どっちでもよかった

 美容師のお姉さんに髪型の相談をする。
「顔周りの毛先のパツンとしたラインは残したいんですけど、その上で印象を変えることは可能でしょうか」と、祈る気持ちで訊ねる。
 カラーもパーマもヘアアレンジも嫌がるわたしにとって、髪型は各パーツの中でも特に大事な要素だ。

「それなら、毛先をV字にカットするか、完全にまっすぐ切りそろえる感じになりますね」
 お姉さんが雑誌を持ってきて、二枚の写真を指差し説明してくれる。それらを見比べながら、二、三細かい質問をした後、散々迷って「じゃあ、こっちで」とお願いした。

 銀色のケープを巻いてもらってカットが始まる。雑談で盛り上がる中、ふと、「そういえば、結局どっちの髪型を選んだんだっけ」と疑問が湧いてきた。
 あんなに真剣に悩んで決めたのに、どうやっても思い出せない。
 もし、今、髪型を選ぶ場面に巻き戻されたとしても、同じ選択をするのは無理だろうなと思う。
 つまりは、そういうこと。

この続きをみるには

この続き:0文字

どっちでもよかった

水流苑まち(つるぞの・まち)

100円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

いつもサポートありがとうございます。 『この世界の余白』としての生をまっとうすべく、意味のないものを生み出すために使わせていただきます。

うむ、よきにはからえ。
6

嘘つきは作家のはじまり

作家の日常、考えごと。 嘘や妄想も織り交ぜて、チラ裏にメモする感覚で軽く書いています。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。