見出し画像

ごくうが行く:松飾りが

ごくうの散歩道は山陽道沿いの小高い山を回ることがあるが、東西方向に散歩するのが習わしである。しかし、時に「てっちゃん道路」沿いに南に細い道を散歩することがある。*「てっちゃん道路」は犬の名前が「てつ」と言うことから。仲良しわんこだ。

2ヶ月前だろうか、南のてっちゃん道路に向かった。考え事をしながらうつむき加減に歩いていると、「こんにちは」と声が掛かった。驚いて見上げると、挨拶をし始めた高齢の女性が今まで聞いたことがない明るい声で挨拶した。

思わず、挨拶返しをする。そういえば、南の道を散歩したとき、2度程出会っていた。しかし、軽い会釈が多かった。夏には、「今日も元気じゃね」など時々声かけして貰っていた。だいぶ親しそうになってはいたが、笑顔がこぼれるようなことはなかった。

今夕も、てっちゃん道路を選択した。入り口付近には、郵便局がある。交差点を渡って、てっちゃん道路に向かおうとすると、郵便物を出したのか、高齢女性に出会い、いつものような挨拶した。

てっちゃん道路コースは折り返さなければならない。いつもの所で折り返す。ごくうはそのままお大師堂コースを選択した。お大師堂には妻がいると、必ずお祈りする。しかし、今日はいない。

お大師堂まで来た時、ふと見ると、何やら箱が2つある。思わず近寄った。「ご入り用の方はお持ち帰りください」の紙が貼られている。松飾りだ。まだ置いたばかりのようだ。

躊躇なく、お祈りし、寄付をし、松飾りを持ち帰った。帰りの道で、引き続き散歩していた高齢のご婦人に出会った。「この松飾り、お大師堂で」というと、「どこのですか」と尋ねられ、お大師堂を指さす。高齢婦人は「あ、あ」と言って納得。

家に帰ると、妻も「え、そうなの」と言って、珍しがる。例年は近所の人が世話してくれる。今年はまだ案内がない。松飾りを作る人の名前が一致している。作風も同じだ。

感謝しながら、松飾りを飾ることになるだろう。