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昔のアオハル:何色だろう 

その昔、60年安保が終わり、キャンパスも静けさを取り戻していた。立看が見当たらない頃、キャンパスと下宿を往復する日が続いていた。

ある日、繁華街の書店に出かけた。目的の本は見当たらず、繁華街をそぞろ歩きのごとく、歩きながら路地に向かった。よく立ち寄る喫茶店だ。※後に、「スナック」となったり、「カフェ」となったり。

喫茶店を出たとき、斜め前にある小さな古本屋に立ち寄った。こぎれいに整理されている。特価本のコーナーがあった。その中に青い表紙の漫画が目に留まった。

誘われるように、パラパラと開いた。直感で買おうと決断した。漫画雑誌は買ったことがある。まだ、単行本の漫画は少なかった。※多分、出始め頃だった。

下宿に帰り、一気に読んだ。アオハル未満のストーリーだった。当時は、このような筋立ては時折目にしていたが、よく印象に残る漫画だった。複写機はなく、まだ青焼きの時代、記録に残すために写真を撮った。

Noteを始めて、改めて読もうとした。が、ない、見当たらず、筋を確かめたい。今は棚上げ。

橋の上で、川面を物思いにふけながら見つめるとはなしに見つめる青年。青年は隣の家の娘が気になっていた。

鳥を飼い始め、冬に向かう時季。部屋の外に出したまま忘れていた。起きてみると、暖房の入った部屋のガラスに結露現象。娘が結露に指で「鳥、可哀そうです」の文字。

時に触れ、折に触れ、娘は結露書き。青年も結露書き返し。通学の時、娘に出会うが、会釈のみ。数度出会うが、会釈飲み、時に無言で並び歩き。

結露現象が始まった。鳥はすでに放たれていた。娘は短い言葉。言葉を重ねるうち、時に、娘の苦悩。通学時に出会うが、黙して語らず。

真冬を過ぎても、結露はできるが、娘の部屋に結露字が書かれるのが途絶えた。通学時に出会うこともない。青年の脳には苦悶の嵐。

苦悶の中、橋の上から川面を見つめる。娘の笑顔、煩悶の顔、苦悩の顔、いろいろな顔の表情が巡る。

青年の後ろを通り過ぎていく中年女性が二人。同情しながら、娘が亡くなった事情について語る。それを聞いた青年は事の顛末を知り、涙が川面に落ちていく。

著者名・書名知らず

年令に合わせたカラーは難しい。「アオハル」は何色。※「アオハル」は、咲坂伊緒の少女漫画作品『アオハライド』の由来とある。

人生に合わせた色はなさそう。でも、候補はあるかも。

・朽葉色(くちばいろ): 赤みがかった黄褐色で、枯れた落ち葉を思わせる色。
・茄子紺(なすこん): 茄子の皮のような紫がかった暗い紺色。
・纁(そひ、クン): 茜で染めた薄赤色で、緋色よりも少し薄い色。
・煤竹色(すすたけいろ): いぶされた竹の色で、晩秋にふさわしい色。

付記:撫子色(なでしこいろ): 典型的な桃色で、女性や子供を象徴する花として古くから日本人に慕われてるという。