユの恋人たちー」代役公演

こんにちは!
1789の感想は千秋楽を迎えてから書こうと思っていたのですが、代役公演の記憶が鮮明なうちにどうしても書いて残しておきたくて。

きっとこの公演は、写真にも映像にも残らない、幻の公演になってしまう。
記憶力の弱い自分の為(笑)、そして1人でも「こんな公演があったんだ」と思って下さる方がいたら幸いです。
だって、とても素晴らしかったから!

礼真琴さんの休演

8/19~8/23の計8公演の実施
今気づいたのですが、さりおくんの漢字間違ってますね

かなり衝撃的でした。
約10年宝塚のオタクしてきて、2・3番手の休演と代役公演を経験した事はありましたが、トップスターの休演・代役公演は初めてだったから。
「トップスター」の代役を務めるありちゃん(暁千星さん)のプレッシャーは想像絶するものではないかと…。
ありちゃんが主役のロナン役を務める事で、ぴーちゃん(天華えまさん)、さりおくん(碧海さりおさん)、もえかちゃん(鳳真斗愛さん)もそれぞれ代役を務める事に。

ご縁があり、私は8/20ソワレ・8/23ソワレの2回観させて頂きました。
代役公演2日目の緊張感があった1回目、そして礼真琴さんの復帰が発表され、最後の代役公演となった2回目の違いにも触れながら、キャスト毎に感想を書いていきたいと思います!



代役キャスト感想

何が素晴らしかったかというと、代役4名が本役と全く違う、自分らしい役作りだった!ということ!
(それもあの短い準備期間で!)
そして代役4名のお芝居に合わせて、本役の方もお芝居を変えており、新しい「1789」という作品を打ちだしていた!ということ!

▪️ロナン・マズリエー暁千星

素晴らしかった!
私はありちゃんのロナンがとても好きです。

ありロナンと革命

ありロナンはまず何よりも、父親を殺された怒り・憎しみがあって。
教育は満足に受けてこれなかったけど、目の前に起きている『現実』を「しっかり見」て「考え」「怒る」ことのできる人。
そして「1人で生きていける強さがある」に説得力のある、強さのある人。

はじめはあまり笑わず、常にガンを飛ばしているような(笑)荒れくれ者。
体格も良く、怒りのこもった強い声で話すので、村にいる頃から1匹狼だったのでは?とバックボーンも想像させられました。
くるくる髪の毛を横に流しているのと元のお顔がかわいいので、ついかわいい〜っ!!てなっちゃうのですが(オタク)、アイラインもデムーランの時より釣り目気味に描いていて、かっこいい。

琴ロナンとの違いを強く感じたのは、革命家の『考え方』に触れた時。
革命の兄弟「♪俺にも自由を求める権利がある」〜で琴ロナンは希望で目を輝かせ笑顔になっていくのに対し、ありロナンは「俺にも自由を求める権利がある…(ということか…?!)」と、教えられた思想を自分の中で反芻し、確かめ、落とし込んでいく。
「考える」表情を見せてくれるんです。
今まで『現実』しか見ることができなかったロナンが『理想』をもつという『考え方』に触れ、理解していく。
ありロナンが周囲との関わり、最終的には自分の意思によって行動していく様がここで強烈に印象づけられました。
好き〜〜〜〜〜〜!!!!!!

そしてバスティーユ監獄・拷問を経て印刷所へ帰ってきた後の『自由と平等』の場面も、ありロナンならではになっていて。
元々の『現実』をしっかり見ている人、という役作りが一貫しており、拷問〜革命家達の会話を聞いて「俺とお前達(革命家)はやっぱり違う、なにが兄弟だ、ふざけんな」と怒りを隠さないところが良かった。
ナンバーの最後、デムーランの手を取りかけ和解の兆しを見せる琴ロナンに対し、ありロナンは頑なに手を差し出さない。

ありロナンの「声なき言葉」は、革命家達の本気とオランプとの恋に動かされ、彼はどう動くのか…歴史が変わる前兆、地響きのような歌声でした。
まさにto be continuedって感じで(?)素敵だった。

ありロナンの恋

私はことなこロナンプ大好き人間ですが、ありなこロナンプもとっっっても魅力的な関係だと思いました!

