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生まれて初めてもらったボーナスで職業用のミシンを買った⑥

慣れない仕事ですっかり卑屈になってしまっていたが、それにも飽きる時が来る。

会社の為にも、そして自分の為にも今の仕事をもっと前向きに捉えたい。
商業簿記三級の資格を取る為、経理の学校に短期間通う事にした。
学校に通ってみて改めて分かったのだけど、私は根本的に何にも理解出来てなかった。
そりゃ帳簿ミスも直らんわ。
むしろそれでよく3期まで乗り越えたわ。
(3期までちゃんと勉強しようという発想が無かったのは我ながらゾッとする)

結果から言えば、情けないけれど簿記三級の資格は取れなかった。
学校に通ってみて勉強になった事は多かったけど、資格を取れるほど得意にはどうしてもならなかったし、もう一度挑戦する程好きにもなれなかった。
でも、前よりは経理が嫌ではなくなっていた。

そんな時、前職に一時的に戻る事があった。

長らく恋人であった彼と結婚をする事になり、その宴会を催すにあたりお金を稼ぐ必要に迫られた。
そこに素晴らしいタイミングで臨時の人員募集があると洋裁時代の元同僚に教えてもらい、3ヶ月間限定で経理との掛け持ちをする事となった(変人の社長とも仲直りした)。

久しぶりに踏む工業用ミシンは初めのうち少し緊張したけれど、すぐに体が思い出して問題なく使いこなせた。
数年ぶりのメンツで回す仕事はとても楽しく、短い期間だったけど本当に楽しく働かせてもらった。
自分の心と身体の息がピッタリ合っているのを感じた。

「やっぱり洋裁の仕事が好きだなぁ」
今まで何度も繰り返した考えが頭の中を一巡りした。
「でも、今の私の居場所はここじゃないな」
すっきりとした気持ちでそう思っていた。

ちゃんと役に立てているかは分からないけど、今自分が立っている場所でも腐らずに生きていきたい。

そういう風に考えるようになって、また少しずつ自分の仕事に責任を持てるようになっていった。

(遅い!甘い!そしてまだ続く!)




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