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《エピソード38・金の行方》弱冠20歳で1000万超えの借金、鬱、自殺未遂、親との確執。からの逆転人生を実現させたリアル話。

夢の裏側にあるリアル

いよいよプロテストに臨んだ。目の前には本物のプロ野球選手がずらりと並び、僕の一挙手一投足を眺める。鼻で笑うのか、それとも驚くのかは結果次第なんだろうけど、夢に向かう僕の背後には借金があるなんてことは誰も知らない。表は夢。裏には借金。そのカオスのような状態はどうなっていくのか・・・・

ブレーキが、勝る時

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毎月18万の返済と、それに

合わせて増える借金は平行線を辿っていた。アクセルとブレーキは両足とも離れることはなく、アクセルを踏んではブレーキを踏みその摩擦音で日々が埋まる。アクセルを踏むことに対する希望を見出せずに甘い過去に戻ろうとするその時間から、無意味だけど抜け出せない。

きっと僕はあの時、依存症にかかっていた。

借金というものは、お金がない人がするもののようにみえるけど実はそうではない。お金を貸す側のことを考えるとすぐにわかるけど、お金がある人ができるもの。お金がある人にお金を貸すことで利鞘を稼ぐ。

だからこそ審査があり、収入を調べられ「この人であればリターンが見込める」からお金が貸し出される。

その審査の一つが“完済能力“だ。

借金はした時点で終わりがない。というのも、貸す側に予定通りに返済が進み利鞘を得ることができれば信用度は増す。信用度が増せば完済しそうな段階で更なる融資を打診してくる。そりゃそうだ。確実に戻ってくることがわかり、儲かるのであれば何回でもしたいのが人間の心理だからだ。

僕は一度、借金をして借金を完済させた。完済させると限度額までの融資可能額が満額になる。100万の限度額、30万の限度額、50万の限度額のものもあった。

便利なキャッシュディスペンサーは、いつでもその満額の融資を引き出せるマシーンと化した。

誘惑に勝てず、依存症に陥っていた僕にとっては魔法のカード。18万の返済と2万の定期預金で使う20万の圧迫をこの魔法のカードで解消し始める。

そしていつしか、アクセルよりもブレーキが上回った。そう。また同じ状況に陥ったんだ。

回顧

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夢を追う。それだけでは依存症が治らなかった。一度ハマってしまうと再びそこに戻るのにはそう時間はかからない。

いけないことだとわかっていながら、それを止めることができない心理はおそらく、感情などのだらしなさよりも脳の機能の問題だとしか思えない。

それでも、いつしかカードは融資可能額までいっぱいになる。救われたのは、完済した際に切った何枚かのカード。幸い、その分を差し引くと前ほどの借金額ではなかったけど、増えたのは事実。

過去にまた後戻りしながら夢を追うことになった。

借金をしたければ、まずは稼ぐ能力を見せつける必要がある。その未来に期待が持てるからお金は集まり、その未来に期待が持てなければお金は決して集まらない。

ギャンブルをしていたあの頃の僕は、未来になんて一切期待出来なくて、ギャンブルに消えていくお金の価値すらわかっていなくて、誰からもお金なんか集めることができなかった。

お金は、価値の増加で増えていく。需要が高まればそこに集まるお金。でも、その人間に経済的な価値がなければ何も集まってやこない。

それすらもわからなかった過去。一万円も人から集めることができなかったのは、当時の僕は一万円の価値すらなかったことになる。一万円以上の価値交換ができる人間を、ギャンブルすることでどうやって作るのか?

なにもわかっちゃいない。そして僕はまた価値の創出すら行わずに借金を増やした。

この借金がいずれ、僕を裁判所に向かわせることになるとはこの時思いもしなかった。

続きはまた。


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