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ロゴ制作の“詳細フロー”。(漫画家&バー経営&ゲーム販売「株式会社ナナフシ」)

熱い日々があるから、今がある。あ、こんにちは! 先日、「漫画家&バー経営&ゲーム制作『株式会社ナナフシ』、ロゴ制作と“背景ストーリー”」を紹介しましたね。

本日は、このロゴがどうしてこんな形になったの?? という裏側を見せる回。「ロゴ制作の“詳細フロー”」を語らしていただきますです。(書き手:永井弘人)

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△ 001. 「新規でシンボルマークをつくる案(上段)/つくらない案(下段)」の検証。

△ 002.  16:9の画面、「コンセプトと重なる」配置・色の検証・選抜。

△ 003. 悩んだ案の印象を「ロゴタイプに“練り込む”」。

△ 004. 「We♡IndieS」のメッセージを入れて、ロゴ完成!


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▶ 「株式会社ナナフシ」ロゴ、デザインコンセプト。

「株式会社ナナフシ」の姿勢を一言でいうと、木星在住 = 小野亮平という、“インディーズ”を突き進む「生き様」である。すなわち、「生き様」がデザインコンセプトとなる。

昔、小野くんは大手出版社と仕事をしたことがあった。

その時、自分が最高のパフォーマンスで仕事ができるスタイルと、出版社が求めるスタイルがあってなくて、担当の方を怒らしてしまった。こちらとしては、もっと自由にやらしてほしい。

その時から、企業や出版社に頭を下げずに突き進む、「コイツは、まっすぐに言うことを聞かなそう感」を出したい、という要望があった。これも「生き様」のひとつ。

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▶ ベストな「シンボルマーク」の仮説と検証。

さて、シンボルマークをつくる。

シンボルマークは「“何を”具現化するか」、これが鍵だ。

社名には「ナナフシ」とついているので、実際に「(虫の)ナナフシ」をシンボライズするのがわかりやすい。わかりやすいけど、「この会社ならではの、このマーク」という視点では弱い。

例えば、「ナナフシ」という社名が他にもあったとして、“他社でも流用が効くロゴ = デザイン強度が弱い”、ということである。

そこで、独自性・オリジナリティが出る、「株式会社ナナフシ」シンボルマークをつくるため、「具象〜抽象レベル」 × 「デザインコンセプト『生き様』」を練り込む作業を行う。

一通りの案はできた。しかし……。

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▶ 「新規のシンボルマークを“つくらない”」という選択。

小野くんも言ってた通り、「機械人形ナナミちゃん」という漫画作品は、「その作品自体が『生き様』」を表している。

漫画「機械人形ナナミちゃん」が描かれるまでの経緯。描き続けている、現在進行形の道。作品自体のストーリー。すべてが「生き様」なのだ。

“これ”といえば、“これ”。直感的な意志を伝えるシンボルマークとして、「ナナミちゃんの顔」以外はないんじゃないか、と仮説を立てた。つまり、新たな形状のシンボルマークはつくらない、という選択。

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そんなこんなの検証中。画面いっぱいにうつる、虫の絵と女の子フェイス。画面を後ろから見た妻が、

「なに? あそんでんの?」

と言ってきた。ちがう、悩んでんの!

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▶ 「シンボルマーク提案」からの返信。決断。

上記のことを思ったまま、話し、提案シートを見せる。

その場で、小野くんも非常に悩んでいた。

デザイン提案時、クライアントの悩みには、“いい悩み”と“よくない悩み”がある。“よくない悩み”は、どの案も選抜・採用の決め手に欠ける時。“いい悩み”は、「選抜・採用の候補案が複数出てきた時」。

■ 「株式会社ナナフシ」の想いを具現化した、「新たにつくられたシンボルマーク」を採用すべきか……。

■ はたまた、「株式会社ナナフシ」の想いが“すでに”具現化されている、「機械人形ナナミちゃんの顔」を採用すべきか……。

時間をおいて熟考するため、一度持ち帰り、改めて連絡をもらうことになった。

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数日後、小野くんからメールをもらう。

デザインの件なのですが、やはり、「ナナミちゃんの顔が映ってるロゴ」にしようかと思います。
これから自分が世に出す作品は、ゲーム作品や映像系などが多くなると思うので、
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「ナナミちゃんを読めば、小野の人生が分かる」
「すべてのルーツは、ナナミちゃんにこもっている」
「世界中オタクのファンに向けて、ナナミちゃんを宣伝したい!」
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という意を込めて、こちらを選択しました。
名刺や、オタク文化以外に、外交的な場で使う場合は、企業名(ロゴタイプ・文字表記部分)のみのロゴを使わせて頂ければと思いました。
そこで、一つ要望なのですが、先ほども申し上げた通り、企業ロゴを「映像作品」や「ゲーム」で今後伝えることが多く、そのため、例えば“スタジオジブリ”のように画面で世に出すときの、
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・ 16:9画面内のロゴの配置
・ 16:9画面の背景色
・ 16:9画面内のロゴの配色(ジブリのように線は黒白など)

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以上のデザインをしていただく事は可能でしょうか?


