【これからの日本】山を捨てよ町へ出よう!「当初予算書読破のすすゝめ」

結論から言ってもいいですか?
土地という資産を持っていても、それが山の中のものならば、
それを捨てて「まちに住もう」と強くおすすめしたい!
「田舎暮らし」が、その自治体全体の重荷になってくるのは目に見えてるから!
そして、いずれ見捨てられてしまうことも充分に考えられるから。

インフラ整備費が、市民生活を圧迫する

次の図を見てください。

社会資本の老朽化の現状と将来│国土交通省

これを見て、どう思われましたか?
大規模メンテナンスをしなくてはならないインフラが今後どんどん出てくるよ、何なら新しくしなきゃならないものも出てくるかもよ、ということ。

これは国の情報ですけど、各自治体でも当然同じことが起こっています。
日本の7割は山林。
その中に、小さな集落があったりします。
このエリアでも、水道や道路のメンテナンスは不可欠。
でも、山の中で暮らす人は年々減っていますよね。
さて、そのような場所のインフラメンテナンス、費用対効果の面でどうなんでしょうね?
※嫌味ではないです。自治体全体で考えないと、自分たちのこととして考えないと、自治体そのものが破綻するかもしれませんよ、という意味です。

ですが、そういう場所にお住まいなのは、おおよそご高齢の方ですね。
そういう方に、コミュニティを捨ててくださいとは、私も思ってはいません。
若い方がその土地を相続されたら、そこに住もうとは考えず、手放し、まちの中に住まいを移してほしいと思うんです。

もちろん、できれば今そこに住んでいる高齢の方にも「まちなか移住」を考えていただきたくも思ってます。
買い物や通院といった、生活の一大事で苦労なさっているはずですから。
どうせ、まちなかに依存しなければ生活できないのなら、比較的安全なまちなかに住んでいただきたいんです。

さぁ、「当初予算書」を読もう!

ちょっと前置きが長くなりましたが、いよいよ本題です。
そもそも論ですが、インフラ整備には私たち市民が納めた税金が投入されてます。
でも、それがどういう風に使われているのかご存じない方も少なくないかも…。

スーパーやコンビニで支払いをするとき、「あれ?それ、値引き商品じゃない?」「レシートには載っているのに、商品が入ってない、取り返さなきゃ」ということは、すごく気になりますよね。

自分のお財布から出ていくお金には敏感なのに、税金というお金の使われ方に関心が薄いのは、大きな損失につながります、ということをお伝えしたいのですが…それを知るには、「当初予算書」を読むのが手っ取り早いんです。

とはいえ、市報などの広報物さえ読んでいないというあなた…もったいなさすぎます。
だって、その市報だって、税金で発行されているんですから。

では、さっそく「当初予算書」の読み方をご説明しますね!

「当初予算書」をダウンロードする

まずは、当初予算書の取得です。
お住いの自治体のHPに設置されている検索窓に「当初予算」と入力して、該当ページにたどり着いてください。
※当初予算とは、その年度の収支計画を文書にしたもの。公表されているものには、「当初予算(案)」と表記されていることもあります。

地方都市の例として、大分県大分市を挙げてみます。

こんな感じ。

平成30年度当初予算(案)について│大分市

では、さっそくダウンロードして見ていきましょう。
※今回は、真ん中の「平成30年当初予算(案)の概要」をチェックします!

おぉ、なんだかめんどくさそうです…。
でも、大丈夫。
次のような点を確認しましょう。

・歳出のまとめページ
・新規事業や継続事業の概要ページ
・部や課ごとの経費概要ページ(特に土木建築部)

このようなものをチェックすると、あらかたの自治体の方針が見えてきます。

平成30年度 当初予算(案)の概要│大分市

単位が千円なので、ちょっとわかりづらいですね。
ですが、大丈夫。
「これは、ウチの近辺のこと?」と思ったものがあれば、その事業をさらに知るべく、その文字列をコピーして、再度自治体HPの検索窓から引っ張り出せばいいのです。

事業そのものの全体像がわかるページがヒットするはず。
どんな事業が、いくらのお金をかけて、何年で完了するのかがわかるはずです。

どうしても見つからない、どうしても知りたいというときは、その部や課にメールで問い合わせしてもいいでしょう。

砂防費とは何ぞや?