ロナンとオランプの仲に進展があるのは、脱獄後の銀橋シーン。
ありなこの身長差はときめきが凄いですね〜!
ひっとんオランプが転んで覆い被さった時にありちゃんの体格(と体幹に)すっぽり収まっててキュンとしました(笑)

みんな大好き琴ロナンの計算された恋愛上手感のある「なぜ?」に対して、ありロナンは(どうしてこの女は俺のこと心配するんだ?)の真っ直ぐな「なぜ…?」で。
(ありロナンは1匹狼感が強いから、あまり心配される経験もなかったんだろうな)
そして「向こう見ずだからよっ」にはカチンときて「俺にだって自由に生きる権利はあるんだ!」と強く言い返す。
琴ロナンは軽めにこの台詞をいうので可愛い痴話喧嘩みたいなテンポで進んでいきますが、ありロナンが本気故、ひっとんオランプも「…そうね(確かにそうだわ)」と認めるように返すのです。
ありロナンはまさか王宮側のオランプが認めるとは思ってもみなかったのでは。
ここで2人が、互いの立場に囚われない生き方に急速に惹かれていくのが伝わりました…!!!
(ありロナンに合わせて台詞のニュアンスを変えていたひっとんもお見事!!!素晴らしかった〜!2回目は「二度と会わない…から…!」と動揺が隠しきれてなかった!)

『二度と消せない』では、愛しい人に出会った動揺と、そして喜びとで、ふぁ…と笑みが溢れてしまうありロナンがとっっってもかわいい。
だって感情を抑えきれずに走り出しては止まって、きゅーっと胸を抑えてるんですよ〜〜〜!
琴ロナンはこなれ感と大人っぽさがあり素敵で、ありロナンは初恋か?と思わせる初々しい可愛さがありました。ギャップでしぬ

そして、聖堂での再会の場面が1番新鮮で。
オランプの「なぜ?」への答え「お前を愛してしまったから…!」が強めなんです。
王への憎しみが強いありロナンにとって、オランプを愛して「しまった」という自分への裏切りと、オランプへの思いが入り混じって、どうすることのできない気持ちをぶつけているような伝え方。

ありロナンがここまでのお芝居で『市民側』(王への憎しみ)であることを強調しているので、ひっとんオランプも『王宮側』(王妃への忠誠)をより強調しており、この2人の対立構造が深まってるんです。

ありロナンがひっとんオランプのベールを上げてキスをするシーンは、より『罪』の衝撃を受けました。
『この愛の先に』のありロナン「俺達は敵同士…」・ひっとんオランプの『許されぬ愛』には歌声に悲痛さがありめちゃくちゃ新鮮でしたし、私にとっては新しい解釈でした。
まさに許されぬ愛、そのもの。
ことなこオランプは其々の立場を一旦置いて、互いを思い合っている印象がありましたが(もちろん、こちらの解釈も大好き!)、ありなこオランプは各々の信念がまず前提にある。
月組版オランプの台詞、「違う、身分じゃない。思いが違うの。私は王妃様にお仕えする事を選んだの」という台詞が1番しっくりくる関係性だったのでは…!

2幕、革命家達と和解したロナンは、再び聖堂に。
アルトワ伯が去ったあと、オランプに「…いいか!俺達には愛し合う自由があるんだ!」と語り、『愛し合う自由』を力強く歌い上げるありロナンには、革命家達の本気を「見」て「考え」た末に、オランプとの未来を本気で「信じている」という説得力がありました。
とてもかっこよかった。
互いに別の信念があっても、きっと結ばれると。
ひっとんオランプも1幕の銀橋の時と同じように、ありロナンの勇気と思いの強さから、その言葉を信じられたんだなあ。
強く歌い上げたあとに優しい口調で拳銃を渡し、「自由になったら、また会おう!」とニカっと微笑むありロナンのギャップよ。。。
ありちゃんって前歯がかわいいですよね(今その話?!

