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育ちの傷を抱えたメンタル患者が救われるためにまずやるべきこと


育ちの傷を抱えたメンタル患者がまずやるべきことは、


育ちの傷(多くは家族関係)に向き合うこと、である。


えっ 当たり前やん? 傷の原因を特定してそこに対処するなんて、普通のことでしょう、この人は今さら何言ってるの、と思う人がいるかもしれないが……

わたしは愚かな人間なので、この当たり前の事実に気づくまでに30年かかったのである。
その間に方向性の間違えた努力もしてしまったし、かなり遠回りしてしまった。


うすうす分かってはいた。
自分のメンタルが安定しない原因が家族問題に起因するところも大きいと。
でも目を背け続けてきた。気づかないふりをして月日をやり過ごしてきた。



「いいかげん見て見ぬフリはやめないと」と思えたきっかけは、数か月前のカウンセリングの先生とのやりとりである。



その先生は

・メンタルを病む原因として家族問題が関連していることが多い。
・その場合の根本的治療は家族問題と向き合うことである。精神薬は対症療法にしかすぎない。
・多動さんのメンタル不調の原因には家族問題が潜んでいる可能性が考えられる

といったことを話してくれた。(※わたしの解釈でまとめています)


その先生自身も、家族問題を抱えていて、精神医学的に病的とされる行動を過去に繰り返していたこと、しかし家族問題ととことん向き合うことで問題行動を克服できた、らしい。


普段の私なら専門家から真っ当なことを言われても、「そうですか…(この人は医学的、心理学的に正しいことを言ってはるんだろうなあ…)」ぐらいのテンションで、あまり自分事と思えず聞き流していたかもしれない。


が、その先生はたまたま、同世代の女性で、過去に似たような経歴を持っていたり、路上で奇行するという稀有な共通点があったことから、わたしはその先生に何となく親近感を持っていて


その先生の言葉は、高いところにいる遠くの専門家の意見ではなく、近しい人からの言葉に感じられた。


その先生が言うなら、
その先生も似た道を通ってきたなら、

わたしもそろそろホンマに家族問題に向き合わったほうがいいな、とようやく自分事として思えたのである。


本当に遅すぎた。


実際にメンタル疾患を持っていた人のエッセイでは、家族問題と向き合うようになってからメンタルが改善したケースが結構あって。


たとえばこちら、東小雪さんの著書。


元タカラジェンヌで現在LGBT活動家の東さんは、幼少期の性的虐待の影響で、うつ病を患い、オーバードーズや自殺未遂を繰り返していた。
しかし、家族問題に詳しい治療家と出会ったことで、カウンセリングを重ねて傷を癒していき、精神薬への依存を断ち切れたらしい。



もうひとつがこちら、ルポライターの鈴木大介さんの著書。


鈴木さんの奥さんことお妻様は発達障害特性が強く、それを理解されないまま育ったことでうつ病を患い、ハードリストカッターとなった。
しかしお妻様は旦那さんと出会って、新しい家庭という足場をもとに実親とバトルを繰り広げるうちにリストカット癖が収まり、うつ病も改善されていった。


わたしも、先生や東さんやお妻様のように救われたい。
うつ状態を繰り返すサイクルを断ち切りたい。



ここからはわたしの身の上話である。

メンタル不調の根本的解決は家族問題と向き合うことだという事実に気づくまでに30年かかった愚かな女の身の上だ。

吾輩は雪の降るとある地方の田舎にて、発達障害特性の顕著な父親と、精神的に不安定な母親のもとに生まれた。

親との共存は決して楽なものではなかった。
精神の足場がぐらぐらで、10代の時は過換気症候群に悩まされていた。

高校卒業後、地元を離れた。
わたしは著しく低い自己肯定感を満たすため、性風俗店の仕事にのめりこむようになった。
お店の売り上げに貢献すれば、指名ランキングに入れば、スタッフから褒めてもらえる。自分が必要とされていると思える。

同時に恋愛面でも荒れた。自分を求めてくれる人なら誰でもいいのスタンスで、レズなのに男子学生のアプローチを引き受けたり、モラ系女子と交際したりしていた。

20代後半になって突如、メンタルヘルス分野の健康オタクに目覚めた。
メンタルヘルス関連の書籍を買いあさり、メンタルヘルス系インフルエンサーの発信を読みまくり、自分にできそうなことを取り入れた。
針治療が良いと聞けば鍼灸院行って針を刺され。
日光や運動が良いと聞けば、公園に行って日光を浴びながらラジオ体操をし。
有酸素運動が良いと聞けば、電車代をケチって何駅も歩き。
筆記療法が良いと聞けば、裏紙を集めて書いて書いて書きまくり。
精神科医のありがたいお言葉がタイムラインに流れてくるたびにメモ帳に転記し。

しかし色々やってもメンタル調子は改善されず、長年だましだましやってきたツケがついに爆発したのか、うつ病を発症する。

今思うと、努力の方向性が間違っていた。

風俗や恋愛に狂うのは明らかに不正解だった。
自己肯定感の欠落した心は、たとえるなら穴の開いたバケツのようなもの。
いくら風俗や恋愛で自分を必要としてもらえる実感を得ても、バケツの穴からこぼれていくからいつになっても埋まらない。

メンタルヘルス分野の健康オタク活動は、間違いとまでは行かなくても、順番がおかしかった。
家族問題の根本的解決ができてない状態に、いくらメンタルにいいと言われていることを重ねても効果は少ない。

たとえるなら、保湿不足でボロボロに荒れた肌にじかにデパコスパウダーをはたくようなもの。土台の肌(家族問題)が整っていないから、いくら上にいいもの(メンタルに良いとされている諸々の習慣や療法)を重ねても、きれいなのはひと時だけですぐに崩れてしまう。


愚かなわたしにしたら、この当たり前のことに気づけただけでも大きな一歩である。

そうはいっても、いざ根本的な解決に向けて動き出すのは怖い。
専門家の前であっても怖い。
負の感情、負の記憶と向き合うことを避けて通れないだろうなと考えると逃げたい。
ずっと臭いものに蓋をしたまま逃げ切りたい。

わたしにとって家族とか故郷の記憶は、まだジュクジュクの患部だから。



取り留めのない雑記はいったんここでおしまい。
また何か進展あったら記事にするかも。



※ 当投稿は素人の主観で書いています。家族問題を取り上げた専門家の著書もたくさん出ていますので、そちらも併せて読まれることを推奨します。

ちなみに私のおすすめはこちらです。


精神科医が書かれたものですが、漫画形式で読みやすくスッと入ってきます。