見出し画像

角野隼斗:モーツアルト戴冠式(ピアノ協奏曲第26番) ティアラこうとう

2023.9.9(土) 15:00開演 ティアラこうとう大ホール
ピアノ:角野隼斗 指揮:藤岡幸夫
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


正直どうなんだろうって思っていました、モーツアルト。ベートーベンを通り越しての古典だし、かてぃんさんの超絶技巧を持ってしては物足りないだろうしモチーフも単純明快で逆に味付け難しいだろうし…


藤岡幸夫マエストロからモーツアルトのピアノ協奏曲の告知があった時「おっ?!これは聴きたい!」となった。しかもラヴェルの協奏曲で共演した東京シティ・フィルさん(コンマス戸澤さん)。で、ホールはティアラこうとう(住吉・錦糸町)!!自分、地理的には東京出る手前!!!なりふり構わずチケットを取りました。(シティフィルは本拠地すみだトリフォニーホール(錦糸町)で沿線!ラヴェルの時の公演が全体的に素晴らしく(黛敏郎作品)感動したので、応援の意味も込めて会員になり、会員の発売日に少し時間は遅くなりましたが事務局に電話をして席を1枚確保しました。)

当日、前日の台風13号の影響で千葉より南でダイヤが乱れており苦労しましたが、無事に到着!さすがかてぃんさん。晴れ男。青空が気持ちいい!

公演に先駆けて、14:40より藤岡マエストロによるプレトークがありました。これ本当にありがたいですよね。藤岡さんいつもありがとうございます。話をし始めて早々に角野さんの話題

僕は角野くんとは共演回数が多い指揮者だと思います。彼がオーケストラと共演する経験がまだ少ない頃に群響とラフマニノフピアノ協奏曲第2番を共演したのが最初で、その時からタッチがすんばらしくて、モーツアルト合うだろうなーって思ってたんです。モーツアルトの曲、特にこの戴冠式は左手の楽譜がなくて、当時は左手の伴奏を即興でやる事も多かったようですよ。Jazzのコードだけ書いてある譜面にも似ているでしょう?
モーツアルトの即興性に彼の抜群なセンスのアドリブ、そして美しいタッチ…彼とモーツアルトできるのすごく嬉しいです。
彼としても初めてのモーツアルトの協奏曲という事だそうです。
2日間、リハーサルをしましたが、もうどんどん変わっていくんだよね、彼(笑)。一緒にやっていると明るくなる。楽しくて幸せになる。本番もワクワクしてる。楽しみです。
来月に関西フィルでこの戴冠式をまた一緒にやります。また全然違うアドリブになると思いますよ。そちらもお楽しみに!
この2年で彼のピアノもすごく進化してる。素晴らしいですよ!今日の演奏、皆さん、楽しんでください!!!

こんな感じでしたかね?まー褒めまくりの愛がだだ漏れでした。本当にいつもいつもありがとうございます、藤岡マエストロー(いったい何目線だよwww)。その後他の楽曲の紹介、説明があって(後述します)プレトーク終了〜大きな拍手〜
いったん袖にはけたらすぐに戻ってきて、「大事な話をするのを忘れていた」と。東京シティ・フィルの常任指揮者であられた飯森泰次郎マエストロが先日亡くなられました。1940年生まれだから83歳ですかね。僕も大変お世話になりました。追悼の意を込めて最初にバッハのG線上のアリアを演奏します。追悼演奏なので拍手はご遠慮下さい。

バッハ: G線上のアリア

プログラムにない曲を聴けて嬉しかったです。弦楽奏でこの曲を生で聴くのは初めてかもしれない。コントラバスの低音ピチカートの音の振動を感じ、チェロ、ビオラの動きを目で楽しみ、バイオリンの旋律にうっとり。本当に美しい曲だなぁ。追悼演奏との事で厳かな気持ちで聴きました。後の藤岡さんのポストはこちら

ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲

マエストロが前説で、「ヴェルディが書いたイタリアのシチリアを舞台にした歌劇です。ダイナミックでエキサイティング。知らなくても絶対楽しめます」とおっしゃっていました。金管、木管、打楽器が加わり、音の厚みと迫力が増し増し!あーそうだ!これがシティ・フィルサウンドだー!と1人感激していました。2022.5月のオペラシティ、ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調のカップリングでオケはラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」と黛敏郎の「シンフォニックムード」「BUGAKU」。統率の取れた美しい管楽器と躍動的な打楽器に特に感動したんだった。またこのサウンドを聴けて嬉しいな!
「シチリア島の夕べの祈り」は予習した時「あ、知ってる曲だー!」ってなった。中学の吹奏楽部の時かなぁ?自分が演奏したんだか(フルートやってました)先輩がやったのを聴いていたんだか定かでない(汗)記憶力〜(涙)
パンフレットに載ってた楽曲解説が詳しくて本当にありがたい。ライターの音楽評論家 萩谷由喜子さま、ありがとうございます。


ピアノが運ばれてきました。私は12列目。ピアノの前足が正面といった位置関係。いやん、お顔も全身もバッチリ見えちゃうわ(嬉しい)

モーツアルト:ピアノ協奏曲第26番ニ長調戴冠式

角野さん今日は蝶ネクタイ!爽やかな中に緊張感も。こちらも緊張〜。始まった1楽章。最初2分半くらいはショパンコンチェルト1番の様にソリストはお休みって思い込んでいたので出だしのオケパートから左手ベース入れきて「お?!」ってなった。かてぃん待ちきれないかーって思った(笑)。けど楽譜にあるそうですね!終演後、フォロワーさんに教えて頂きました。小さく左手ベースの音符があるので弾いても弾かなくても自由みたいな?そりゃ弾くわね(笑)。リズムとりながら主題のピアノソロがはじまる。「わぁ!」美しくて天に昇るような音色でした。この時点で今日きた甲斐あったわーって。いきなりハッピーハピハピ。
もうそこから角野さんの走り回る手に釘付けになってしまいまして、1楽章はオケの記憶がありませんスミマセン。指の独立がしっかりしている角野さんだからこそなのかな〜粒揃いの音がパーっと空間に広がって、両手で3度?違いで駆け上がるところとかも両方右手かって思うほどシンクロしていて美しかった。私は予習でフリードリヒ・グルダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との演奏を気に入って聴いていたのですが、グルダの演奏より、よりなめらか、品がよく宮廷感!って感じ。流れるようなモーツアルトでした。1楽章の大カデンツァは1番気合い入れたと思いますが、凛々しく駆け上がって空気一変したかと思えば転調を繰り返しつつ主題に戻って、トムジェリ風遊び入りつつ最後はディズニー的壮大華やかな音楽!あんまりガーシュウィンみは感じなかったけどちゃんとSuminoでちゃんとモーツアルトでした。
2楽章は思った以上にゆっくりテンポで1楽章とはまた違った音色で奏でてくださりうっとり。優しく語りかけてくるような?アップライトピアノで寄り添ってくれるような感じでしたよ。2楽章はショてぃん居たな〜。優しかったです。自分は興奮状態がようやく落ち着き、カメラでいうところの少し引きで全体を見られるように。オケとの融合も素敵でしたね。2楽章はカデンツァたいしてないと思ってたけど、藤岡さんが振り返り優しく合図。またもや転調して転調してその調で主題を弾き出して(笑)。トイピアノというかオルゴールというか、また違った雰囲気を醸し出してWow!ってなったよね。で自然に元の調に戻っていく。It’s Cateen Style!素敵でした!ところで書きながら2楽章を聴いているのですが、この主題「とんとんとんとん | ひげじいさーん」ってなるね。音階違うけど音符の種類が一緒で。だからなのか、かてぃんラボwww。ディレイで1人思い出してウケております。
3楽章に入るとそれまでの緊張が抜けて一気にかてぃん全開に。表情にも笑顔が見られて、髪型違うけどモーツアルトに見えてくるから不思議。ちょっとしたところでトリル系装飾入ったり、急にオシャレコードでおめかししたり!楽しい楽しい。興奮すると走り気味になる角野さんですが、マエストロがオケを先導してオケの反応も良くて気持ちよーく聴かせて頂きました。3楽章のカデンツァは…もう忘れてしもた(笑)。エンター・ザ・ミュージックの放送を待ちたいと思います!終盤に差しかかると「あー終わってしまう〜終わらないでー」のかてぃんあるある。勢いそのままにフィニッシュ!拍手ー!!!

