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夫と子供と私の話①

夫の体調悪化のスピードが上がり出したのは梅雨入りしてすぐの頃だった。

去年の梅雨は始まった途端に終わってしまってあっけなかったけど今年はどうなんだろう、
夏休みに行くフィンランドの宿泊先決めなくちゃね、今回は現地ガイドを頼んでみようか。

そんな話を2人でするのだけど、夫が話の途中で寝てしまう。

というか、椅子に座ると寝てしまう。
休日なんかはそれで1日が終わる。
子供を公園に連れて行ってほしいのに、食べた後の食器くらい自分で下げてほしいのに。
子供の話を、私の話を聞いてほしいのに、寝てしまって聞いてくれないなぁ。
すごく寂しかった。

主治医が言うのには、癌のせいで貧血が進んでいるのだと。だから起きていられない位辛いのだと。
それを治療する為にも一度入院しませんか、と今年に入って何度目かの提案をされた。
夫は大の入院嫌いで、多分その時点でも相当しんどかったと思うけど、首を縦には振らなかった。

夫は2歳から喉の持病があり、声帯の手術を繰り返す事優に50回を超える。
子供の頃の入院がよっぽど辛かったのだろう、大人になっても、何度繰り返しても、むしろ回数を重ねる程入院を嫌がるようになっていった。

私はそんな夫がとても面倒くさかった。
家事全般、仕事、育児で私の精神的器(小皿)は溢れんばかりなのに、大人の看病まで。
いやもう無理無理無理。
ぜったい無理。
早く入院して楽になって帰ってきてよ。
元気になって子供と遊んで、私と色んな話をしようよ。

「入院してよ」と言いたいけど、本人が望まないのならそれを尊重するしかない。
いつもと違う異変を感じたらすぐに連絡を、と病院から言われ、「どこからがいつもと違うんだろう」と不安とプレッシャーを感じ、心身共にオーバーヒート気味で過ごす週末が辛かった。


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