灰月弥彦

新潟のしがないプログラマ。だいたい本か映画の話をします。

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マガジン

  • コロナに立ち向かう参考書籍リスト

    『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』に掲載の参考書籍を読んだ感想記事をまとめています。

  • 【独学】読書猿『中学0年生からやり直す英語読み』

    読書猿氏のサイトより https://readingmonkey.blog.fc2.com/blog-entry-92.html 英語学習をやり直す記事のまとめです。

最近の記事

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【海外文学のススメ】怪奇小説の沼から

1.初めにガイブンが売れないといわれて久しい。出版不況といわれる全体の潮流の中でもガイブンは特に厳しいらしく、ツイッターをみていると初版が数千冊のオーダーでも珍しくはないようだ。 売れなければ、出ない。 供給が途絶えて我々が餓死しないためにも、公式企画「海外文学のススメ」に参加することにした。この記事では私の愛する怪奇小説の中で、普段海外文学を読まない方でも楽しめるような書籍を、アンソロジーを中心にいくつか紹介しようと思う。なお、選定には入手のしやすさを考慮した。 2.

    • 【読書記録】異形コレクションLⅥ 乗物綺談

      2024年51冊目。 異形コレクションの56冊目。私は再開後から読み始めたので8冊目となります。テーマは乗物ですが、車や鉄道だけでなく人力車やメリーゴーランド、妖怪片輪車など多岐に渡っていて面白いです。 平山夢明「スイゼンジと一緒」が強烈。生々しい緊張感が感じられ、平山節が全開です。 空木春宵「新形白縫譚 蜘蛛絲怨道行」も著者がデビューから一貫して描き続けている少女の痛みをテーマにした怪奇SF。『感応グラン=ギニョル』のころはSF?って感じだったんですが、最近はSFだと

      • 【読書記録】修禅寺物語

        2024年50冊目。 「玉藻の前」、「修禅寺物語」、「番町皿屋敷」の三篇を収録。「玉藻の前」は中公文庫版で既読です。「修禅寺物語」も読んだ気がしたのですが橘外男の「逗子物語」と間違えてました。全然違う。 「番町皿屋敷」は戯曲で、新歌舞伎として有名なようです。従来の皿屋敷と比較して、青山播磨と菊の恋愛ものにしたのが特徴で、菊が播磨を恨んでいない設定が新鮮でした。未練があるわけでもなく、何故菊の幽霊が出てきたのかはよくわかりませんでした。 「修禅寺物語」は修禅寺に幽閉された

        • 【読書記録】暗黒神話大系シリーズ クトゥルー6

          2024年49冊目。 ラヴクラフトとダーレスによる合作を3編収録。目玉は長編「暗黒の儀式」でしょうか。 アーカムやダニッチというラヴクラフト小説でもお馴染みの街が舞台となります。架空の土地ですが位置関係などどうなっているのでしょうか。あまり離れてはいないようですが。 「暗黒の儀式」ではヨグ=ソトースが登場。呪文などではクトゥルーやシュブ=二グラスの方がよく出てくる印象ですが、実際に復活の儀式などが行われるような事態になるとヨグ=ソトースが出てくる印象があります。それこそ

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        【海外文学のススメ】怪奇小説の沼から

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          11本
        • 【独学】読書猿『中学0年生からやり直す英語読み』
          8本

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          【読書記録】蜘蛛の夢

          2024年48冊目。 『鷲』に引き続き未読はほとんどなく、「廿九日の牡丹餅」のみでした。 「廿九日の牡丹餅」は『探偵夜話』の作品のような探偵趣味の作品。あくまで趣味なので探偵役が登場するわけではなく、事態が進展するにつれてだんだんと説明が地の文で入る形。怪奇譚として読むと弱いですが奇談の範疇に入る作品だと思います。

          【読書記録】蜘蛛の夢

          【読書記録】幻想と怪奇14 ロンドン怪奇小説傑作選

          2024年47冊目。 テーマは「ロンドン怪奇小説傑作選」。これまでも幻想と怪奇はたびたび英国を特集してきていましたが、今回は地理にフォーカスし、実際にロンドンの地図上で事件が起きた場所を当てはめて紹介しています。私は出てくる地名が本当に存在するのかどうかも気にしていませんでしたが、これまでなんとなく読んでいた地名が地図上で示されると解像度が上がった感じがして面白かったです。ベイカーストリートとか実在するんですね。 今回収録作はいわゆる怪奇紳士党の方々があまり登場せず(ウェ

          【読書記録】幻想と怪奇14 ロンドン怪奇小説傑作選

          【読書記録】ガストン・ルルーの恐怖夜話

          2024年46冊目。 『オペラ座の怪人』で有名なガストン・ルルーの短編集。ただし「蝋人形館」は後の調査でアンドレ・ド・ロルド(グラン・ギニョル座の劇作家)の作品であることがわかっています。 ほとんどの短編は引退した老船乗りたちがカフェで語っているという形式になっています。この老人たち、話の途中で「こんなの全然怖くないじゃないか」と茶々を入れたり、席を立ってしまったりするので正直興が覚めてしまいます。なのであまり怖さは感じませんでした。 しいて挙げるとすれば「胸像たちの晩

