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デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』のリマスターCDを聴いて感じた違和感とは?

・【後編】デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』をアナログ・レコードのオリジナル盤で聴く


アルバム『ジギー・スターダスト(The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars)』は、デヴィッド・ボウイの出世作であるとともに70年代のグラム・ロックを代表する名盤の1つです。

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ジギー・スターダスト

このアルバムに収録されている「スターマン(Starman)」を聴いて、一瞬で私はボウイ(正確には70年代のボウイ)の虜になりました。

それまで、私にとってのボウイは、MTVに出てくる、かっこいいスーツを着たダンディな中年ロッカー(レッツ・ダンス(Let's Dance)やブルー・ジーン(Blue Jean))のイメージしかありませんでした。

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トゥナイト

もちろん、当時(80年代)の私は、MTVやベストヒットUSAを熱心に見ていましたので、ヒュー・パジャムがプロデュースしていたアルバム『トゥナイト(Tonight)』も決して嫌いではありませんでしたが、どちらかというと、80'sロックの中の1枚という感じで受け止めていたと思います。

しかし、「スターマン」はそんな幾多も余りある凡庸なロック・ミュージックとは一線を画す作品でした。

いかにも70年代前半というロックのグルーヴ感に溢れる素晴らしい演奏と、中世的なボウイのルックス、そして、自らを異星人に見立てて描いていくその詩の世界観。

当然のことながら、このアルバムもロックの評論家筋からは絶大な評価を受けていました。

そして、私が初めてこのアルバムを聴いたのは、99年のリマスターCDでした。

99年リマスター盤の『ジギー・スターダスト』は、リマスターとしてはそれほど悪い出来だとは思いませんでした。少し音は固いものの、適度に音圧もあり、ロックのグルーヴ感も出ています。

しかし、やはりこのアルバムはボウイにとっても70年代を代表する傑作だったのでしょう。

この後、節目節目で発売何十周年盤という触れ込みで次々とこのアルバムのリマスター盤が発売されることになります。


■2000年以降発売された2枚のリマスターCD

その後、このアルバムは、2002年(発売30周年記念)と2012年(発売40周年記念)の計2回、リマスターCDが発売されています。

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実は、この2枚のリマスターCDを聴くまでは、私は、リマスターされたCDというのは、そのリマスタリングが最新になればなる程、音質が向上するものだと信じ切っていました。

もちろん、ストーンズの一件もあり、リマスタリングを行うエンジニア次第では、むしろ、昔のリマスターの音の方が良かった、という事態になりかねかいことは、百も承知していました。

ただ、幸いなことに、この『ジギー・スターダスト』の2002年と2012年のリマスター盤は、一聴したところ、ストーンズの2009年リマスター盤のような「ラウドネス・ウォー状態」のリマスタリングにはなっていないようなので、当然、1999年よりは2002年の、2002年よりは2012年のリマスターの方が音質が向上しているだろうと思いながら、聴き込んでいったのです。

しかしながら、私はこの2枚のリマスター盤を聴き込めば聴き込むほど、ある種の違和感と疑惑を感じざるおえませんでした。

それは、元々のマスター・テープが劣化してきているのではないか?という疑惑でした。


■低音は強いものの、薄まっていく音像

確かに、2002年リマスターも2012年リマスターも、99年リマスターにあったような音の固さがとれ、一見、アナログに近い音像になったように思えます。

しかし、よく聴いてみると、確かに低音は強くなっているものの、中高域の音がぼやけて、というより薄まっているような気がするのです。

別の表現を使えば、音に芯が無くなって、全体的に希薄になっているのに、低音だけがやたらと大きい。

このアンバランスさは何だろう?

この傾向は、99年盤⇒02年盤⇒12年盤と年月を経ていくごとに強くなり、12年盤が最もバランスが悪い、低音だけがやたらに太くなって、肝心の中高域の音像はぼやけるばかりです。

ここで、私は、ある仮説を立てました。

この低音は、アナログのマスター・テープの音像に近づけるためにマスタリングの段階で、エンジニアが人工的にブースト(強調)したもので、一方、元になるマスター・テープは経年による劣化が進んでいるのではないか?

この仮説を証明するためには、出来るだけ、オリジナルの発売日(1972年)に近い音と比べなければならない。

答えは1つしかありません。

それは、すなわち、『ジギー・スターダスト』のアナログ・レコードを買うことです(以下、後編へ続く)。

・【後編】デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』をアナログ・レコードのオリジナル盤で聴く


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