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スタッフコメント|#37『ナイトスイミング』

劇団代表作の中でもとりわけ人気の高いSF冒険活劇『ナイトスイミング』。皆様から再演を望む熱い声をいただき、2022年冬、札幌演劇シーズンにて待望の再演です!

音楽、照明、身体、美術、衣装、、、スペシャリストたちの手によって劇場に宇宙が現れます。舞台をより楽しんでいただけるよう、スタッフの皆さんからコメントをいただきました。

スタッフコメント

加藤亜祐美/楽曲

本作品は、私にとって弦巻楽団さんとご一緒させていただく三作品目になります。どの作品もポップな中に弦巻さんの戯曲への愛が敷き詰められたものばかりでしたが、今回の台本をいただいた際に、またいつもと一味違う"衝動"もしくは、良い意味での"諦めた振り切り"を感じ、とても興味を惹かれました。

再演に次ぐ再演とのこと、きっと今までに観劇された方々の中で一つ一つ大切な想い出となっている作品だと思います。今回新しく音楽で関わらせていただくことで、登場人物たちと共に歩む新たなピースの一つとして、皆様と一緒にこの物語の行先を大切に見守って行けたらと思っています。

佐々木青/衣装

『ナイトスイミング』とは、2回目の再演の時からのお付き合い。近未来宇宙ものだったので、作る方向に早々と決めました。
動きがあるので、パンツメインで。着脱しやすい様に、羽織で。
大人が中学生を演じるので、子供に見えるようにダボ感を。
宇宙を現すのに、穴を空けて厚手ビニールをはめて窓を作りました。

前回は舞台美術(川崎舞さん)が先に決定していたので、その色味を衣裳に練り込んだり、色彩を豊かに使う照明家(高橋正和さん)だったので、余り強い色味は使わず白系をメインにしました。

勢いのある舞台なのですが、細やかな心の動きがちゃんとあって、それがとても好きだったりします。
再演3回目。劇場まで観に来てください。

渡部倫子/振付

昨日は東京に行ってまして、札幌に比べると東京はポカポカで春のよう。どんどん脱いで、半袖にコートというとこまで行っていてみんなに驚かれたのに帰るころには急に吹く風が案外冷たくて、力が入りました。東京の冬にあっという間に慣れ下がった(あえて下がったとします)自分でした。

今回も俳優さんたちの強化からスタートし、ゴールが宇宙の無重力表現。私には常に作りたい世界があって、その世界に合うダンサーを育てるというところですし、トレーナースキルがちょうど満ちてきたところだったのでウキウキは最高潮となりました。その中で、感じているのはいい意味のブランク明け、舞台への希求が演者内に満ちている感です。ピリリとした緊張、充実感が満ちている稽古を見るのは本当に楽しい限りです。

2017年に続きナイトスイミングの創作に関わることになり、前回とほぼ同じメンバーの顔が、コロナ禍の中でも舞台を目指し続けていることに感動しています。今回は様々な専門分野の方が別なアプローチから作品に寄り添うことで、演者たちが本番をよりイメージしながら豊かに表現できている瞬間を垣間見るにつけ弦巻さんの、演者とスタッフを育てることで作品を育てていく力には本当に感服します。作品の舞台は宇宙。究極な状況の中でも変わらない人と人の絆に触れる時、私たちが普通の日々の中に忘れていたことにハッとし、高ぶる思いに涙を抑えることができない作品。中高生とその親たちに是非見ていただきたい名作です。

高橋正和/照明

まじめな文章を期待する方が間違っているということを思い知らせてやろうじゃないか…と。
自分には夢があるのです。それはなかなか難しいけどもしかしたら起こりうること。(成し遂げるとかじゃない)

「宇宙から地球を眺めたい。」

先日maezawaとかいうお金持ちが宇宙に行ってきたようですが、そんなことは無理なわけで、どうしたら見られるかと考えたわけですが、そうだ、幽体離脱して宇宙に飛び出せばいいとか、龍の背中に乗せてもらって行けばいいとか、猫バスもありか?とか、そんなわけで家の前にバス停を置こうかと考えている次第です。冗談だとお思いか?いや、幽体離脱なんて全然不可能じゃないでしょ。億のお金を払って宇宙船に乗るよりよっぽど現実的だと結構マジで考えているのです。ですが、そのために修行したり努力したりは全くする気配がないお前は(自分に向かって)いったい何様だ!
俺?俺様だし。

・・・

話がずれましたが(ずれる前に乗ってない)、大体ね、芝居の舞台が宇宙って困るでしょ。というか、宇宙を表現しようとか、そんなことは思っていないのです。「愛」を語るための舞台がだっただけで、自分は照明を通して愛を語ればいいのだ!なんてもっと無理じゃん。プラネテスっていう漫画があって、これがずいぶん好きでした。仲間とか愛とか孤独とか欲望とか成長するとは?・・なんだか似てるか?似てないか?ナイトスイミングで語られる物語は決してありえない世界じゃなくて、いつでもそんな世界が現実に訪れる可能性はあって、SFって大体そういうものだと思っていて、自分は、「そういうこともあるよなー」ってそんなことをいつも思うのです。龍の背中に乗って宇宙に飛び出して干からびて死ぬとか、それでいいかなぁって。もしかしたら自分が龍になれるかもしれないし体をなくして物理的な障害がない自由を手に入れるかもしれないって。

