雑読みで楽しむ『文鳥』(夏目漱石)

はじめに

 ーー芥川龍之介の『羅生門』って、老婆が死体から引っこ抜いた髪の毛でカツラを作る話でしょ?。

 有名な文学小説も雑に読めば、一部のシーンだけがクローズアップされたり本文にない要素が加味されたりして、実際のものとはまったく印象の異なる作品になってしまう。
 そんな「雑読み」による独自解釈をもとに、各物語のあらすじを紹介していく『雑読みで楽しむ文学』シリーズ。
 第一回目は夏目漱石の『文鳥』を題材にお届けしたいと思います。

雑読みで楽しむ『文鳥』

 主人公が書斎で頬杖をついていると、三重吉という男がやって来て「鳥を飼いなさい」と勧められた。興味を覚えて何の鳥か訊ねると文鳥だと返ってくる。文鳥は三重吉の小説に出てくるくらいだから、さぞかし綺麗な鳥だろうと思って「じゃ、買ってくれ」とお願いする。
 しかし、三重吉は「ぜひ飼いなさい」と繰り返すばかりでいっこうに話が進まない。

 やっとのことで話題が鳥かごに移った。三重吉が籠の講釈をするのだが、主人公はすべて忘れてしまう。
 彼は「これで籠とか鳥とか適当に買ってきてくれ」と三重吉にお金を渡すのだった。

 季節が秋から冬に移ろい、ようやく待ちに待った文鳥がやってくる。
 夜になったら防寒のために鳥かごを箱の中に仕舞うこと、時々別の箱に移して水浴びをさせてやること、餌の粟を切らさないように補充すること、籠の中が糞で汚れるから適度に掃除をすること、毎朝水を替えることなど、三重吉から一通り飼育の説明を受ける主人公。
 できるかどうかわからないけどやってみよう。無理なら小女がなんとかするだろう、と軽い気持ちで文鳥を飼い始める。

 翌日から、寝坊しながらも言われた通りの世話をこなしていく主人公。小説を執筆する合間に文鳥の様子を観察して癒される。どうやら過去に軽く戯れたうつくしい女の面影を文鳥に重ねているらしい。

 最初は一人で世話をしていた主人公だったが、じきに小女が勝手に世話を手伝うようになる。それで肩の荷が下りたらしい主人公は、だんだんと世話をサボるようになっていく。寒い夜でも箱に入れてやるのを忘れたり、鳥籠がひっくり返る音が聞こえても、すぐに様子を見に行かなかったりする。

 ある晩、三重吉に呼び出されて帰りが遅くなった。家に戻ってみると、文鳥が鳥籠の中で冷たくなっていた。見ると、餌壺も水入れも空っぽになっているではないか。
 怒った主人公は、呼びつけた小女の手元に鳥の死体を投げつける。
「餌をやらないから、とうとう死んでしまった」

 それでも気が収まらないらしい主人公は、三重吉に宛てて手紙をしたためる。
『家人が餌をやらないから文鳥が死んでしまった。餌をやる義務を果たさないのは残酷の至りだ』
 そして最後は、三重吉からの返事に小女が悪いとも残酷だとも書かれていなかった、という一文で締めくくられる。

雑なひとこと感想

 かつて恋した女の面影を重ねておきながら、その文鳥の死体を投げつけるってどういうことだ。


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