そしてパリで再会した時の2人の良さったら!
静かに「自由になったのか…?」と驚きを隠せないありロナンが、嬉しさ爆発させてひっとんオランプをぎゅーっと抱きしめるところは本当に良かったね〜〜〜(涙)となってしまう(婆)

サイラの「モナムール 共に生きていく日が待ち受けている…」で、琴ロナンからは死の予兆・儚さを感じていたのですが、ありロナンからは炎のように燃えて散る事を厭わない潔さを感じました。

絶命する時の「オランプ、次の時代を生き抜くんだ」も、琴ロナンは『次の時代』=『2人の愛が許される世界』の解釈だったのですが、ありロナンは『次の時代』=『誰もが自由に愛し合える世界』という印象で。
みんな違ってみんないいロナンプ…!


悲しみの報い

自分が見た1回目と2回目の違いを大きく感じたのはここ。
1回目は代役2日目、まだまだ張り詰めた状況の中だったためか、最後まで力強く歌い上げていました。
新公の時のように裏声を使わない、低く太い悲しみの報い。
ありちゃんらしい悲しみの報いだな、と思いました。

2回目は、代役公演最終日。
優しく慈愛に満ちた、柔らかい歌声でした。
裏声もとっても綺麗だった。
この時の星組さんはきっと、みんな終わりの見えない悲しみの中で公演されていて、ようやく明日からの希望が見えた時。
ありちゃんの優しい感情が、ひっとんに、そして星組全体に呼応してみんなが笑顔でいっぱいになっていって。
現実とリンクしているかのような、優しい「悲しみの報い」でした。
ありロナンとひっとんオランプが微笑み合う姿を見て、この瞬間を一生忘れたくないと、涙が止まりませんでした。

余談①
月1789で育ったオタクからするとバスティーユ監獄の場面は本ッ当にエモかった…!
新人公演でロナンとペイロールを演じたありちゃんとまゆぽんが、8年の時を経て同じ役で対峙しているなんて。
あの頃よりオーラが何重にも大きくなった2人の場面は、互いの相反する意志の強さを感じられて、役柄的には物凄く緊迫していましたが、中の人的にはエモすぎて感情がグッチャグチャでした(笑)

余談②
夜のプリンセスでのほのかソレーヌとの会話、「ダントンは、」と強い口調で言った後に間をあけ「お前を夜の女だと言った」と静かに確かめるように言うところが好きでした。(細か)
この間によって、村ではずっとソレーヌを守ってきたんだな(腕っぷしで)と想像させられるのですよね。
ソレーヌが夜の女になってしまったというショックが物凄〜〜〜く伝わりました。
ほのかソレーヌは歴代ソレーヌで1番の武闘派だと思ってるので、ありロナンとの兄妹感しっくり!でしたし、2人のぶつかり合い好きでした〜!


▪️カミーユ・デムーランー天華えま

ぴーちゃんのデムーランは、過去見てきたデムーランの中でダントツに優しい。
全ての人に対して、“平等に・平和に”接することを自然と体現している人。
ぴーデムーランは、自分が王政から受けている差別等への怒りや憤りではなく、「周囲にいるこんなにも素晴らしい人々が、どうしてこんなに苦しんでいるんだ?」という他者への思いから活動をスタートさせていそう。

故に、ありロナンを心から兄弟だと思っているし、「かわいそうに、同情しているよ」も情け深い優しさがありありと伝わってくる。
それ故に、「現実」を見ているありロナンの地雷を踏み抜いてしまうところも、とてもぴーちゃんらしいなと思いました。

『自由と平等』では、こんなに一方的に突っぱねられているデムーランを見たことがなくて。
絶対に自分を押し付けず、全部受け止めるデムーラン。
きわみロベピとさりおダントンはピリつきのある役作りをしているのもあり、なんだかんだ荒れくれありロナンが1番心を開き懐いているのはぴーデムーランなんだって事も分かる。
ありぴー尊い(涙)

場面戻りますが、パレロワイヤル銀橋での「最初の革命家になる」という台詞も、高らかに宣言するありデムーランと違い、新聞が発行された後のことを想像し静かに浮き足立つような「革命家になる…!」だったのも良かったです。
リシュルとキスした後、さりおダントンに「いいじゃん!」て言ってて笑いました(笑)

2幕『武器をとれ』では“自由・平等・平和”を体現している優しいぴーデムーランが「武器を持て」と言うことの重みが凄くて。
全体を通して繊細に練られた役作りをするぴーすけのお芝居、やっぱ好き〜!!!となった瞬間。
緑の葉を持ち高らかに歌い上げる様はまさに平和の象徴のようでした。
ありデムーラン・まゆぽんペイロールの“VS感”がとても好きなのですが、ぴーデムーランはもっと広い世界・次元のことを歌っているように見えた。