妄想できる作品は楽しい。いつの間にか自分が作品の中に入り浸って泳げたらとても楽しい。舞台照明なんてものは思うほどクリエイティブでもアーティスティックでもなくて、それだけでは何にも面白いことはない無力な代物なのです。作品があって、その作品のあるべき姿にそっと寄り添う。作品の隠れた美しさを少しだけ前に押し出そうとする。そういうものだと思っています。それはもしかしてあなたが少しだけこの作品に飲み込まれたように錯覚した時、作品の持つ真の力をあなたに少しだけ近づけるための力になれたのかもしれないと思うのです。宇宙に思いを馳せ、自分の愛を、人の愛を考え、感じる一瞬があったならそれはとても素敵な作品とのシンクロ、時間や空間を超えたまるで宇宙と自分が繋がる瞬間となるのでしょう。

・・

いや、本当は繋がっているのだよ。

・・

というような妄想に浸りながらナイトスイミングに寄り添うのです。

山口愛由美/音響

音響を始めてまもない頃に出会った作品です。
冒頭暗転明けのサルタ登場、身体で表現した転換などが印象的でした。
今回はプランから自分で行うので、劇中の人物たちが生きる宇宙空間・臨場感を表現出来たらなと思ってます。前回とは劇場も違うので、また違った印象を感じれると思います。
是非、観に来てください。ご来場お待ちしております!

勝山修平/宣伝美術

宣伝美術を担当しました、大阪で演劇ってる彗星マジックの勝山修平です。
『ワンダー☆ランド』以来、2回目の登板です。愛想つかされていなかったようで何よりです。
今回はチラシを作るにあたり、映像を送っていただき拝見しました。
正直、芝居を映像で観るのは苦手で、いやもう嫌いの域で、仕事以外ではほとんど観ません。それが自分の好きなカンパニーの映像であっても観たくない。
そんなわけで『ナイトスイミング』もビジネスモードになって鑑賞をはじめたところ、気がついたら真剣に観察をはじめていました。
宇宙と人間関係と自意識の中を漂うその演劇作品を、観察していました。

観察後。面白そう、ではなく興味深い、と思ってもらえるチラシにしようと思いました。
そして出来上がったのがあのチラシやポスターです。
芝居を観た後、チラシを開いたり閉じたりしてもらえたら、冥利に尽きるってものです。
あーもう生で観たい。
あの空間の中を一緒に泳ぎたい。


公演情報

弦巻楽団#37『ナイトスイミング』

遠い未来。太陽系やその他惑星は次々に開拓され、宇宙は未知でも危険でもなくなりつつあった。
宇宙旅行を企画する会社で働く主人公サルタは新たな旅行先の調査中に事故に遭い、氷で覆われた星に不時着。そこで彼は、20年前宇宙旅行のさなか、事故に遭遇し行方不明になった同級生達と再会する。彼らは当時の姿のまま、氷に包まれた惑星で救助を待ち続けていた。
大人になれなかった彼らと、大人になってしまった私たちを巡る、約束と失望の物語――。

札幌演劇シーズン2022-冬 参加作品

脚本・演出 弦巻啓太

出演
深浦佑太(ディリバレー・ダイバーズ)
村上義典(ディリバレー・ダイバーズ)
池江蘭

遠藤洋平(ヒュー妄)
温水元(満天飯店)
塩谷舞
鈴山あおい(Studio MAZUL)
高橋友紀子

佐久間泉真
相馬日奈
木村愛香音
島田彩華
阿部邦彦

日時
2022年2月5日(土)〜12日(土)
2月5日(土)18:00
2月6日(日)14:00/18:00
2月7日(月)19:00
2月8日(火)19:00
2月9日(水)19:00
2月10日(木)19:00
2月11日(金祝)14:00/18:00
2月12日(土)14:00

※全10ステージ。
※上演時間は1時間40分を予定。
※開場は開演時間の40分前。

会場
生活支援型文化施設コンカリーニョ
札幌市西区八軒1条西1丁目 ザ・タワープレイス1F(JR琴似駅直結)
TEL 011-615-4859

料金
前売・当日ともに
一般 3,000円
学生 1,500円

ご予約(当日清算)
https://ticket.corich.jp/apply/115549/

チケット事前購入
・ローチケ(Lコード:10104)
・チケットぴあ(Pコード:509-399)
・エヌチケ(https://ticket.aserv.jp/nt/
・札幌市民交流プラザチケットセンター
・道新プレイガイド

スタッフ
照  明:高橋正和
音  響:山口愛由美
舞台美術:高村由紀子
衣  装:佐々木青
衣装助手:斎藤もと
音  楽:加藤亜祐美
振り付け:渡部倫子
宣伝美術:勝山修平(彗星マジック)
記  録:イノッチ
演出助手:大川美希、柳田裕美
制  作:久慈優花、弦巻楽団
制作協力:ダブルス

主催
札幌演劇シーズン実行委員会、演劇創造都市札幌プロジェクト、北海道演劇財団、コンカリーニョ、BLOCH、札幌市教育文化会館(札幌市芸術文化財団)、北海道立道民活動センター(道民活動振興センター)、北海道文化財団、ノヴェロ、札幌市

後援
札幌市教育委員会

お問い合わせ
一般社団法人 劇団弦巻楽団
メール:tsurumakigakudan@yahoo.co.jp
電話:090-2872-9209​

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