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▶ 16:9の画面、「コンセプトと重なる」配置・色を検証する。

シンボルマークは「ナナミちゃんの顔」でいくことに決定した。

次は要望にもあった、16:9の画面内、「ロゴをどのように配置・配色」をしていくかの検証だ。

まず、「検証の順は、配置→配色」となる。骨格となる「構成」を先に決めてから、筋肉となる「色」を決めることで、バランスの取れた検証を行いやすいからだ。一段階ずつ、しっかりと判断をすることで、ヨシ、ヨシ、と迷いなくステップを踏める。

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配置。構成。このようなレイアウト検証を行う場合、“なんとなーく、シンボルマークはここ、ロゴタイプはここかな”とふわふわ思考で検証を行っても、決め手に欠ける。検証を行う前に、「決め手・判断基準の軸」を立てるのだ。

んで、今回の「決め手・判断基準の軸」は、やはり、「デザインコンセプト = 生き様」である。堂々と迷いのない、強い意志。それが感じられる、配置はどれだろう? そりぁあもう、「グッと芯に筋の通った配置」でしょう! つまり、「王道の中央組」。これで配置は決まりであーる。

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次に、配色。やはりここでも、「デザインコンセプト = 生き様」を感じる色はどれだろう? という検証。情熱の赤、発光の黄、が候補に残りつつ、

黄色と黒の掛け合わせって、注意をうながす“警戒色”っぽいよね。刺激的だ。この配色でいこう!

……と小野くんの意見も重ねた上、「地色は黄色、ロゴ色は黒」という配色に決定したのでしたー!


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▶ 悩んだ候補案を捨てずに、「ロゴタイプに“練り込む”」。

そして、ロゴタイプ。文字部分。

世界に向けての発信、情報のそぎ落とし、鮮明さを意図して、日本語表記「株式会社ナナフシ」をなくし、「NANAFUSHI」のみにしちゃう!

さらには、「NANAFUSHI」に「株式会社ナナフシらしさ」をかますため、初期段階で悩み残った「虫シンボルマーク案」の「一筋縄じゃいいかなそうな、トゲトゲ感」を「NANANFUSHI」文字部分に練り込みました。

おおお、かなり独自性が出てきた。

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▶ メッセージ「We♡IndieS」をロゴにぶっ込む。

ロゴの調整検証の進行、打合せの途中。

ロゴの中に、自分のメッセージ性として、「I♡Indies」って入れられないかな? “インディーズ”としての意地、生き方をロゴと一緒に提示したいんだ。

ほほう、盛り上がってまいりました。やはり、クライアントの想いが強ければ、強いほど、デザインの強度は上がる。

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「I♡Indies」のベストな入れ方を検証中、小野くんからLINEが入る。

ごめん!! なんかスタッフからちょっと案が出ちゃって、「I♡Indies」じゃなくて、「We♡Indies」のほうがいいんじゃないかって……。「I」を「We」に変えることはできるかな……??

ゲーム制作は小野くん含め、3人で進めていた。普段は自ら意見を言わない、社内スタッフから、

自分たちも含めてのナナフシじゃないですか! 小野さん一人じゃない。だから、“I”じゃなくて、「We♡Indies」にしましょうよ!

という気迫におされたらしい。「普段は自ら意見を言わない」人が、「自ら意見を言ってきた」ことに、小野くんは嬉しさを感じた。私も嬉しかった。

ロゴ制作のストーリーにおいて、人の行動や気持ちに少しでも影響出たのであれば、こんなにも嬉しいことはない。

あまりにも嬉しかったので、「We♡Indies」の末尾「s」を、大文字の「S」にした。グルーヴ感を増しつつ、より強いメッセージ発信、強い響きと韻を意図したんだ。

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……そんでもって、ロゴが完成!

いやはや、今回のプロジェクトは、「人の意志、魂をロゴに込めるには?」という課題との向き合いの連続だった。小野くんの熱量に私も熱くなった。なにより、ナナミちゃんがかわいいもんだから、途中進行ふくめ、モチベーションが上がりっぱなしのオーバーヒートマン。ブンブン。

人の熱量は、人の行動に影響する。

改めて、感じたこと。

上記、ドラマチックなロゴ制作のフローストーリーを経て、「漫画家&バー経営&ゲーム制作『株式会社ナナフシ』、ロゴ制作と“背景ストーリー”。」につながるのです。

おいしゃ、また会いましょう! ブンブン!

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【 A面 : 漫画家&バー経営&ゲーム制作『株式会社ナナフシ』、ロゴ制作と“背景ストーリー”。へ 】

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