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生まれて初めてもらったボーナスで職業用のミシンを買った②

20歳の時に始めた洋裁の仕事は27歳までの7年間続けた。

今にしてみるとたった7年間なのだけど、その7年の間に夜間の洋裁専門学校に通い始め、恋人ができ、生活を共にし、体調を大きく崩してしばらく休職したりと少なからず色々あった。
職場でもそれは同じで、尊敬していた上司が変人の社長と揉めてあっけなく退職、それに伴う人事異動で持ち場が変わり受け持つ仕事の幅が増えた。特殊なミシンの操作を任され、繁忙期には先頭を切って働いた(そしてその無理が祟って身体を壊した)。

最初右も左も分からなかった馬鹿たれだった私だが、最終的には新人の指導を任されるようになっていた。
仕事に責任を持つことの喜びを噛み締めて働いた。他人に自分の持つ技術を求められ、それに応える喜びは何ものにも代え難かった。

しかし、5年目に身体を壊した。
喜びが大きい反面、心身共にストレスも大きく、元々強くもない精神と身体にガタがきた。

およそ2か月の休職後、以前のように仕事に打ち込めなくなっているのを感じた。
魔法が解けたような感覚で、日に日に仕事に魅力を感じなくなっていった。
「もう辞めたい」と、今は夫である当時の恋人にこぼす事が増えていった。

そして結局、変人の社長と揉めて退職した。

(まだまだ続く)

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