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チェーンソーを持って2ヶ月、普段やっているチェーンソーのメンテナンスについて

こんにちは、津和野ヤモリーズ4期生の大賀です。

2017年5月から新しい現場が始まりました。1年目である僕は、作業道を伸ばしていくうえで切らなければならない木(=支障木)の伐倒、枝払い、造材を主に行っています。

チェーンソーを持って早2ヶ月。地面を切って刃こぼれしたり、バーを丸太にはさまれたり、キャップを閉め忘れてオイルをこぼしたり...。そんなことを繰り返しながら、徐々にですがチェーンソーの扱いに慣れていってます。

使用頻度がもっとも高い道具なので、メンテナンスもしっかりやらないといけない。やり方は、教本や付属説明書を参考にするか、外部講師の方、ヤモリーズ先輩方に聞いたりして、できそうな範囲で覚えていってます。

今回はチェーンソーの掃除や調整について、僕が普段やっていることを備忘録的に書いてみます。

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※使用しているチェーンソーは「共立CS42RS」(排気量42.1ml、ガイドバー40cm)です。


1. スプロケット周り、ガイドバー

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チェーンが回転して木を切るこの部分、チェーンソーを1日使えば激しく汚れます。スプロケットカバーを開けると、中は木屑やチェーンオイルがびっしり。なるべく使用後毎に掃除しています。(コンプレッサーで吹き飛ばすのが一番ラク)

最初はソーチェーンの付け外しだけで四苦八苦していましたが、繰り返しやっているとスムーズにできるようになりました。

※2017年10月追記
ソーチェーンを新品にした場合、初めはチェーンオイルが付いていない状態なので、そのまま装着して回転させるとソーチェーンとガイドバーを傷めます。装着前に潤滑剤やチェーンオイルをガイドバーレールに塗布しておくのがいいです。


2. ソーチェーンの張り調整

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スプロケット周りの清掃が終わったら、ガイドバーとソーチェーンを付け直し、カバーをはめてナットを指で締めます(まだソケットレンチで締めません)。

ここからチェーンの張り調整。ガイドバーの先端を持ち上げ、チェーンをクルクル回してたるみの少ない部分を探します。見つかったらそこを張りの基準に、チェーン調整ネジを締め上げていきます。

スプロケットノーズタイプの目安としては、ガイドバー下側に接触するくらいに調整ネジを締めます。その後、バー先端を持ち上げたままレンチでナットをしっかり締めます。チェーン上側を指で引っ張ってみて、ドライブリンクの足が半分ほど見える程度、かつ手でチェーンが回せるくらいの張りであればOK。

※2017年10月追記
チェーンの張り具合は、ガイドバーの種類(ハードノーズ・スプロケットノーズ)によって異なります。

スプロケットノーズタイプ。僕がメインで使用しているタイプです。バー先端にベアリングがついているため、摩擦が少なくチェーン回転がスムーズです。けれどチェーンが外れやすいという欠点もあり、その分チェーンの張りを強くしないといけません。メンテ方法として、先端ベアリングには定期的に潤滑剤やグリスをさす必要があります。

ハードノーズタイプ。先端が硬い金属でコーティングされているタイプ。スプロケットノーズにくらべ回転スピードは遅くなり、張り調整もやや難しいです。そのかわりバー自体の耐久性が高く、突っ込み切りがやりやすい(かも?)。

(共立の純正ガイドバーで両者を比較してみましたが、突っ込み切りはどちらも大差なし、回転スピードはやっぱりスプロケットノーズの方が速く感じます)


3. フライホイール周り

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スターターグリップ(引いてエンジンをかける部分)が付いているカバーを外すと、フライホイールが現れます。

フライホイールに付いている羽根のような部分は、シリンダーを冷却する送風機の役割。この周りにもゴミが溜まっているので掃除します。

※2017年6月追記
今回オイル漏れした穴(一番下の「余談1」参照)にゴミが入ると、詰まったり不良の原因になるそうです。コンプレッサーのエアーで掃除するには、穴を指で抑えて保護するなど対策が必要です。


4. シリンダーフィン

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エンジンの上部についているヒダヒダはシリンダーフィン。ここに外気があたることでエンジンが冷却されます。

見た感じ、すぐ下にあるフライホイールはシリンダーフィンに風を送ってるんだと思います。なので冷却効率を損なわないよう、表面についたゴミを取り除きます。


5. エアクリーナ

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本体上部のつまみがついている部分はエアクリーナです。

カバーをはずす前にチョークノブを引いてチョーク弁を閉じ、エンジン内にゴミが入らないようにします。そしてカバーを開け、エアフィルタについた細かいゴミを落とします。


6. 点火プラグ

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エアクリーナカバーを外すと点火プラグも見えます。これはソケットレンチで外せます。先端の電極周りに付着物(カーボン?)があれば取り除きます。

電極にある隙間(ギャップというそうです)の標準は0.6〜0.7mm。計測には専用工具が必要(なので割愛)。


7. 燃料フィルタ、オイルフィルタ

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燃料・オイルのタンク内部にはそれぞれフィルタが入っているので、汚れて詰まっていないか確認します。針金があれば簡単に取り出せます。


