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1億回生きたホタル

画像:「ホタル」Wikiから。

ホタルが1億回生きて、「黄緑色」の光を発している。
昔は「深い緑色」の光を発したそうな。
ホタルは5千万回生きた頃から「深い緑色」の発色を見てみたい気になった。
6千万回生きてもまだ見られない。
7千万回生きてもまだ見られない。
8千万回生きてもまだ見られない。
9千万回生きてもまだ見られない。
ホタルが1億回生きたとき、思い切って飛んでみた。
ホタルは「そこに」行ってはいけないという伝説があった。
ホタルは蜃気楼の中に飛んでみた。
陽が出ているのに、何も見えない。
飛んでいるのか、浮いているのか定かには分からない。
ホタルは身を任せてみた。
夜のとばりが降りて来た。
月明かりに照らされた川が見えてきた。
ホタルは川筋に飛んでいく。
木が川傍に密集している川の淵に誘われいく。
風も凪いでいる。
「あぁ、ここは素敵なところだ。」
「あぁ、ここは深淵なところだ。」
ホタルは不思議そうに飛んでいく、「黄緑色」の光を発して。
川の淵を回ったところで「深い緑色」の光が見えた。
ホタルは誘われるように「深い緑色」の光近くで舞い始めた。
気が付いた蛍が「深い緑色」の光を放ち始める。
ホタルも「黄緑色」の光を繰り返し放つ。
「なんと夭夭たる光だろう」「なんと高貴な光だろう」
ホタルは眩しそうに、憧れるように「黄緑色」の光を放つ。
蛍は光の信号を受け取り、「深い緑色」の光を受け入れるように穏やかに放つ。
ホタルと蛍は一緒に草に並んでとまる。※落ちないように
葉が撓み、元に戻る。
ホタルは蛍の高貴な「深い緑色」の光に頬が染まる。
夢にまで見た「深い緑色」の光に包まれたホタル
二人で一緒に過ごした2日間
蛍はゆっくりと草だまりで息を引き取りました。
後を追うようにホタルも草だまりで息を引き取りました。
二人は並んで息を引き取っていました。

ホタルは二度と生き返ることはありませんでした。

ホタルの最初の祖先は、(分子系統解析の研究による)約1億年前の白亜紀に出現している。ホタルは意外と各地に分布する。ただ、極地と砂漠などで見かけることはないという。

種類も多く、世界で2000種類はいるといわれている。日本では、50種類程度だが、南地方に偏る。

・白亜紀(はくあき、白堊紀、 Cretaceous period ):地球の地質時代の一つで、約1億4,500万年前から6,600万年前を指す。

昔のホタルは「深い緑色」を発光していたという。現在のホタルの発光色は、緑、黄緑、黄色、さらにはオレンジ色がかった黄色などである。

ホタルから「光子」が放出されて、腹部で光る。腹部の光で仲間を引き寄せたり、繁殖活動を行う。基質、ここでは「ルシフェリン」が、酵素(ルシフェラーゼ)によって酸化される。その酸化反応においてエネルギーの一部がを生じさせ、光子として放出され、発光現象となる。ルシフェラーゼによって(オキシ)ルシフェリンに変換される。

・基質は、酵素反応において、酵素が作用する対象物質のことをいう。

絵本
・佐野洋子(1997年)『100万回生きたねこ』講談社。
・1億年前のホタルの光については、次に。