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嗚呼、素晴らしき追いヅル切り

ヤモリーズのがっちょです。

現在、間伐作業の真っ最中。

人工林の中で、スギとヒノキをひたすら切っています。

間伐中にふと気づきましたが、本当に久しぶりに「追い口切り」で伐倒しました。

前に追い口切りで針葉樹を切ったのはいつの日だったか...というくらい久しぶりでした。

なぜならよほどの小径木でない限り、追い口切りではなく「追いヅル切り」で伐倒しているからです。

嗚呼、素晴らしき追いヅル切り。

この記事で、追いヅル切りの素晴らしさについて出来る限りゴリ押ししてみます。


追い口切りのイマイチなところ

追い口切りは、木を切り倒す基本的な伐倒方法です。

まず受け口をつくり、次に追い口を入れる。

方法は単純ですが、

・受け口により、木を傾けるためのスペースができる。

・追い口で適度に切り離しておくことで、木が裂けるのを防ぐ。

・追い口にはクサビを打ち込むことができ、木の重心を受け口側に移動させることができる。

・「ツル」と呼ばれる受け口と追い口の間の切り残しにより、受け口を閉じるように倒れる。これにより狙った方向に倒せる

↓黄色いクサビの指す方向に倒れる。

などなど、単純なようでものすごくよく考えられた方法です。


・・・。


しかし!!!

追い口切りには難点もあります。

それは「追い口を入れている途中で木が倒れだす」場合があること。

例えば、木の重心が受け口側にあるとき。この場合、追い口を目標とする位置まで切りきる前に、受け口側に木が倒れる可能性があります。

また、追い口側に木の重心がある場合。これだと追い口を入れている途中に追い口が閉じて、チェーンソーが木に挟まれます。

どちらも対処方法はありますが(後者だと途中でクサビを打ち込むなど)、いずれにせよ、切っている途中で木が傾くのは怖いです。

目標とするツルの幅を正確につくれないことにも繋がるので、その場合は伐倒方向がズレます。


追いヅル切りの良いところ

そこで追いヅル切りです。

これは前述の「切ってる途中で木が倒れだす問題」が発生しない切り方です。

なぜか?

それは追い口を2段階で入れるからです。

↓まず、受け口の真後ろからでなく、途中からチェーンソーを突っ込みます。

↓次に、突っ込んだまま受け口側に切り進み、ツルを完成させます。

↓そして今度は反対に切り進み、最後に切り残しをつくります。

これを前側のツルに対して「後ろヅル」などと呼びます。

前ヅルと後ろヅル、この両方があることで木が支えられています

↓最後に後ろヅルをパッと切り離すことで木が倒せます。

ただ、重心が追い口側にある場合、後ろヅルを切り離すときにチェーンソーが挟まれる可能性もあります。

これは追い口切りと同じく、事前にクサビを打ち込んでおくことでノコ道(チェーンソーの刃のスペース)を確保できます。


重要なのは前ヅルの正確さ

「挟まれるなら追い口切りといっしょじゃん」と言われると、それはそのとおりです。

けれど伐倒で重要なのは、前側のツルの正確さです。

・幅を均一にする

・非対称にする

・厚くする

・薄くする

など、ツルには精度が求められます。

追いヅル切りの何がもっとも優れているか?

僕が思うに、前側のツルをつくるときに木が確実に安定した状態にあることです。

追い口切りのように途中で傾く注意をはらう必要がなく、そのため落ち着いた丁寧な作業が可能になります。安全性も高まります。


追いヅル切りをやらない理由がとくにない

追いヅル切りは、追い口切りより安全で確実な作業ができます。

もちろん追いヅル切りができない状況(=突っ込み切りができない状況)はあります。

けれどそれ以外に追いヅル切りをやらない理由が、不勉強ながらとくに見当たりません。

作業スピードも大差ない、はず。


・・・


以上、追いヅル切りの優れた点についてゴリゴリ書いてみました。

が、身も蓋もないことをいえば、自分が確実に無理なくできる伐倒方法を選択するのがベストだと思います。

僕は今のところそれが追いヅル切りである、というお話でした。



書いた人:大賀




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