アルツハイマーって何だろう

アルツハイマーって何だろう

 最近お気に入りだったドラマが最終回を迎えた。どんな風に終わるのか楽しみにしていたがいい意味で期待を裏切った。フィクションの世界なのに病気が治るわけでもなく、大好きな人とずっと一緒に生きていくわけでもなかった。若年性アルツハイマーになった彼女の死因は肺炎。あまりのあっけなさにとまどった。しかしそのあっけなさが良かった。
 彼女の病状が回復することはなかったが、最後の最後に彼女は夫の名前を呼び彼を誉めたのだった。

 アルツハイマーって何だろう。祖母がアルツハイマー型認知症だったため身近な病気ではあった。このエッセイを書くにあたりなんとなくネットを利用してアルツハイマーについて調べてみた。アルツハイマーという名前は博士の名前からきているそうだ。脳の疾患で、記憶力や思考力が徐々になくなっていき最終的には日常生活が送れないほどになってしまう。病気の進行を抑えることができる場合もあるらしいが、治療法はないらしい。
 
 祖母は私が幼いころからアルツハイマー型認知症になっていて、亡くなったのはここ数年前。年齢は88歳くらいだったか。祖母の病気がいつ発症したかは知らない。しかし、祖母は小学校の教師として働いていたし、嫁いできた私の母はアルツハイマー型認知症を発症する前の祖母を知っている。3歳年上の兄が小さかった頃は服を買ってあげたりもしていたらしい。88歳までいきた祖母の人生のうち、アルツハイマーを発症し自分で何もできなくなってしまったのは最後の20年弱ということになる。(症状が現れたのはもう少し前だと思う。)その20年弱の時間は長かったのか、それとも短かったのか。私にはまったくわからないが、祖母は長生きしたと思う。個人差があると思うが、アルツハイマーになってもすぐに死ぬことはない。それがいいのか悪いのか、自分の衰えていく姿と向き合い続けなければならない。そう考えると祖母は長生きしたと思う。

 ドラマで彼女は自分の衰えていく姿を夫と息子に見せたくないと家を出て行ってしまう。そして夫が見つけた時にはすでに彼女は夫のことも息子のことも忘れていた。
ただ彼女は夫が読み聞かせてくれる小説を楽しそうに聞いていた。創作の中の現実離れしたきれいな世界の中に、現実で実感する体と心の痛みがつたわってくる話だった。

 アルツハイマーを含め沢山の病気があることをなかなか身近に感じることのない人も多いと思うが、一度考えてみたらどうだろう。


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