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人生に乾杯 13(医療費に関すること)

沖縄の #金城楓空 ちゃんの腹膜悪性中皮腫手術が今月22日、終了した。まずは無事終わったことに心から安堵した。10月10日の琉球新報を見て、彼女を救う会である「ふうあの会」に僕は1万円の寄付をしたのもあったし、そもそも、がん(悪性腫瘍)の治験、治療には極めて高額な研究費がかかるからだ。たかだか1万円と思っていたが、2000万円を目標にしたクラウドファンディングは3700万円余りが集まった。保険適用外治療で費用が読めず、年末まで募金活動を続けるという。

週刊文春2020年10月15日号の「ミカエルの鼓動」にもこうある。ミカエルは心臓移植などに使われる医療用ロボットだ。「新商品の開発には、多額の研究費がかかっている。実用化にこぎつけるまでには、さらに費用がかさむ。販売目前に中止になるには、よほどの事情があるのだ」。作者は警察小説などで著名な柚月裕子さん。

そう、腫瘍治療は施術、化学療法ともに費用がかかるのだ。僕が使う脳腫瘍向けOptuneも日本で保険適用になる直前の2017年ごろまでは自費診療として扱われ、年間1,200万円以上かかったとされる。適用患者も、僕のような「初発(原発)」「患部をほぼ完全に切除した」「体が不自由なく動く」「家族など共同でアレイ(頭に貼る電極)の張り替えができる」など条件が厳しい。2009年に適用が拡大された分子標的薬アバスチンも、年間の薬価は約52万円と高額だ。僕の場合、脳腫瘍と肺腫瘍の同時治療ができないため、脳腫瘍を優先させる形で成田病院にいる時からアバスチンを併用しているが、幸い、これが今のところ肺の腫瘍も小さくしている。

Optuneについて、Novocureの本社イスラエル、実質本社がある米国の他、日本などで使用が認可されている。先日、英国ロックバンドのメンバーが脳腫瘍にかかったが、英国では保健省(Department of Health and Social Care)から使用認可はされているものの、ナショナルインシュランスを請け負うNHS(National Health Service)への保険収載は見送られているらしい。Wikipediaによると、国家予算の約4分の1をNHS予算に費やされているという。国会議員目線からは、一人ひとりにどの程度の医療費を出すかというのは財政的課題だが、その一人ひとりから見れば生死の問題だ。同じ症状を持つ身としては、ロックバンドのメンバーへの悔恨の情を禁じえない。

(写真は2016年元旦、オーストラリア・ポートダグラスの海岸で。撮影者の合図で家族4人が飛び跳ねたつもりが、下の息子(現在10歳)だけ微妙なクラウチング・ポーズになっている。続く。)