8. チェーンオイル吐出量の調整

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本体を裏返すと、スプロケットの真下くらいにネジがあります。これはチェーンオイルの出る量の調整ネジ(左回し:増、右回し:減)。必要に応じて調整しますが、量の目安がいまいち分かりません。

※2017年10月追記
チェーンオイルは商品によって粘性がかなり違うことに気づきました。ハスクバーナのチェーンオイルを使っていますが、植物性はサラサラ、鉱物性はネバネバ、という感じ。減っていく量も植物性の方が早い。
なので外気温以外にもチェーンオイルの粘性をみて調整した方がいいように思います(燃料より先になくなったら大変!)。


9. キャブレターの調整

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キャブレターの調整ネジは、スターターグリップ近くに3つあります。そもそも調整する意味をよく分かっていないんですが、教本から引用すると下記のとおり。

自分のチェーンソーは、同一機種を使用している他の人より、どうも良く回らない、調子悪いと感ずることがあったら、点火プラグ不良以外は、ほとんどがキャブレターの調整不良です。(『伐木造材のチェーンソーワーク』p22)

とくに調子も悪くなかったのですが、やってみないとわからない。調整にトライしてみました。

やり方は付属説明書と、教本『伐木造材のチェーンソーワーク』を参考に、

①アイドル調整ネジ(T)を右に回して、回転数を少し上げる
②低速調整ネジ(L)、高速調整ネジ(H)ともに右回しで軽く締めきる
③(L)(H)ともに左に1回転
④エンジンをかけて、スロットルを引いてレスポンスの確認。
⑤(L)→(H)の順で調整し、最高調整点を探る(スロットルのレスポンス、フルスロットルでの回転音を指標に)
⑥もう一度(L)→(H)の順で確認する
⑦(T)を調整し、チェーンが勝手に回転しないところまで回転数を下げる
⑧最終確認。丸太切りなど、負荷をかけた状態で最高速で切ってみる

やってみると何となくですが、どう調整するかが分かりました(上手く調整できているかは分かりません...)。

※2017年6月追記
 キャブレターの調整(とくに低速・高速ネジ)はシビアな作業が必要みたいなので、十分に知識をつけてから触るか、プロに任せたほうが良さそうです。
・高速調整側は回転計を使って正確に調整する必要あり。回転が高すぎると即エンジンの故障に。
・調整ネジを締めすぎると、キャブレター本体側が負けて穴が広がってしまい、修理になる可能性あり。
・エンジンの調子が悪い、回転が上がらないなどの場合、エアクリーナや点火プラグなどを先に調べてから、最後にキャブレターを疑う、という順番。

※2017年10月追記
フルスロットルで切ったあと、頻繁にエンストする症状になりました。そこでアイドル調整ネジをいじって、アイドリングを少し高めてやると改善(僕の場合)。


10. 目立て

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おそらく一番重要にして難しい、ソーチェーンの目立て。丸ヤスリで左右のカッターを研ぎあげます。

誤って石や地面を切ってしまうと、カッターの切れ味が一瞬でガタ落ちします。刃が切れる・切れないの感覚は分かるようになりましたが、目立ては熟練が必要なので、実践あるのみ。これもやっているうちに何となく分かってきます。


【余談1】フライホイール側でオイル漏れ発見

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フライホイール周りの掃除をするためカバーを開けると、なぜか底側にオイルがべったり付いていました。こちら側からオイルは出ないはずですが、よくよく見ると左の黒い穴からオイルが出ている状態。

オイルフィルターを確認しても異常なく、説明書を見ても記載がなく、先輩に聞いても分からず。そのためプロに見てもらうべく「石見エコー」へ。

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こちらは島根県益田市にある専門店です(『林業現場人:道具と技 Vol.11』にショップ紹介が掲載されています)。

お店の方に確認してもらうと、すぐに原因判明。オイル漏れしている穴は、オイルタンクの空気穴とのこと。

タンクが真空になってオイルが供給されなくなるのを防ぐため、一方通行で空気が入る仕組み。そこがうまく閉じていないためオイルが逆流している模様(反対に、詰まるとオイルが供給されなくなるそうです)。チェックバルブ(逆止弁)を交換してもらうことになりました。


【余談2】スターターロープが切れました

2017年9月、使用6ヶ月目でスターターロープが切れました。(作業始めに「おっしゃ切るぞー」と1回引いたらブチっとなったのでめっちゃヤル気なくしました)

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バラしてみると構造は単純、自分で直せます。

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もともと付いているロープとグリップを結び直せばOK。切れたぶんだけ引きしろは短くなります。あまりに短い場合は新品のロープがいいかも(僕はグリップのすぐ下で切れたのでほぼ問題なし)。


・・・

以上、不勉強ながらまとめてみました。できることは自分でやっていきます。(必要に応じてメンテ方法など追記します!)


書いた人:がっちょ(大賀)

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