ありロナンが絶命する時は言葉にできないくらい悲痛な叫びで…。
人権宣言の時、悲しみで立つのも精一杯なぴーデムーランは、本当に本当に、優しい心を持ったひと。


▪️ジョルジュ・ジャック・ダントンー碧海さりお

ドシっとしてて、革命家の中では1番学年が下になったのに1番年上に見える。
威厳がありました。
パレロワイヤルでは、ぴーダントンは軽いおちゃらけた面を出しているのですが、さりおダントンは将来大物になりそうな予感さえする落ち着き・余裕さがあり、これはこれで素敵。
ぴーデムーランのきわみロベピが前に出て何かあった時にはしっかりケツ拭いてくれそうな、お兄ちゃんというよりは、先輩感。
なんで「商売女に貢いでるんだぜ」で、そんな哀愁だせるんですか?!
1789初舞台ですよね?!

『自由と平等』前の「ロナン、やめるんだ」もぴーダントンに比べると冷たい落ち着いた口調。
「頭を冷やせ」のニュアンスでした。新しい。

2幕はデムーランとロベスピエールと一緒に前に出て、力強い声で民衆を先導していく姿がとってもかっこよかった!!
ぴーデムーランが静かに「武器を手にすることだ…」と訴えれば、さりおダントンが「武器を手に」と力強く復唱し、後押しする。
これがこの2人の組み合わせならではのチームワークか…!とグッときた。

本役の時と1場面も被ってないのに、歌もダンスもお芝居もできる、さりおくんのポテンシャルに脱帽しました。
「門の鎖を断ち切ったぞー!」の声がとっっっても大きくて頼もしく、星組の未来は安泰だと思いました!

▪️オーギュスト・ラマールー鳳真斗愛

面白すぎ、笑い掻っ攫いすぎ!
爪痕ギャンギャンに残したで賞!です!!
「いったい!どこが!どうして!オランプちゃアん♡」
笑わなかった人、いるのでしょうか?(笑)

全体的に硬質感のある役作りをする代役さんが多かった為、もえかちゃんラマールが作品中ほっこりさせてくれていて大変素晴らしかった。

個人的にはシャルロットに「あんがと♡」するところと、オランプにトンチンカンな秘密警察と言われて過呼吸になっているところがお気に入り。
トゥヌルマン・ロワゼルの2人もすっとこどっこいなもえかちゃんラマールに合わせてコミカルになっていたのも良かったです。

今後、彼女の色んな役が見たいと思いました!
星組さん、あんな秘密兵器、隠しもたないでくださいよ〜!!!(笑)


フィナーレとまとめ

フィナーレも、琴ちゃんのポジションにありちゃん、ありちゃんのポジションにきわみ、きわみのポジションにさりおくんが入っていました。

番手・星組の今の体制などを一旦置いて、ただ目の前で観た感想は、ありちゃんがとってもかっこよかった!!!!!

娘役さんと踊った後に銀橋で踊るありちゃんのかっこよさ…
くらっちと微笑み合い、同期〜♡となったり、男役群舞でせおさんと目を合わせて笑いあってるのを見て、優しい気持ちになりホロリとしたり。
感情がジェットコースター(笑)

ひっとんとのデュエダンは、役の延長のような、ロナンとオランプが結ばれた幸せを表現しているかのようで…とても素敵でした。

階段降り、代役さんがいつもと違うタイミングで降りてきたり、ナイアガラ付き大羽根姿のありちゃんを見て、「ありがとう」以外の気持ちが湧かなかった!!!

ありちゃん、ぴーちゃん、さりおくん、もえかちゃん。
そして支えたひっとんはじめ本役の星組生の皆さん。
お休みながらもきっと裏で支えてたでしょう礼さん。

本当に、素晴らしい公演を届けて下さり、ありがとうございました!!!


いつかの未来、またありロナンに会えますように。
ありちゃんの為の、ぴったりの衣装を着た姿を見たいな。
そう願わずにはいられない、大切な観劇体験になりました。


すごいボリュームになってしまった!笑
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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