          【読書記録】ガストン・ルルーの恐怖夜話

          【読書記録】奇蹟の輝き

          2024年45冊目。 事故死した主人公クリスは天国で生まれ変わります。愛する妻アンが来るのを待っていようと思っていたところ、アンはクリスが亡くなったことを苦にして自殺してしまい、地獄へ落ちます。クリスはアンを救うため地獄へ旅立つというストーリー。 天国は現世と重なり合う高次元の世界で、人々はより高次元の世界と一体化するために修行するという世界観で、西洋魔術の影響があるのではないかと感じました。 前半は天国の説明が続き、やや平坦な印象でしたが、後半の地獄の描写やアンとの対

          【読書記録】奇蹟の輝き

          【読書記録】鷲

          2024年44冊目。 『鎧櫃の血』に引き続き未読はほとんどなく、「兜」のみでした。 「兜」は結局主人公の家に帰ってくる因縁が明かされないのが不気味で、持主に災いがあるという触れ込みの割には主人公の家は特に何もなく、かと言って逆に御利益があるわけでもないというのが不思議です。拾った女性が見つかったとしてもこれまでの経緯がなくなるわけではないので不思議は残るように感じました。

          【読書記録】鷲

          【読書記録】薬屋のひとりごと14

          2024年43冊目。 あまり気にしていませんでしたが西都に一年もいたので一巻から比べるとだいぶ時間が経ってるんですよね。猫猫も周囲の光景もだいぶ変わってきました。 羅半兄の恋が始まりましたが姚の婚約問題は解決せず。燕燕は結局どうしたいんですかね。ますますややこしくなってきました。 派閥争いは今後の主要テーマになってきそうですね。今は若手が暴走しているだけにみえますが今後大きな問題になりそう。最後に悪意をばら撒く者が登場しますがこの人物だけでは留まらなさそうです。 猫猫

          【読書記録】薬屋のひとりごと14

          【読書記録】デビュー50周年記念! スティーブン・キングを50倍愉しむ本

          2024年42冊目。 『ホラー小説大全』でスティーブン・キングが読みたくなってきているところにこんな本が出ていたので読んでみました。ちなみに電子書籍限定で無料です。 既存作品の内容紹介だけでなく、未収録短編や最新長編の冒頭部分など、実際にキングの小説が読めるのがよかったです。 キングの本は多いのでどれから読めばいいのか迷ってしまいますね。基本的に新しいのから読めばいい気がしますが、うっかり続き物だと知らずに買ってしまいそうです。『シャイニング』の前に『ドクター・スリープ

          【読書記録】デビュー50周年記念! スティーブン・キングを50倍愉しむ本

          【読書記録】新編 怪奇幻想の文学4 黒魔術

          2024年41冊目。 テーマは黒魔術。自分の欲望のためだったり、人を傷つけるための魔術のこととされますが、アンチキリスト的な意味もあったりで幅広い概念だと思います。 今回も新訳ですがアーサー・マッケンの「変身」だけは平井呈一訳。創元推理文庫でも平井訳のマッケンが復刊するなど再評価が進んでますね。 収録作の中でお気に入りは「ねじけジャネット」「魔術師の復活」「蟹座と月の事件」「ロスト・ヴァレー行き夜行列車」。 「ねじけジャネット」は首がねじれている老婆というビジュアルが

          【読書記録】新編 怪奇幻想の文学4 黒魔術

          【読書記録】鎧櫃の血

          2024年40冊目。 中公文庫の岡本綺堂を読み終わったので引き続き光文社文庫の作品を読みます。とはいえ、本書は「三浦老人昔話」「新集巷談」の二作品を収録しているのですが、中公文庫などでほとんど収録されているものばかりだったので未読の作品はありませんでした。 「魚妖」は魚ではなく鰻の話。岡本綺堂の鰻の話は「鰻に呪はれた男」「放し鰻」など他にもいくつかあり、鰻が今のような高級食材ではなく普通に食べられていたことを感じられます。鰻が怖いという話なのに鰻を食べたくなってしまいまし

          【読書記録】鎧櫃の血

          【読書記録】ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル 完全版

          2024年漫画等57冊目。 以前出ていたワールドガイドが完全版になって復活。最終巻以降の話も載っていて必読です。ページ数もかなり増えており、書き下ろし漫画も多数なので満足です。 人物や設定を紹介する漫画ではリアリティのある差別や偏見などの記載もありスパイスが効いています。ここら辺の設定のうまさが九井さんの本領発揮といったところでしょう。 読んでいて一番ワクワクするのはやはり魔物紹介のパート。通常版の時も書きましたが、怪獣図鑑とか大好きだった幼少期を思い出します。

          【読書記録】ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル 完全版

          【読書記録】笑顔のたえない職場です。9

          2024年漫画等56冊目。 アニメ化おめでとうございます。本編も合わせてアニメ化の展開ですね。アニメ化に際して漫画家さんがどれだけ関わるかって人それぞれのようなのですが、双見の場合はスタッフを信じて任せる感じになりそうですね。もちろん資料とか宣伝とかはガッツリやると思いますが。 ねこのてのお話し。漫画家って孤独な作業に思われがちですがそんなことはなく一定のコミュ力も大事なんだということですね。まだ未成年ですし、親とすら仲良くできないではっていうのも理解できます。(いろんな

          【読書記録】笑顔のたえない職場です。9

          【読書記録】雨夜の月6

          2024年漫画等55冊目。 意外にバレないものですね。とはいえ周囲はだんだんと勘づいてきていますし、外堀が埋まってきている感じがあります。 奏音と花火を見てるシーン、キスしたかと思いましたが顔を近づけてるだけでしたね。 奏音も自分の特別な感情に気づき始めていて、それがどういう感情なのか扱いかねているのが青春って感じで尊いです。

          【読書記録】雨夜の月6