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取り戻せると思っていた日常は遠くて


メンタル疾患を患って数年。

体力気力が一向に元に戻らない。
心身の調子が比較的マシな時と悪い時がギャンブルでやってくる。
比較的マシなときにあれこれやると、ぐったりして心身の不調がぶり返してしまう。

わたしは職場で担当していた業務の関係で、メンタル疾患に罹患した人を見る機会が多かった。
元通りバリバリ働けるまで回復する人もいれば
体力や集中力、記憶力が落ちて以前のようには働けなくなってしまった人もいた。

わたしはどちらかと言えば後者寄りな気がする。
ある程度までは回復するものの、一定のライン以上が脳の不可逆的なダメージにより機能してくれない、感じがある。素人の体感と解釈だけど。

薬も色々試したし、〇〇療法みたいなのもコツコツ行った。万策が尽きた。

メンタル疾患の治療は一筋縄では行かないもの、というのは頭では分かっているのだけど

これをすれば良くなるかもしれない、あれをすれば良くなるかもしれないと、目の前のことに期待して、でも心身は元通りには戻ってくれなくて、しょんぼりすることの繰り返し。

取り戻せると思っていた日常は遠い。

もう疲れた。
闘病を投げ出したい。



これまで試したもので、主なものを列挙すると。

・コンサータ
発達障害治療薬の一種。覚醒作用が強い、衝動性多動性をコントロールできる感がある。苦労しなくても奇行を抑えられる。しかし副作用の悪心状態がひどくて仕事の作業効率が激落ち。
吐き気止めのナウゼリンを処方してもらうも、今度はナウゼリンの副作用で母乳が出るようになる。母乳を捨てるのはもったいないのでコップに絞って飲むという奇妙な習慣を持つようになる😂

・ロゼレム
睡眠薬の一種。飲み始めの頃は、脳の違和感が強かった。登山した人になら伝わるかもしれないけれど、雲の上、空気が低気圧かつ低酸素の標高3000メートル前後にいるときの独特の感覚が平地にて発生した。
「平地にいながら登山気分を味わえるなんて素敵!」と自分に言い聞かせて乗り切ったw

・マイスリー
睡眠薬の一種。脳が強制シャットダウンされる。これは魔薬だと思った。しかし副作用の健忘が現れる。朝起きてLINEを見たら送った記憶のないメッセージが送信履歴にあったり、台所に行けば食べた記憶のないレトルト食品のカラ容器があったり。
いちばんビックリしたのは朝起きたら違う髪型になっていたこと😂夜中にセルフカットをしていたようで、私の可愛さの9割強を担ってくれている顔サイドの触覚毛が切り落とされていたのだ!
飲んで一か月ほどで耐性がついて効かなくなった。

・オランザピン
主に双極性障害に処方される薬だけど、当時の主治医曰く鬱の人に処方する場合もあるらしい。食欲がバグってエンゲル係数が上昇した。

・トリンテリックス
抗鬱剤の一種。飲み始めの数日は吐き気がきつくて、ほぼゼリーしか食べれなかった。

・エビリファイ
主に統合失調症に使われる薬だけど、感覚過敏の緩和にも効果があるとのことで処方された。アカシジアが強く出て、私が元々持っている不審者オーラが増強された。

・薬以外
SST、CBT、暴露療法もどき、筆記療法もどき、リワーク通い等

あとは精神科看護師の生活指導により、家でラジオ体操したり、トリプトファン摂取を心がけたり、マインドフルネスしたり、服薬コンプライアンス遵守したり……

周囲のメンタル疾患仲間から「多動ちゃんはホントに真面目だねえ」と感心されるくらい、清く正しい病人生活を送っていた。

でも最近になって燃え尽きてしまった感がある。
もう無理、頑張りたくない。



病院で私を担当してくれている看護師さんは、面談の度に正しいことを言う。

「~~してください」
「~~が効果的ですよ」

もう正論は聞き飽きた。そんなの分かっている、正しいことをすんなり実行できたら苦労しない。

しだいに担当看護師に対して陰性感情を抱くようにまでなってしまった。

〇〇さん(担当看護師の名前)は自分事じゃないから理想論を言えるんじゃないの。
〇〇さんは病院を離れたら、精神疾患のことを考えなくて済むじゃない。
嫌になったら精神看護の分野から離れることもできるじゃない。
でもこっちは365日病気と付き合っていかないといけないんだよ。

ただでさえ病気という重荷を背負っているのに、
さらに日常生活に人一倍の注意を払って生きるなんて無理。
やってられない。

と捻くれた声が頭の中でこだまする。


これはわたしのキャパシティの狭さの問題でもあるし、「患者は、病気による混乱、不安、苛立ちを目の前の医療者に向けてしまうことがある」という、医療界ではよく知られている事象の一つとも考えられる。

こんなドス黒い感情を、わたしのことを親身になって考えてくれている担当看護師さんにぶつけるわけにはいかない。看護師さんの前で、どうにか最低限の礼節を崩さずにいられるように、ここにだらだらと垂れ流して発散している