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私はリョコウバトのマーサ

画像:マーサ。スミソニアン協会アメリカ自然史博物館(ワシントンD.C.)所蔵の剥製標本。Photograph by Robb Kendrick / National Geographic Creative。

私はリョコウバトのマーサ。ハトとしては一回り大きめよ。身体は40cmくらい。カラスよりも一回り小さいけど、飛んでいると、一目で分かる位。でも、もっとはっきりと分かるの。だって、リョコウバトは飛ぶときは集団で飛ぶの。それも一気に何千羽と飛ぶわ。一旦飛ぶと、空が真っ黒になるくらい。何分も続くの。皆驚いていたわ。「空を埋め尽くす鳥」*として記録があるわ。飛ぶスピードも速いの。時速100Kmよ。

アメリカの初期の鳥類学者オーデュボンは、1813年にケンタッキー州でこの鳥の大群が3日間途切れずに飛ぶのを観察し、3時間に通過したハトだけでも控えめに計算して11億5000万羽あまりいたと試算しています。一説では、50億羽。

世界人口が1987年に50億人

*オーデュボン著/サンダース編/西郷容子訳(1994)『オーデュボンの自然誌』宝島社、148-159頁。
*五十嵐順平・岡部聡・村田真一『絶滅動物の予言ーー生命誕生「35億年目の悲劇」を読む』情報センター局。

*リョコウバト(passenger pigeonあるいはwild pigeon、学名:Ectopistes migratorius)は季節性を伴ういわゆる渡り鳥ではない。いわば、食料を求めて旅するハトであり、食料があれば、留まるし、なければ、探して旅行する。
*ハト目(ドードー科とともに、ハト科を構成する。)

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未完

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私はリョコウバトのマーサ、リョコウバトの生き残りと一緒に、アメリカのシンシナティ動物園で保護されたわ。死んだ日がしっかりと記録されているの。第一次世界大戦が始まって(1914年7月28日)まもなくだったの。1914年9月1日なの。それがリョコウバトの絶滅した日になったわ。そうそう、名前の由来はね、アメリカ初代大統領ワシントンの奥さんの名前 マーサにちなんでいるわ。もうリョコウバトは名前だけしか残っていないハトになってしまったわ。

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