藤岡マエストロがものすごく嬉しそうだったのが印象的。角野さんもゆっくりと舞台上から客席を見回して、笑顔で拍手に応えていました。ソリストアンコールはきらきら星変奏曲の戴冠式バージョン。Level 3くらいまでは聴いたことないアレンジで転調もありのきらきら星。後半は原曲に沿ったものでした。

拍手喝采、スタンディングオベーション!で前半終了。休憩終わりにしたツイートは下記。角野さんモーツアルトもよく合ってた。マエストロのおっしゃった通り、楽しくて多幸感に浸っていました。藤岡マエストロ、さすがだったわ。ブラボー!!!


プロコイエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲より(藤岡幸夫セレクション)

こちらの演目、ほとんど予習できませんでしたー(懺悔)既存のCDを聴いてみるもほとんど頭に入らず、前日寝る前に3分でわかるバレエ「ロメオとジュリエット」的なものを見ておしまい(笑)シェークスピアの原作、さすがにある程度内容は知っていますが音楽は…有名なモンタギュー家とキャピレット家(ソフトバンクCM)くらいで。
でもマエストロがプレトークしてくださったおかげで場面を想像しながら楽しく鑑賞できました。「モンタギュー家とキャピレット家」はイギリスで振った時この曲終わりで大拍手が思い出。その地のサッカークラブのテーマ曲だったそう。「僧ローレンス」ファゴットがロメオとジュリエットのお忍び結婚式を取り持つ僧侶。チェロが結婚する2人。もう本当にこの曲美しくて大好きなんだけど、全体の尺の関係で大抵主催者側から削るように言われるんだよね。今日は演奏できて本当に嬉しい!と解説がありました。プログラムにも各曲解説が詳しく載ってて嬉しい。シティ・フィルの弦、管、打楽器がうまく調和して鮮やかに物語を展開してくださって楽しかった。ただ悲劇の物語だけに最後静かに終わる。

ひと呼吸もふた呼吸もおいてから拍手!お見事でした、東京シティ・フィル。藤岡マエストロがシティ・フィルさんの十八番だっておっしゃってました。ちゃんと勉強してからチャンスがあったらまた聴きたいな。バレエ音楽、沼が深そうでなかなか足をつっこめませんが…
藤岡幸夫セレクションのセットリストはこちらです


書くつもりでなかったのに今回も書いてしまった。モーツアルトのピアノ協奏曲なんてBGMで流れてちょうどいいくらいの認識で、がっつり聴いたり弾いたりした事はなかった。モーツアルトは幼少時から掃除の音楽だったりCMに起用されてたり、とても馴染み深い音楽なのになぜか遠い存在でした。映画アマデウスの印象が強烈だったからか?自身のピアノ歴がチェルニーソナチネ入ったばかりくらいで辞めてしまったのもありますが、角野さんがあまり演奏されてないのもあるかも。(私のクラシック知識、この3年の角野関係のみ笑)この3年でモーツアルトといえば思い浮かぶのが、藤田真央さん。2019年のチャイコフスキー国際ピアノコンクールでモーツアルトが大絶賛で2022年ヴェルビエ音楽祭(スイス)に呼ばれてアンコールでモーツアルトを披露されてました。それから小曽根真さん。ずっとジャズ畑だった小曽根さんがクラシックコンサートで初めてピアノ協奏曲の依頼を受けたのがモーツアルト。即興性が生きるとおっしゃってたような。そして角野さん。最バズりのYouTube動画がトイピアノのトルコ行進曲(1112万回再生)で次がきらきら星(966万回再生)。リスト、ショパン、ガーシュウィン、バッハ、カプースチンとソロコンサートで取り上げてきましたが、気づいてないだけでモーツアルト要素も多分にあったんだね。見抜いたマエストロに拍手!

自分のツイート内でモーツアルトで検索して出てきたツイートを載せておきます。(なんかうまく載らないのでお写真ですいません)

最後に角野さんのツイートもといポスト

藤岡幸夫マエストロ

上記角野さんのポストにリプした小原孝さん

なんかこのポスト見て妙に納得したんですよね!楽しくピアノを奏でる隼斗少年とモーツアルトが重なって。きっと幼少期、小学校低学年の頃でしょうけどたくさんモーツアルト弾いていたんでしょうね!シン・モーツアルてぃん誕生だ(笑)

長文お付き合いくださりありがとうございました!