上の画像内に「砂防費」というのがありましたね。
そして、その中に「急傾斜地崩壊対策事業県工事負担金」というのがありました。

これは、
・県が指定した急傾斜地で
・特に豪雨や地震のとき崩落する危険性が高く
・そのなかでも優先的に擁壁補修など、何らかの手当てが必要なところ

への市の負担金のこと。

上でお伝えした通り、日本の7割は山林。
家が崖のそば、なんてこともよくあることです。
このような場所にある家などを守るため、擁壁は必要なんですね。

この擁壁を作る/補修する時は、国と自治体とで費用負担します。
それが、この「急傾斜地崩壊対策事業県工事負担金」なんです。

これ、実は法律で定められておりまして…。

第三章 急傾斜地崩壊危険区域に関する費用
(都道府県営工事に要する費用の補助)
第二十一条  国は、都道府県に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、都道府県営工事に要する費用の二分の一以内を補助することができる。

急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律│国土交通省

え、国と県、または市で全部やってくれるの?
安全じゃん…。
いえいえ、ここではとどまりません。

第二十三条  都道府県は、都道府県営工事により著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、その者に、当該都道府県営工事に要する費用の一部を負担させることができる。

急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律│国土交通省

…そうなんです。
受益者負担金といって、その事業によって守られるであろう家の世帯主には、工事費用の一部負担が求められるんですね。

そうですね、そりゃそうですね…。
日本中、どこもかしこも山林…みんなに安全な場所を提供することは、正直難しいのが現実。

また、大体の場合、その擁壁で守られるのは数軒の家。
つまり、この数軒すべてで受益者負担金を出すことができなければ、工事そのものの優先度が落ちて行ってしまう可能性があるんです。

高齢者となり、収入は年金のみ、という方にとって、この受益者負担金は重くのしかかるはず。
安全面や暮らしの便利さを重視するなら、まちに住もう…。
私がそう願うのは、こういう点もあるからです。

「消滅可能性都市」って知ってる? なんとほぼ半数の自治体が消える?

「地域消滅時代」を見据えた今後の国土交通戦略のあり方について│国土交通省

この記事のタイトルを『山を捨てよ町へ出よう!「当初予算書読破のすすゝめ」』としたのは、

・少子高齢化に歯止めがかからず自治体の歳入(=収入)が少ないのなら、市民の住むエリアをコンパクトにしませんか?
・高度成長期に作られた道路や水道は、既にボロボロになっていて、整備が追い付かないところもでてきていますよ!

ということを訴えたかったからです。

まち中には、生活に必要なものは揃っています。
そのうえ、山の中とは違い、人口も多いので、自治体としてもインフラ整備や補修の優先順位度を高くせざるを得ないのが実態。

安全に、自治体の歳出(=支出)を減らすという考えはいかがですか?という趣旨でした。

都市の半分がいずれは消える…。
既に財政破綻し、財政再建団体となった都道府県は20、市町村は約860あるとされています。

その中でもよく知られているのは、北海道夕張市ではないでしょうか?
一度、財政再建団体となると、夕張市で起きた次のようなことが現実になるかもしれません。

夕張市破綻から10年「衝撃のその後」若者は去り、税金は上がり…│講談社

このような事態に陥る前に、私たち市民が「財政に関心を持つ」「できればまち中にコンパクトに住む」ようになれば…。
少なくとも、支出(=歳出)を抑えながら、安全・安心を確保しやすくなる可能性が高まるのではないでしょうか。

「自治体に丸投げ」は終わりにしよう

もしもあなたが、山の中の土地を相続したのであれば、その家は何とかして手放してはいかがでしょう、とお伝えしたのは、上のような理由からです。

年々投票率が下がっている日本。
確かに政治不信は募るばかりですが、自分たちでできることはまだまだありそうです。

少なからず、まず、私たちが置かれている状況の確認はできるはずではないでしょうか?

地方都市の場合、まち中には空き家や空室賃貸物件が多くあります。
そのような場所に移り住むことも、市民としてできることのひとつかもしれません。

※山の土地が売れないときについては、また別の機会に…。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

つー

土木建築専門紙記者経験。 現在フリーライターとして活動中。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。