チェーンブレーキをかけるか否か
ヤモリーズ4期生の大賀です。
先日、新たにくわわった5期生の方々にチェーンソーワークを指導する機会があり、そこで改めて自身のチェーンソーワークを振り返りました。
「なぜその行為をやっているか」はできるだけ言語化しているつもりでしたが、しきれていない部分もありました。
今回、改めて考えてみた「チェーンブレーキをかけるか否か」について、自分なりに説明してみます。
チェーンブレーキとは?
チェーンソーにはチェーンブレーキがついています。その名の通り、チェーンソーの刃の回転を強制的にストップさせるブレーキ装置です。
フロントハンドル(黒い持ち手)の前にある「ハンドガード」を前に押し出すことで、チェーンブレーキがかかります。
こいつの役割としてよく説明されるのが、キックバックしたときの安全装置であること。
↓キックバックはこんな感じ。
もしチェーンソーで作業中にキックバックが起こり、チェーンソーが操作者めがけて跳ね上がった場合...
しっかりフロントハンドルを握っていれば、左手の甲にハンドガード(ブレーキレバー)が接触します。そしてレバーが押し出されることでチェーンブレーキがかかり、操作者を守ります。
チェーンブレーキのメリット
チェーンブレーキをかけていれば刃は回転しないので、チェーンソーは極めて安全な状態にあると言えます。
このメリットを作業中に取り入れるか否か、です。
例えば、倒した木の枝葉を切り落としていく場合。これはエンジンをかけた状態で移動しながらチェーンソーを扱うことになります。
移動のときは「刃の回転がストップしてから行う」のが鉄則です。
それに加えもうひとつ注意するのは「移動中に誤ってスロットルを握ってしまう」可能性があること。
山は基本的に足場が不安定なので、気をつけて歩いても足を取られることはけっこうあります。
足を取られた時に、思わず右手でスロットルを握ってしまったことが、僕は過去に何度かありました。
この場合、先ほどのチェーンブレーキのメリットはとても大きいです。ブレーキをかけてさえいれば、誤ってスロットルを握っても刃が回転することはありません。
チェーンブレーキに頼らず安全に行うには
「チェーンブレーキいいよね、素晴らしいよね、最高だよね」的なことを書いておきながら、僕は基本的にチェーンブレーキを使いません。
理由は2つ。
1つ目は、ブレーキをかけた状態でスロットルを引いてしまうことがよくあるので。解除をよく忘れます。
ブレーキがかかっているかどうか、見た目ではまずわかりません。ハンドガードを触ってみるしかないです。
2つ目は単純に、カチャカチャかけるのがめんどうだから(けっこう力もいるし)。
枝払いは移動する回数も多いので、移動のたびにチェーンブレーキをかけるのはすごく手間です。
ではチェーンブレーキを使わずにどう安全性を確保するか?
これも単純で「移動時にスロットルを握らない状態」にすること。
スロットルから確実に右手を離すことを徹底します。
スロットルのトリガーを引くには、スロットルロックアウト(上の出っ張り)を同時に握らないと引けない構造になっています。
なので人間の手で握ること以外、トリガーが引かれる状況はまず発生しないと思います。
2つの「スロットルを握らない状態」
右手を完全に離してしまえば、もうスロットルを握ることはありません。
「左手でフロントハンドルを持って、右手で邪魔な枝をどかしながら〜」てな感じで前進できます。これが1つの方法。
しかし、です。
左手ばっかりでチェーンソーを持っていると、重いので左手がものすごく疲れます。
くわえて、通常どおり両手で持ちながら移動もできれば、すぐにチェーンソーの保持姿勢がつくれるので作業効率も良くなります。
そこで僕が行っているのが、移動時に「リヤハンドルの一番うしろ」を握る方法。
ここなら右手をスロットルから後ろにズラすだけですぐ持ち替えられます(その逆も然り)。グリップ感も特徴的で、掴めばすぐここだとわかります。
両手でチェーンソーを保持できて、持ち手の切り替えも早い。
ただ、「移動するときはここに持ち替えよう!」と常に意識しないと、なかなかできないものです。
なのでしばらく課題として取り組んで、自然に持ち替えできるよう訓練しました。
ぼくはこの方法が、チェーンブレーキを使わずに安全性も確保する、現在の最適解だと考えています。
・・・
以上、チェーンブレーキをかけるか否かについて言語化してみました。
けれど、チェーンブレーキを使った方がいい理由が見つかれば、迷わず使ってみようと思います。そんなゆるい感じです。
書いた人:がっちょ(大賀)
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