見出し画像

ミヤコツツジ-比叡山から移植 京都府植物園

画像:京都府植物園のミヤコツツジ(撮影日時:2018年5月1日、植物生態園)

ミヤコツツジ(京都府植物園・植物生態園)

大正時代に、比叡山にはミヤコツツジが生えていたのだろう。比叡山から京都府植物園の開園に伴い、(記録は見当たらず推測)比叡山から「ミヤコツツジ」が移植されたものと思われる。

ミヤコツツジは、ヤマツツジ(ほぼ全国分布)と、モチツツジ(伊豆半島より西へ岡山県中部まで分布)の交配雑種である。京都・比叡山にはロープウエイから、時期によるが、モチツツジを見ることができる。詳しく観察できていないが、ミヤコツツジも自生しているかも知れない。

京都府植物園には、多くのツツジが植栽されている。ヤマツツジやモチツツジをはじめとしてゴヨウツツジ、レンゲツツジ、セイシカなども植栽されている。10種は超えている。

そんななかで、比叡山から移植されたミヤコツツジは異彩を放っている。ツツジとしては、もはや大木の部類に属する。木の幹の太さが印象に残る。花も大型であり、ヤマツツジ(3センチ前後)やモチツツジ(5センチ前後)と比べると、モチツツジの大きいものよりも若干大きい。

花色については、ヤマツツジが朱色であり、モチツツジは薄い紅紫であるが、ミヤコツツジは紅紫色が赤みを帯びている。比叡山から移植されたというミヤコツツジも、赤みを帯びた紅紫色であるが、色味が濃く、妖艶な感じを覚えさせる。蜜標はツツジの中でも、もっとも明確で派手な部類に属する。

花の付いている枝には毛がかなりの密度で付いている。葉の両面にも褐色の毛がある。葉の下面の中肋には剛毛がある。毛深いのが印象的である。ヒコバエが大きくなったような枝の幹には毛は着いていず、滑るような木肌である。

ミヤコツツジも秋には実をつける。写真では、一つは緑色を残し、一つは茶色になっているが、まだ裂開には日数が必要である。ツツジは実が熟してしばらくすると裂開し、タネを飛び散らせる。ツツジを植えた鉢でも、結構落ち種が芽吹いている。青い実のツツジからはタネは得られない。

ミヤコツツジの実と枝