僕が雀荘メンバーになるまで

前回の話はこちら。

このnoteを公開したところ、なんか程よく拡散されてTwitterのフォロワーも増えて、承認欲求も程よく満たされた為、調子に乗って続きを書くことにしました。

今回は、僕が雀荘のメンバーになるまでの話です。

今回は、最初から最後までフィクションです。

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前回のあらすじ
大学時代、講義をサボりバイトと執筆活動に全ツッパしていた僕は2017年の夏に大学を中退し、社会人(派遣社員)と同人作家の二足の草鞋を履きながら安寧な日々を過ごしていた。
2018年を区切りに個人的な同人活動に一区切りを付けるため、この年16万字にも及ぶ超大作を執筆、無事コミケで頒布を済ませる。
年が明けた2019年、僕は友人Sに誘われたサークルで執筆活動を続ける中、麻雀に出会い、フリー雀荘へと通うようになった。
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2019年は、虚無の年だった。

というのも、ここ2年ほどがかなり無理をしていたというか、いろんなことに目を瞑りながら生きてきて、疲れ果てたというのが正直なところだった。

2017年に大学を中退した後、すぐに派遣社員として働き出し、寝食を惜しみながらの執筆活動を続け、2018年の夏にはセフレがいたことが当時の彼女にバレて破局、メンタル最悪な中16万字の執筆.......。

そしてそれが終わった2019年の1月、僕は今まで生きてきた中で1番落ち込んでいた。

というか、賢者モードだった。

新サークルの活動もボチボチ行っていたが、頒布は半年も先の予定で、執筆はせいぜい2万字程度。3日もあればとりあえず形になる量で、実際それくらいでひとまず書きあげた記憶がある。

やりたいことや書きたいことはあったが、前年夏に別れた彼女の事を引きずり回していた僕は、激動の半年を乗り越えてようやくその現実に向き合い、落ち込み、仕事も休みがちになった。

あー、もう辞めちゃうか。なんかめんどくさいし。
適当にバイトでもして食いつないで、どうせ独り身だから、誰に迷惑をかけるわけでもあるめぇ。

そんなノリで、2019年の5月、僕は仕事を辞めた。

フリー雀荘に通い始めたのは、ちょうど時間を持て余し始めたその頃だった。

朝は気ままに起きて、昼頃には雀荘に顔を出す。
常連のおじいちゃんと、大学生のガキンチョ、メンバーと卓を囲む。
毎日のように通いつめ、そのうち仲良くなり、まだこの時麻雀のことはなんも分からなかったから、あーだこーだと話をすることは出来なかったけど、それなりに充実した日々を送っていた。

この時徹底してたのは「聴牌即リー」「先制リーチには基本ベタオリ」。これだけでとりあえず、大負けすることは無く、なんなら麻雀初めて2ヶ月にしては上出来だと褒められもした。

財布的には流石にずっとプラスになることは無かったが、低レートということもあって、大火傷することも無く、僕は麻雀というゲームにどんどん引き込まれていった。

そして1ヶ月ほど通いつめた頃に、その雀荘でメンバー募集の張り紙が掲示されるようになった。

社会人時代の貯金もそこまでないし、ぼちぼちバイトでも.......と考えていたところに、なんとタイミングが良いことか。

昔流れていたYouTubeのCM「好きなことで、生きていく」というコピーが頭をよぎる。

ただ、いくらアホの僕でも雀荘のメンバーが生半可な仕事では無いことは何となく理解していた。
とりあえず、僕はSに相談してみることにした。

僕が仕事をやめて、恐らく唯一心配してくれていたのが、Sだった。
Sは僕がこんなに麻雀にハマってしまうとは夢にも思っておらず、彼に相談も無しにフリー雀荘に通い始めたことを話した時は若干呆れられていた。
そして、僕に麻雀を教えたことを若干後悔していたっぽい。

そんな心配を露知らず、僕が雀荘のメンバーで働いてみようと思う、なんて相談をするものだから、Sはまた呆れながら僕に「やめとけ」と言ってきた。

Sはいつものように懇切丁寧にその理由を説明してきた。
勤務形態によるが、基本12時間勤務で体力的に厳しい事や、麻雀の腕が乏しい為、給料が残らない可能性がある事を丁寧に説明された。

ただ、僕も相談というのは建前で、もうこの時僕の中で雀荘で働くことはほぼ決定事項で、僕が聞きたかったのはどちらかと言うと「どうやったらこの世界で生き残れるか」という事だった。

僕も雀荘メンバー1本でやっていくつもりはなく、ちょうど近くにある居酒屋のバイトと掛け持ちでやる予定であることを説明した。

Sはもう僕のことを止めようとはせず、そういうことなら.......と、彼の持つ麻雀書籍を3冊貸してくれた。
1冊が福地誠さんの何切る問題集、これをとりあえず全部読んで理解できるようなること。
その次に、堀内正人の神速の麻雀。これはまだ難しいかもしれないけど、この先役に立つはずだと言っていた。
最後に、雀荘あるあるをまとめた謎の本.......これはまぁ、面白いという理由で貸してくれた。ビタ止めアピールをしてくるおっさんの話とか、河作りアピールをしてくるおっさんの話とかがまとめられてた。

2019年6月下旬、僕はいつものように雀荘へ向かうと、待ち席に向かう前に、店長に「メンバーとして働かせて欲しい」と話をした。

初めは、やっぱり止められた。

ただ、全く無理とは思っていないとも言っていた。

麻雀はヘタクソだけど、2~3ヶ月でこれなら、案外あっという間に強くなってしまうのでは?

麻雀の勉強をしながら麻雀を打てるという環境なら、あるいは.......。

加えて、雀荘メンバーの仕事は思ったほど簡単でもないと話された。

本走だけでなく、店内の掃除やドリンクやお客様との会話も含まれる。雀荘は普通の接客業とは異なる、高度な接客が求められると話された。

それら全てを僕は熱心に聞きいれ、真剣な顔で聞いていた。

少し考えた後、店長は「ほんとにメンバーになっていいんだね」と、僕に問いかけた。

僕は「働かせて下さい」とだけ答えた。

人生でこのセリフを言うことになるとは思ってもなかった。

言ってみた感想としては、思ってたより恥ずかしかった。それが受け入れられときは、想像していたよりずっと嬉しかった。

こうして僕はメンバーになった。

麻雀を初めて3ヶ月、激動のメンバー編が幕を開ける。

次回「僕が麻雀をやめるまで」に続く。



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