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嗚呼、素晴らしき上方伐倒

4期生の大賀です。

僕が作業している現場「馬龍山」では作業道開設が終了し、5.1haの間伐を行なっています。

木を切り倒すにはさまざまな道具を使いますが、倒す方向によっても変わってきます。

木を山側に倒すことを「上方伐倒」、谷側に倒すことを「下方伐倒」と呼びます。

↓上方伐倒の様子

この記事では上方伐倒をゴリ押ししてみます。


下方伐倒はラクだけど、、、

基本的に木の重心は谷側にあることが多いので、下方伐倒のほうが倒す労力は少なくすみます。

倒れていく距離も長いのでスピードがつきやすく、木の自重だけで他の木の枝葉を強引にすり抜けることもできます。

受け口と追い口をつくって、クサビを打ち込んで傾けていけば、バキバキと枝葉をなぎ払いながら、豪快な音を立てて地面に着地してくれます。

倒していてけっこう気分が良い、これぞ伐倒。


・・・。

しかし、下方伐倒は諸刃の剣でもあります。

①加速しすぎて地面に着地すると、木が割れることがあります。

②木の自重まかせなので、樹冠の微妙なコントロールや方向の予測がむずかしいです。

③途中で他の木に強固にひっかかった場合、人力ではどうにもならなくなる可能性があります。

④倒れるときにツルが必ず外れるので、その場から大きく谷側に飛んでいきます。場合によっては集材(切った木を集めること)する距離が伸びます。


上方伐倒は大変だけど、、、

そこで上方伐倒です。

上方伐倒はまず木の重心を山側に傾けないといけません。かつ倒れていく距離が短く初速が出ないので、自重だけで他の木の枝をすり抜けることもできません。

つまり、倒すにはそれなりの労力が必要です。

けれど良いところもいっぱいあります。

①ゆっくりと倒れていくので倒れたときに木を傷めにくいです。

②倒れたときにツルが離れていない状態をつくれるので、倒れても木が安定した状態を保てます。

③かかり木にして微調整しながら倒したい場合、樹冠の位置や向きをコントロールしやすいです。

④強固にかかり木になってしまった場合、根元を切り離して谷側にずらすことで樹冠を抜けさせて倒す、という選択肢があります。


・・・などなどいろいろメリットを挙げましたが、個人的に素晴らしいと思うのはその伐倒の様子。

上方伐倒の「倒れていく様」と「倒れた様」。どちらも美しく品があり、見ていて気持ちがいいです(まったく重要じゃないけど)。

なので下方伐倒より上方伐倒のほうが、やっていて楽しいです。


どちらも最初の伐倒方向が重要

基本的には集材を考えて伐倒方向を決めますが、上方伐倒と下方伐倒、どちらも難しさがあり一長一短だと思います。

共通するのは、当たり前ですが最初の伐倒方向が重要なこと。これが正確に出来ていないと上手くいきません。

くわえて、樹冠の枝振りを読みながら、かかり木になるのは前提でそこからどう倒すかの予測。読み誤るとこれもめちゃくちゃ苦労します。

予測するには経験値がものをいうので、「この枝は抜けられるか?」の程度をいろいろ試しながら、日々の間伐に取り組んでいます。


おしまい。


書いた人:大賀

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