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映画『ジョーカー』が、現実世界にもたらす脅威について

ついに、その公開日が目前に迫りつつある映画『ジョーカー』。

アメリカでは、この映画が、現実世界における暴力を誘発する可能性があるとして、社会全体に緊張が走っている。


ロサンゼルス市警(LAPD)は、以下の声明を発表。

“The Los Angeles Police Department is aware of public concerns and the historical significance associated with the premiere of the Joker. While there are no credible threats in the Los Angeles area, the Department will maintain high visibility around movie theaters when it opens. 
「ロサンゼルス市警は、『Joker』のプレミア上映にともなう社会的関心と歴史的重要性を認識しています。現時点においては、ロサンゼルス地域に明らかな脅威はありませんが、市警では映画の公開時、映画館周辺に細心の注意を払う予定です。


こうした動きの背景にあるのが、オーロラ銃乱射事件である。

2012年7月20日。米コロラド州オーロラにおいて、『ダークナイト ライジング』上映中の映画館における銃乱射事件が発生した。

同事件の遺族の一人は、映画『ジョーカー』が秘める危険性について、次のように語っている。

"My worry is that one person who may be out there — and who knows if it is just one — who is on the edge, who is wanting to be a mass shooter, may be encouraged by this movie. And that terrifies me," 
(私が恐れているのは、追い詰められた状態にあって、乱射事件を起こしたいと考えている人に対して、この映画がきっかけを与えてしまうかもしれないということです。そして、それが「たった1人」であるかどうかも分かりません。そのことが怖いのです。)


それに対して、ワーナー・ブラザーズは以下の公式声明を発表。

Warner Bros. believes that one of the functions of storytelling is to provoke difficult conversations around complex issues. Make no mistake: neither the fictional character Joker, nor the film, is an endorsement of real-world violence of any kind. It is not the intention of the film, the filmmakers or the studio to hold this character up as a hero."
ワーナー・ブラザースは、「物語を語る」ことには、複雑な問題をめぐる多様な議論を引き起こす機能があると信じています。確かなことは、ジョーカーというキャラクターも、この映画も、現実世界のいかなる暴力を肯定するものではないということです。フィルムメーカーとスタジオのいずれにも、このキャラクターをヒーローとして称える意図はありません。」


そうだ、あくまでも「映画」は「映画」なのだ。そしてこの社会においては、その「映画」にしか果たせない大切な役割がある。

『ジョーカー』の製作者たちは、「映画」の可能性を信じた。

次に問われるのは、僕たち観客である。


映画『ジョーカー』の日米同時公開まで、あと4日。



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